福井県大野と岐阜県郡上をつなぐ国道158号沿いで2月から3月にかけて土砂崩れが相次ぎ、一部区間で通行止めとなっている。岐阜県側から車が流入するのを防ぐため、中部縦貫自動車道の一部区間も通行止めに。復旧時期は未定で、すでに観光業にダメージが出ている。

土砂崩れで通行止めとなっている国道158号の現場(福井県提供)
土砂崩れで通行止めとなっている国道158号の現場(福井県提供)
この記事の画像(8枚)

福井県によると、福井と岐阜をつなぐ国道158号の県境付近で土砂崩れが相次ぎ、3月18日午前11時半以降、大野市朝日から岐阜県境までの18.5キロが通行止めとなった。この区間では2月16日にも土砂崩れが発生し、約2日間、全面通行止めに。その後、約100メートルの間で片側交互通行となっていた。
  
土砂崩れによるけが人はなく、通行止めの区間内に集落はない。しかし、う回路がないため大野市と岐阜県郡上の間は車で往来できない状況。というのも、岐阜県側からの車両の流入を防ぐため中部縦貫道・油坂峠道路の「油坂除雪センター前」から「白鳥インターチェンジ」までの11.1キロも通行止めに。さらに、一般車両に限り大野と郡上を行き来できる県道127号も冬季期間の通行止めで4月25日までは通れない。大野市内のスキー場では中京方面からの客足に影響が出ている。

福井-岐阜県境で通行止めになっている区間
福井-岐阜県境で通行止めになっている区間

福井和泉スキー場(大野市)の土本裕和支配人によると、バスツアーにキャンセルが出たという。営業期間中は名古屋から岐阜県郡上を経由して国道158号を通る日帰りバスツアーを手配しているが、今回の通行止めの影響で北陸自動車道経由になった結果、移動時間が45分ほど長くなった。そのため、スキーを楽しむ時間が減ることや帰宅時間が遅くなるなどの理由からキャンセルが相次いだという。

中京方面からのバスツアーに通行止めが影響
中京方面からのバスツアーに通行止めが影響

通行止めの影響はツアーバスの運転手にも及んでいる。国土交通省によると、一人のドライバーが昼間に貸し切りバスを運転できる上限の距離は600キロと決められている。このためバス会社では、通行止めによる経路変更に伴いドライバーを2人に増やした。運転手は「スキーシーズンが終わっても物流の仕事も多い。早く復旧してほしい」と話す。

貸し切りバスの運転手に定められた距離の上限
貸し切りバスの運転手に定められた距離の上限

福井和泉スキー場では他にも、飛騨高山を経由するインバウンド向けの雪遊びツアーが中止となった。土本支配人は通行止めの長期化に不安を募らせる。「スキー場に限らず、和泉地区はアウトドアで自然を楽しむ場所として中京方面に人気がある。夏はキャンプ場と恐竜博物館のツアーを考えているが…」と顔を曇らせる。

インバウンド向けのツアーが中止に
インバウンド向けのツアーが中止に

また、通行止めの国道158号と並行する中部縦貫自動車道への影響も懸念される。福井と岐阜をつなぐ中部縦貫道は現在、福井県側が九頭竜ICまで、岐阜県側は白鳥ICから県境までが開通していて、残すは九頭竜ICから県境となる油坂の開通を待つのみ。当初は2026年春に全線開通する予定だったが、2024年に橋梁工事で強度不足の恐れが発覚し、建設を担う近畿地方整備局は全線開通が遅れる見通しを発表。「2024年度末に改めて開通時期を発表する」としたが、まさにそのタイミングを迎える中、今回の長期通行止めが開通時期のさらなる遅れにつながる恐れもある。

中部縦貫道の全線開通に向けた計画
中部縦貫道の全線開通に向けた計画

県高規格道路課は「現時点では、国から2024年度末としている開通時期の発表を変更するという連絡は来ていない。これまで同様に1日も早い全線開通を期待している」とするが、工事に携わる奥越の運送会社は「工事現場への資材の運送がストップしている」と話していて、全線開通に何らかの影響を与えそうだ。
 
県は通行止めの解除時期は未定としていて、数カ月かかる可能性もあるとしている。

国道158号の復旧時期は未定
国道158号の復旧時期は未定
福井テレビ
福井テレビ

福井の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。