「森友学園」の文書改ざん問題をめぐり、自殺した近畿財務局職員の妻が開示を求めていた資料の一部が、4日、初めて手渡された。
開示されたのは2000ページにも上る膨大な資料だ。
新事実は明らかになったのだろうか?

■問題の発覚から8年 ついに資料の一部を受け取った
俊夫さんの妻 赤木雅子さん:ここ2~3日眠れなくて、期待しすぎてもあかんし、でも期待もしたいし、何が出るのか。
財務省へ向かう車の中でこう語った赤木雅子さん。
手に持っているのは夫の俊夫さんが愛用していたカバンだ。
俊夫さんの妻 赤木雅子さん:これ、1000枚入ると思うんですよ。これに入れてあげようと思って、きょう持って来たんですよ。
夫が自殺に追い込まれた“文書改ざん問題の真相”を知りたい。
問題の発覚から8年たち、ようやく、求めていた資料の一部を受け取る日が訪れた。

■詳細は今も謎…森友学園公文書改ざん問題
2017年に表面化した「森友学園公文書改ざん問題」。
大阪府豊中市の国有地が、8億円以上値引きして学校法人に売却され、財務省が関連する公文書を改ざん、破棄するという前代未聞の事態となった。
雅子さんの夫で近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54)は、この改ざん作業を強いられ、うつ病を発症。その後、自ら命を絶った。
俊夫さんの妻 赤木雅子さん:『犯罪行為をしてしまった、僕は犯罪者なんだ』、『内閣が吹っ飛ぶようなことをしてしまったんや』とは言っていたので、『死ぬ、死ぬ、もう僕は死ぬんだ』ってことばっかり言って。
財務省は調査報告書で当時の佐川宣寿理財局長が、「改ざんの方向性を決定づけた」と結論付けたが、具体的な指示や改ざんの経緯などの詳細は、今も謎に包まれたままだ。

■土地取引の経緯に関する内部資料 17万ページのうち2000ページ以上が手渡された
財務省が検察に提出した資料の有無すら明かさず「不開示」としたため、雅子さんは裁判を起こし、ことし2月には不開示の取り消しを命じた大阪高裁の判決が確定している。
財務省は17万ページに及ぶ資料について、最低限のマスキングをして開示する方針を固め、4日、このうち2000ページ以上を雅子さんに手渡した。
懸念されていた黒塗り部分は一部に限定。
今回、開示されたのは土地取引の経緯に関する内部資料だった。

■当時の総理夫人に関する記録はなし
しかし、その中には本来あるはずの重要な記録がなく…。
俊夫さんの妻 赤木雅子さん:昭恵さんとのスリーショットの写真を受け取った時のもの(記録)がないので、そこがとても残念です。
それは、森友学園の小学校の名誉校長を務め、土地取引に関して「口利きがあったのではないか」との疑惑が持たれていた、当時の総理夫人・安倍昭恵さんに関すること。
森友学園の籠池氏側が、昭恵さんと撮った写真を近畿財務局の職員に見せた日の応接記録がなかった。
雅子さんによると、近畿財務局の職員は、写真を見た日の応接記録を取っていると話していたという。
真相解明に向けた雅子さんの戦いは、これからも続く。
俊夫さんの妻 赤木雅子さん:『死ななくてもよかったのにね』と言ってあげたい。死ななくても、これだけ応援してくれる人もいるのに。
ことし6月には、俊夫さんがまとめた資料が開示される予定で、改ざんの経緯が明らかになるかが注目される。

■「財務省の方も開示を一生懸命やってくださっている。感謝しながら受け止めたい」と赤木雅子さん
今回の文書の開示を受けて、亡くなった近畿財務局職員の妻・赤木雅子さんはどう感じたのでしょうか。東京にいる雅子さんに生中継で話を聞いた。
菊谷雅美記者:こちらの部屋では、雅子さんと関係者が今も開示された文章を確認する作業を進めています。黒塗り部分は一部に限られていたため、雅子さんもほっとした表情を見せていました。しかし膨大な資料のため、全ての内容を確認するには時間がかかりそうです。

開示されたばかりで、まだ全て確認はできていないが、まず今の気持ちはどうなのかか?
赤木雅子さん:夫が亡くなって7年、裁判を始めて5年たちますが、もしかしたら今日、“折り返し”のところにやっと到着できたのかなと思っています。
関西テレビ 吉原功兼キャスター:6月にはさらに6000ページ開示される予定と聞いていますが、どういうところを期待されますか?
赤木雅子さん:6月に出るものは、夫がまとめたものが出ると聞いておりますので、夫が何で改ざんをしなくちゃいけなくなったのか。改ざんをしたことで心を痛めて病気になり、結局亡くなってしまうのですけれども、その経緯が分かるんじゃないかと思うので、期待しています。
関西テレビ 吉原功兼キャスター:1年かけて開示して行く方針だということですが、1日も早く、赤木俊夫さんが関わる部分を開示してほしいというお気持ちでしょうか?
赤木雅子さん:はい。ただ財務省の方も、人、時間、労働力をかけて、今回の開示を一生懸命やってくださっていることは分かるので、それは感謝しながら受け止めたいと思います。

■「財務省の腐敗によって心を病んで亡くなった」その腐敗をなくすことが大事だと藤井教授
文書が開示され、真相解明に向け一歩前進した。
京都大学大学院 藤井聡教授:今回の事案全体を通して、財務省という政府の中の一省庁の『腐敗』と断定しているわけですけれども、腐敗によって心を病んで亡くなるという帰結になった。
京都大学大学院 藤井聡教授:しかもその腐敗の深刻なところは、腐敗の存在を明確に示す証拠である公文書の開示をこれまで拒んできた。そして司法によってようやく開示させられることになった。ということは腐敗の闇がさらに深いということを意味している。
京都大学大学院 藤井聡教授:ですから、赤木さんの真相をはっきり明らかにすることを通して、腐敗というものにしっかり光を当てて、こういったことが二度と起きないように、腐敗そのものを直していく、なくしていくことが大事だというふうに思います。

今回開示されたのは一部ということだが、これからどういった点がポイントになるのだろうか。
関西テレビ 神崎博報道デスク:一つは、土地取引で大きく減額されて、土地が渡っているプロセスはどういったものだったのかということ。
関西テレビ 神崎博報道デスク:それからもう一つは文書改ざんです。誰がどういう指示を出して、赤木さんが改ざんさせられたのか。そこはやはり雅子さんも一番気になるところだと思うので、文書改ざんの指示・経緯が具体的に分かることが期待されます。
どこまで明らかになるのか、引き続き注視していかなければならない。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年4月4日放送)