超党派の国会議員で構成される「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が25日、国会内で会合を開いた。
この議連は、有罪判決を受けた人が裁判のやり直しを求める「再審制度」について、制度の不備が、冤罪(えんざい)被害者を救えない理由の1つであるとして、再審法(刑事訴追法の再審規定)の改正を目指している。
会合では、今国会での成立を目指している改正案の要綱が公開された。
注目は、「再審開始決定に関する検察官の不服申し立ての禁止」。
これまで、袴田事件や福井中3殺害事件などで、裁判所が再審を決めたあとに検察が「異議申し立て」や「抗告」を行うことで裁判を長引かせることに批判が相次いでいたが、これを一切禁止するものだ。
また、検察が裁判に不利な証拠を隠蔽することを防ぐため、裁判所が証拠の開示を命令できるようにする規定も明記した。
そのほかにも、再審請の対象となった事件の取り調べに関与した人が、裁判官として再審請求後の裁判に関わることができなくするルールも設けた。
議連には、自民党から共産党まで370人の国会議員が参加しているため、今の国会において与野党の賛成多数で可決することを目指してきたが、ここに来て新たな懸念が発生している。
これまで再審法改正に慎重だった法務省が14日、法制審議会で再審制度について諮問すると発表した。
議連のメンバーからは、「法務省はあれだけ反対していたのに、急にどういうことか」などといった不満の声が相次いだ。
法務省主導の”再審法改正案”が提出されることで、本来の趣旨が骨抜きにされるのではという警戒感がある。
議連の柴山昌彦会長(自民党)も、「国権の最高機関であり、唯一の立法機関は国会なのだから、私たちのプロセスが優先するのは憲法上明らかだ」と強調し、法務省の動きをけん制した。
さらに柴山氏は、自民党の部会で骨子案を説明しようとしたものの、ある議員によって阻止されたことを紹介。「法務省が有力な議員に言っている(頼んでいる)可能性がある」と指摘した。
ある出席議員は、「これだけ改正への期待が世間で高まっているのに、自民党のせいで実現しなかったら大変なことになる」と危機感を募らせた。
議連は、ゴールデンウィーク後には国会に法案を提出したい構えだ。