熊本県内では4月に入り『電話で「お金」詐欺』の被害が深刻な状況になっていて、注意を呼びかける、初の〈アラート〉が発表中。特に息子や娘、警察官などをかたった詐欺が急増している。
熊本県内4月の1週間で被害額1億円超
熊本市東区の肥後銀行託麻支店では、4月15日の年金の支給日に合わせ、警察官などがチラシを配った。

詐欺の電話がかかって来た人は「3回ね、1回目はここ(銀行)に来て受付に行ったら『よかったね。だまされんで』と言われた」や「〈ちょっと待って〉と(電話を)切って確認すればいい。冷静に考えます。これ嘘だなと」と話した。

熊本県警によると、4月7日までの1週間に電話で『お金』詐欺の相談が80件寄せられ、被害の総額は約1億7600万円。そのうちの66件が息子や娘、警察官などをかたったものだ。
娘を名乗り熊本弁を巧みにしゃべる女
熊本県警が公開している、実際の詐欺の電話の音声では、娘を名乗る犯人から母親に「今、初めて話すことだけん、まだ誰にも言わんどってほしい」と熊本弁で切り出し、親心を利用しようとする。

娘を名乗る犯人はそのまま熊本弁で、半年前に友達と一緒に株を始め、その共同出資した友達の資金は会社の金を使い込んだものだったと打ち明け、母親の心を動揺させる。

さらに「私、この後、消費者金融でお金借りようと思って…」と犯人がつぶやくと、母親は「だめだめ、それは。500万円ならあるよ。お母さんが持っとる」と、詐欺だとは気づかずに、偽りの娘にやさしく手を差し伸べる。

すぐさま娘を名乗る犯人が「貸してくれる?」と聞くと、母親は「うん。そらあんた…。うん、よかよか」と声をかけ、娘が犯罪を犯したと思い声を震わせながら「もぅあんたがそがんこつばするなんて、思っとらんだった…」とつぶやいた。

この後、母親は銀行に行き金を下ろすも、直前に詐欺と分かり、金をだましとられることはなかった。
電話で『警察』『お金』が出たら詐欺
また、警察官をかたる詐欺も増えているといい、熊本県警生活安全企画課の釜賀ルミ次席は「『警察です』と名乗って『あなたの口座が犯罪に使われている』と言葉巧みにだます手口が増えている。少しでも不安に感じたら電話を切るように」と話す。

警察は「電話で『警察』『お金』という言葉が出たら詐欺を疑い、相談してほしい」と呼びかけている。
(テレビ熊本)