特にトランプ関税に気が気でないのが鹿児島県内の輸出関連企業ではないでしょうか。
関税引き上げで大きな影響を受けるのが輸出です。
こちらがアメリカ向けの県内の主な輸出品です。
まずは鹿児島が2022年に全国和牛共進会で全国一を獲得した「牛肉」。
続いて、長島町などから出荷されている「ブリ」。
そして、先ほど新茶の初取引会のニュースでお伝えしたように、海外人気が高まりを見せる「お茶」です。
特にアメリカへの鹿児島の農林水産物の輸出額は2023年度は約170億円で全体の46%を占めています。
それぞれの品目について、県内の輸出関連企業は今回のトランプ関税をどう受け止めているのでしょうか。取材しました。
カミチク海外事業部・上村幸生部長
「アメリカへの輸出に関しては供給量をコントロールしていた。大きな影響はない」
鹿児島市に本社があるカミチクは牛肉の生産、加工、販売を手がけ、海外ではアメリカや、ヨーロッパ諸国、台湾、シンガポールなど19カ国に輸出しています。
アメリカ向けには、主にリブロースやサーロインなどを輸出していますが、3、4年前に取引を巡るトラブルで商品が滞った経験などから、商品全体で40%あったアメリカへの輸出割合を現在は10%程度まで減らし、リスク回避を図っていたといいます。
カミチク海外事業部・上村幸生部長
「3、4年前は(輸出する)商品の40%ぐらいリスクがあったので、リスク回避を含めて、現在は商品の10%ぐらいの比率」
今後は関税の影響で販売量が減少することが予想されますが、カミチクでは柔軟に対応していく考えです。
カミチク海外事業部・上村幸生部長
「『一時的に販売量は減る』と海外のパートナーから言われているので、仕方ないが『ゼロになることはない』と言われている。減る部分はあるのでヨーロッパ、シンガポール、香港など含めて輸出は継続的に伸ばしていく」
一方、年間約15万匹の養殖ブリをアメリカ向けに輸出している、鹿児島県長島町の東町漁協です。
東町漁協によるアメリカへのブリ輸出は30年ほど前から行われていて、これまでは関税が免除されていたこともあり、アメリカ向けの輸出は7割を占めていました。
漁協では「当面は推移を見守りたい」としつつも、今後、関税による消費の低迷が起これば、加工が始まる秋以降、生産調整などを検討せざるをえないとしています。
東町漁協 販売事業部・中薗康彦部長
「まだ始まったばかりなので、どういう風にアメリカの消費が動いていくのか注視している。影響が出るようだったら、何らかの手だても、行政含めて支援をお願いしないといけない時があるかもしれない」
「It’s very good!」
事務所でお茶の試飲をするのは海外企業のバイヤーたちです。
鹿児島県志布志市でお茶の生産販売を手がける坂元修一郎さんは、生産したお茶のほとんどを海外に輸出していて、茶畑や工場には、多くの海外のバイヤーが視察に訪れます。
関税引き上げを翌日に控えた8日もアメリカでお茶の輸入、販売を行う企業のバイヤーが視察に来ていました。
そんな中での関税の発動は、輸入するアメリカの業者にとって大きな負担となっています。
アメリカで茶の輸入販売 FKRO Matcha・ジョシュ ヨンさん
「茶の需要が大幅に増加していて、関税引き上げを非常に心配している。小規模業者にとって24%の税率は高く、全額をお客様に転嫁するのは気が進まない。だから自分で負担しなければならない」
今、アメリカでは日本茶が注目されていて、特に抹茶がブームになっているそうです。
まさに「これから」というタイミングでの関税引き上げ。
坂元さんは影響について「関税引き上げよりもブームが上回るのではないか」とみていますが、それでも引き上げ率には驚きを隠せないようでした。
合同会社さかもと・坂元 修一郎社長
「10%くらいで止まるかと思っていたが24%って大きいのではないか。世界で日本の抹茶を中心に売れ出しているが、国内でお茶が売れなくなってきているところで、輸出が好調になってきたばかりだったのに、今回の関税で輸出に滞りがないことを願う」