長野県のある町で、半世紀以上町の人たちの食卓を支えてきたスーパーが突然、閉店しました。
町にとって大問題となっています。
14日の“ソレってどうなの?”は「買い物場所が消滅…どう乗り越える?」をテーマにお伝えします。
長野県の南部に位置する飯島町。
人口8860人のうち約4割が65歳以上の高齢者で、面積は東京・江東区の倍ほどです。
これまで町内にあったスーパーは2カ所。
そのうち1つが4月3日に閉店しました。
これで生鮮食品を扱うスーパーは残り1店舗だけになってしまいました。
突然の閉店に町の人たちからは「私なんかは、いきなり(閉店)という感じでした。不便ということと、やっぱりさみしくなる。閑散として何もないという状態はやはりさみしい」「これは不便ですよ、絵に描いたように不便。お年寄りが車(シルバーカー)を押して買い物していたのがよく目についたので、じいちゃん、ばあちゃんたちが買えないというのはかわいそう」などの声が聞かれました。
今回閉店した店は、もともと地元の農協の直営店として営業していました。
2001年からは農協が現在の運営会社に経営を委託し、建物を貸す形で営業してきました。
2019年には、建物の老朽化などで運営会社が閉店を一時検討します。
すると、町にとって店は非常に重要だと補助金4000万円を支出して建物の改修を支援しました。
そうまでして営業を続けてきましたが、その後、コロナや物価高に運営会社の社長の体調不良も重なって、町と農協、運営会社で協議した結果、閉店が決定しました。
そして、4月3日に歴史に幕を閉じたわけです。
運営会社などと交渉してきた飯島町の唐澤隆町長は「数少ない生鮮食品店の1つが閉店したということで、町民の皆さんに本当にご迷惑をおかけしている。仕入れ値が上がった。諸経費も上がってきた、そういった中で価格に転嫁できない状況がずっと続いていた。最終的には断腸の思いで経営をやめる決断に至った」と話しました。
今は新たな運営業者を探しているところだといいます。
そんな中、新たな試みも始まっています。
それはドラッグストアが協力した移動販売です。
平日に限りますが、町内の様々な場所を移動して商品を販売しています。
移動販売利用者は「おかげさまです。ここを借りて住んでいるので2~3歩。スタッフが若いのでテキパキ、80何歳ばっかりの老人村、本当によく考えてくださいました」と話します。
ウエルシア薬局(株)・田中彩子さんは「弊社としていろいろな活動をしている中で地域共同事業。自治体や住民の皆さんから店舗に来られる人はいいが、店舗に足の問題などで来られない方々もいるので、『どういったらいいかな』という相談の中から、ウエルシアが移動販売で地域を回りながら商品やサービスをお届けできたらいいなということで始まりました」と話しました。
長野県のある町の話ではなく、身近なスーパーの閉店は他でも起こり得るのでしょうか。
経済に詳しい第一生命経済研究所 首席エコノミスト・永濱利廣さんは「高齢化と過疎化が今後も日本で進みますから、今後も同様の事例が増加することが予想される。地域の実情に合わせた持続可能な対策が求められる。移動販売・宅配サービス拡充や別の小規模店舗を誘致や支援とか、新たな購入経路を構築する支援の方が持続可能性が高いのでは」と話しています。