衆院選で当選した465人の資産報告書が、7日に公開された。平均は2685万円で、前回より239万円減り過去最低となった。最高は麻生元首相の6億153万円。一方、「資産ゼロ」と記す議員が94人に上った。普通預金や株の金額が報告対象外という抜け穴が原因だという。

衆議院議員平均資産“2685万円”で過去最低

7日、衆議院議員の資産報告書が公開された。石破首相をはじめ、衆議院議員の財産はどのくらい潤っているのか。

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7日のテーマは「ホント?衆議院で資産ゼロ議員も…ソレってどうなの?」だ。

7日に公開の対象となったのは、2024年11月の衆院選挙で当選した議員465人で、その資産の平均は2685万円だ。

前回公開された2022年より239万円減り、初めて公開された1993年以来、過去最低となった。(株式や普通預金などを除く)

トップは自民党の麻生元首相の6億153万円だ(株式や普通預金などを除く)。地元の福岡県内や東京・渋谷区、長野・軽井沢町に複数の不動産を所有している。

党首クラスの資産を見てみると、石破首相は平均より少ない1555万円、立憲民主党の野田代表は2325万円、国民民主党の玉木代表は「ゼロ」、公明党の斉藤代表は2億2044万円、維新の前原共同代表は3818万円、共産党の田村委員長は643万円、保守党の河村共同代表は「ゼロ」などとなった。(株式や普通預金などを除く)

首相の資産が約1500万円と聞いて、街の方はどう感じているのか聞いた。

50代:
少ないんじゃないか。今までの収入とか議員生活で10万円とか配っているような人で、不動産とか色んな物持っていると思うし、年収から考えて資産がそれだけっておかしいと思う。

30代:
総理大臣でそれぐらいであっても、まぁ妥当なのかなと思う。

もう一人注目される議員は、支持率を上げている国民民主党の玉木代表だ。

報告書には「資産ゼロ」と記されている。

実はこの「資産ゼロ議員」が、今回のもう一つの特徴で、小泉進次郎議員など、全部で94人おり、前回より17人も増えている。

これについて街で聞いた。

50代:
どういうカラクリか分からないが、世の中の今の景気に合わせてうまく調整しているのかな。それにしてもゼロっていうのは、一般的な国民感情としては疑わしい。「そんな訳ないだろう」と。

年収2000万円以上といわれる国会議員で資産ゼロはあり得るのか、政治アナリストの伊藤惇夫さんに聞いた。

政治アナリスト・伊藤惇夫氏:
なぜ(資産が)ゼロになるかというと、実は「裏」がある。そこが資産公開の問題点。定期預金、貯金等は報告の義務があるが、普通預金や普通貯金は報告しなくてもいい。

さらに、貴金属なども公開の対象外で、株式は銘柄と株数を報告するだけで金額には含まれない。

石破首相が持つ三菱重工の株数は1万620株のため、7日の終値2065.5円で計算すると、約2200万円で、これだけで公開された資産を超える。

資産ゼロと記載した玉木代表も、初当選前に取得した電力関連会社の株式10株を保有していた。

このように公開された資産に普通預金や株式が入っていない理由について、伊藤さんは引き出したり変動することで、金額が変わるためだという。

資金報告書に問題点…政治団体引き継ぐと相続税掛からず

青井実キャスター:
岩田さん、なんか釈然としないと言いますか。

SPキャスター岩田明子さん:
やっぱりゼロと言われてしまうと、あまりにも現実とはかけ離れてるなという気持ちになりますね。普通預金に寄せる人も多いと思いますよ。

青井キャスター:
昔からこういう流れでやっているということですからね。

SPキャスター岩田明子さん:
国会議員同士でも話題になるんですよ。あの人幾らぐらい持ってるんだみたいな。

資産報告書の公開が始まった理由の一つが、戦後最大の贈収賄事件といわれるリクルート事件だった。

しかし、普通預金などが対象外になっている他、親の政治団体が持っていた資金を世襲で引き継いだ場合も問題が発生するという。

政治アナリスト・伊藤惇夫氏:
実質的な遺産相続なので、一般の人なら相続税が掛かるが、政治団体をそのまま引き継ぐと、相続税が掛からない。そういう問題もある。

さまざまな問題点が指摘される衆院議員の資産公開について、伊藤さんはこう訴える。

政治アナリスト・伊藤惇夫氏:
今の時代に即して変えていく必要がある。例えば普通預金についても。ある時点を区切ってもいいから報告をさせる。

私たちが納得できるような、積極的な行動を求めたい。
(「イット!」4月7日放送より)

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