医療用ヘリ事故について、専門家は事故当時のヘリの状況について、「ある程度の速度で水中に突っ込み激しい着水だった」との見方を示しました。
【九州大学大学院航空宇宙工学部門 東野伸一郎教授】
「“ある程度の速度”がある状態で水中に突っ込むとそういう(ヘリの機体を)折り曲げるような力が働くので割と激しい着水だったのかもしれないなと」
10日、唐津市の港に陸揚げされたヘリの機体。フロントのガラスが割れ、プロペラも破損しているのが見て取れました。
ヘリが着水したときの状況について、専門家はこのように話します。
【九州大学大学院航空宇宙工学部門 東野伸一郎教授】
「窓が、前のシールドが両方とも左右ともに割れているように見えるものもあるんですけど、着水のときの衝撃で割れたのではないかという可能性もあると、ひょっとして蹴破って脱出されたのかもしれませんけども」
一方、救助された機長は、運航会社の聞き取りに対し、「不時着を判断した」としています。
【エス・ジー・シー佐賀航空 中山博樹代表取締役】
Q機体の不具合というのを事前に報告したりはなかった?「私が聞いている範囲内では聞いておりません。(機長が)どうしても不時着をせざるを得ないな、と判断しフロートを開くスイッチを入れた、ということは聞きました」
機長が判断した、緊急での着水。ヘリには強い衝撃がかかったとみられます。このとき、ヘリには自動で救難信号を送る「ELT」という機器が付いていましたが、国交省などに信号が届いていませんでした。
【九州大学大学院航空宇宙工学部門 東野伸一郎教授】
「中のバッテリーが切れていた、あるいは点検は義務付けられていますけども、そのときに適切に点検されていなかったとか、あるいは手動でもスイッチオンにできるんですが、パイロットの方が生存されて出られて精一杯で手動でオンにするというところまで至らなかったとそのどれかでは」
ヘリからの救難信号について、国の調査官は「機体が海中で、電波が非常に弱く受信できなかったのでは」などの見解を示しています。