石破首相は3日午後、首相官邸で記者団の取材に応じ、アメリカのトランプ大統領が日本を含む各国に相互関税を課す方針を示し、自動車に25%の追加関税を発動したことについて、「極めて残念で不本意だ。WTO協定や日米貿易協定との整合性について、深刻な懸念を有している」と述べ、アメリカに対し措置の見直しを強く求める方針を表明した。その上で「トランプ大統領に直接話しかけていくということが適当であれば、最も適当な時期に働きかけていくことを全く躊躇するものではない」と強調した。
石破首相は前提として、日本は2019年以来、世界最大の対米投資国として米国経済に多大な役割を果たし、日系自動車メーカーの直接投資や230万人の雇用創出は世界一と言っていい規模だと強調した。
その上で、「アメリカ政府に対しては、これまで一方的な関税措置について様々なレベルで見直しを申し出てきたが、このような措置が実施されたことは極めて残念であり不本意に思っている」と述べた。
石破首相はさらに、「アメリカ政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係だけではなく、世界経済あるいは、多角的な貿易体制全体に大きな影響を及ぼすものだ。WTO協定や日米貿易協定との整合性について、我が国として深刻な懸念を有している」と語った。
また、トランプ大統領が、日本はコメに700%の関税をかけていると事実と異なる主張をしていることについて、「国家貿易で輸入しているミニマムアクセス米は輸入差益のみで輸入をしていて関税は無税だ。それ以外の輸入には1キロ当たり341円の関税を課している。今般の相互関税措置を発表しコメについて言及したことも併せて考え、極めて遺憾に思っている」と強調した。
石破首相はその上で「今後もアメリカに対しては措置の見直しを強く求めていく。閣僚あるいは事務方がきちんと積み上げていくが、その上で私自身がトランプ大統領に直接話しかけていくということが適当であれば、最も適当な時期に最も適切な方法で働きかけていくことを全く躊躇するものではない」と述べ、トランプ大統領との直接協議も、環境が整えば辞さないとの意向を示した。
また、「関税措置による国内産業への影響を十分に精査して、万全の支援をしていく」と述べ、自動車関税の発効を受けた短期対応として全国への特別相談窓口を設置し、政府の副大臣・政務官らを自動車産業が集積している地域や関連工場に派遣する方針を示した。
さらに資金繰り・資金調達への支援として、関税の影響を受けた中小・小規模事業者向けに、日本公庫のセーフティネット貸付の利用要件を緩和するなどし、自動車部品サプライヤーの事業強化のための支援を行う「ミカタプロジェクト」などを強力に実施するとした。
石破首相はその上で、これらの自動車関税への対策を、今後、相互関税の発効の影響を受ける事業者にも同等の支援を行う方針を示し、「政府与党一丸となって、国民の生活、雇用、産業を必ず守り抜いていく」と強調した。