満開を迎えた桜の花が、春の訪れを告げるとともに、人々の「旅立ち」を見守る。福岡空港には、さまざまな思いを胸に旅立つ人たちの姿が見られた。
期待と不安…初めての東京暮らし
「じゃあね」「バイバイ」「がんばれ!」「行ってらっしゃい!」2025年春、福岡空港では、大きな荷物を抱えて新天地に旅立つ人や見送る家族などがロビーに溢れた。

「就職で東京の方に行くので、きょうは大学の友だちが見送りに来てくれて…」と話すのは22年間、福岡で生まれ育った田上明香里さん。初めての上京だ。

「最初は不安が多かったんですけど、みんなが来てくれたので、これを機に頑張って4月からやっていこうと思います」と笑顔で友だちに手を振った。

熱い思いを胸に九州から北海道へ
「家族は、もう大好きの一言ですね」と見送りに来た家族とハグする男性。「自衛隊に勤めていて、神奈川だったんですけど、転勤で北海道に行くことになりました」と話すのは18歳の岩田澪玖斗さん。

この春、神奈川県の陸上自衛隊高等工科学校を卒業し、束の間の帰省だった。新年度からは、北海道での勤務が始まるという。

「寂しくなりますけど、これから先も頑張ってほしい」と母親もエールを送る。

「不安は大きいですけど、やっぱり家族を楽させて助けるために、日本を守るために全力で頑張りたいと思います」と岩田さんは熱い思いで出発口へと入って行った。
まだ住む家が決まっていない…
「気を付けていけよ!」「頑張って!」と家族や親友から見送られるのは、東京に転勤することになった有働由理さん(31)。

見送りに来た小澤歩未さんとは10年来の親友だという。「野球で仲良くなりました。野球で繋がりました」と話す小澤さん。福岡といえば、当然ホークス?「いいえ、千葉ロッテ…」とちょっと言い難そう。

2人は大のマリーンズ好きなのだ。ホークスでも活躍した井口資仁さんを追いかけてロッテファンになったという。

有働さんは、2度目の転職で2度目の上京。引っ越しには慣れていると思いきや「テレビのインタビューで言うことじゃないけど、まだ家が決まってなくて…」思わず、えっ!?と取材班も絶句した。

「時期が時期だし、全然、部屋が空いてないと言われて…。3月末の入居が全然、取れなくて、4月以降しか入れない感じで…。やばいですよね」と不安な表情を浮かべたまま出発口に消えた。東京ではしばらく、知人の家に身を寄せる予定だという。

しかし、なんとこの直後、搭乗便の離陸寸前に部屋が決まった連絡が入ったという。ドタバタの上京劇だったようだ。
自分らしく自分の道を…
「就職が名古屋なので11時40分の飛行機に乗ります」と話す少し緊張した面持ちの男性は、18歳の大森康平さん。「生まれてからずっと福岡で…、就職で初めて名古屋に行きます」両親からの愛情をたっぷりと受け、小さい頃からスポーツに親しみ、すくすくと育った康平さん。4月からは、大手鉄鋼メーカーで働くのだという。

「自分らしく自分の道を進んで」と父親の寛幹さんが声をかける。「はい!がんばります」と応える康平さんの背中を父親はバンバンと叩く。

「立派に独り立ちできて、あとは自分の道を送ってもらうだけなんで。バックアップはしていきたい」と息子を見送った。

ドキドキとわくわくが入り混じる中、福岡から新天地に旅立った人たち。それぞれのこれからに満開の桜が咲くことを願って―「ガ・ン・バ・レー」
(テレビ西日本)