旧統一教会を巡る富山市長の関係断絶表明と市議会の決議で名誉が傷つけられたとして、教団の関連団体が市に損害賠償を求めた裁判の控訴審。
東京地裁が解散命令を出し、教団が即時抗告する状況での注目の裁判は、一審に続き、原告の訴えが退けられました。
この裁判は、2022年8月に藤井市長が「旧統一教会及びその関連団体と一切関わりを持たない」と決意表明したことと、その後の市議会の関係断絶決議が、「宗教ヘイトによる人権侵害や名誉棄損にあたる」として、富山市を相手取り、旧統一教会の関連団体「富山県平和大使協議会」が2200万円を、富山市内の男性信者が350万円の損害賠償を求めているものです。
16日、名古屋高等裁判所金沢支部で開かれた控訴審の判決言い渡しで、大野和明裁判長は、「当時の社会情勢から教団との関わり方を明らかにする必要があり、極めて問題のある団体などという内容を含むものの、それを超えて執拗に非難していない。そのように考える根拠も明示している」などと断じました。
その上で、人権侵害や名誉棄損には当たらないとして一審の判決を支持し、原告の訴えを棄却しました。
*県平和大使協議会 鴨野守代表理事
「全く承服できない」
判決後、原告側は、会見を開き、請求棄却という司法の判断は「不服で、納得できない」と述べました。
*県平和大使協議会 鴨野守代表理事
「大きな被害を与えている団体だという洪水のような報道の流れの中で(判決が)決まってしまった」
*富山市在住の信者
「教団への解散命令が出たので、こういう判決(請求棄却)が出るだろうと金沢に来たが、いざ判決をもらうとなかなか受け止めるのが苦しい」
上告については…。
*富山市在住の信者
「最高裁でひっくり返すことができるだろうかと考えたときに「この判決のここが間違っている」とか「こういう風に訴える」とか全く考えが浮かばなかった」
原告側は、今後、上告を検討するとしています。
旧統一教会に対しては、先月、東京地裁が解散を命じ、教団は今月即時抗告し、争う構えです。