たき火のパチパチと木が爆ぜる音とゆらめく炎、そして香ばしい煙のにおいー。身体だけではなく、心まで温めてくれるような、そんな魅力を感じる人も少なくはないだろう。たき火にはまり、気軽に楽しんでもらえる場所をとカフェを開いた「タキビスト」の男性にたき火の魅力について聞いた。

大学職員からタキビストへ

「たき火」といえばキャンプ場を浮かべる人が多いと思うが、たき火が楽しめるのは長崎県東彼杵町の国道205号沿いにあるカフェTAKIBIBA[R](タキビバ)だ。カフェのオーナーで「タキビスト」のBo-ta(ボータ)こと田中亮太さんは、もともとたき火とは無縁の仕事をしていたという。

この記事の画像(9枚)

Bo-ta(ボータ)さん長崎大学の職員として建築系の仕事をしていた。もともとたき火が好きでキャンプなどでたき火をしていたが、もっと多くの人にたき火のよさを知ってほしいとイベントを開いたり、ついにはたき火が楽しめるカフェを開くことにした

初心者でも簡単に火起こしできる「ファイヤースターター」

火を起こすには準備が大切だ。麻ひもをほぐしたもの、小枝、たき木という順番で燃やしていくが、最初は何を使って火をつけるか、知っているだろうか。マッチやライターではない。タキビストはある道具を使う。

Bo-ta(ボータ)さんファイヤースターターを使う。かなり火花が散るのでこれを麻ひもに落としてあげて火を起こす

ファイヤースターター
ファイヤースターター

「ファイヤースターター」は、「ロッド」と呼ばれる金属製の棒と、「ストライカー」と呼ばれる火打ち石の役割をする金属製の道具で、ストライカーでロッドを削り、麻ひもなどに落とすだけで簡単に着火できるという。ガスなどの燃料を必要としない上、ロッドは長いものでは3万回程度削れるため、長期間使用できる優れものだ。

「針葉樹」と「広葉樹」の使い分け

たき火というと大事なのはやはり「薪(たきぎ)」だ。Bo-ta(ボータ)さんは知り合いからいろんな薪を譲ってもらい、何種類もストックしている。その中で大きく分けると「針葉樹」と「広葉樹」の2種類に分けられる。

それぞれ特徴が違うという。Bo-ta(ボータ)さんによると「針葉樹」は「軽くて密度が低く、燃えやすいため、火起こしの最初の焚き付けに使うのに適している。」としていて、短時間に一気に火力を上げたいときなどに用いるとよいという。

一方、「広葉樹」は「ずっしりと重たく、密度が高い分燃えにくいが一旦火がつくと火力が安定していて燃焼時間が長い」という特徴がある。

ちなみに、この日のたき火のラインナップは針葉樹の「ヒノキ」と広葉樹の「サクラ」 で、薪の種類の組み合わせも“タキビスト”ならではの技が生きている。

たき火で焙煎するコーヒーと食事で特別な時間

たき火を使ってコーヒー豆の焙煎もできる。火に近づけて豆を焙煎する。15分ほどで色づいてきたら、自分で炒った豆を使ったコーヒーをその場でいただくこともできる。

たき火を使ったコーヒー豆の焙煎体験も
たき火を使ったコーヒー豆の焙煎体験も

さらにたき火を眺めて楽しみたいという人は、カフェの席から見ることができる。煙のにおいを気にせず食事を楽しみたい人にはピッタリだ。

カフェでは地元の食材を使ったみそ汁やおにぎりなど健康を意識したメニューを提供している。季節の小鉢やスイーツは好きなものを追加することができる。

Bo-ta(ボータ)さん:たき火は一人でもずっと見ても見飽きなくて癒やされるし、大勢で囲んでも会話がはずんだり、コミュニケーションがとれる時間になる。そういうこともたき火の大きな魅力だなと思っている

たき火を見ながら自分で焙煎したコーヒーを飲んだり、食事を楽しんだりする。ここでは贅沢で特別な時間が流れている。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
テレビ長崎

長崎の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。