アメリカのトランプ大統領がEU=ヨーロッパ連合のワインに「200%の関税を掛ける」と警告して欧米間で報復関税の応酬が激しさを増す中、フランス・パリでワインの見本市が開催され、FNNは生産者や農家の不安の声を取材しました。パリで21日から始まったワインの見本市には、200を超える小規模のワイン経営者や農家が一堂に会し、例年約1万人の客が訪れます。
見本市を訪れた女性客は「私にとってワインは重要であり、喜びでもあります。そう、ワインを味わったり、友達と飲むのは楽しいことです」と話しました。
関税をめぐっては、アメリカが3月12日、 EUの鉄鋼・アルミに対して25%の関税を発動したのを受けて、EUがアメリカ産のバーボンウイスキーなどを対象に4月1日から報復関税を掛けると発表。これに対してトランプ大統領は13日、「EU産のワインに200%の関税を掛ける」と警告しました。
こちらに出展している生産者の中には、関税200%について「ただの脅しだ」と言う人や、不満を口にする人もいます。
ワイン生産者たちは「理解できません。フランスの生産者に影響を与えるのは明らかですが、高額な商品を買うことになるアメリカの消費者にも影響を与えるからです」「現時点では、なんとも言えません。輸入業者は関税がどうなるかを見極めようとしています。現時点では、すべてがまだ話し合いの段階であり、今後どうなるかはまだ分かりませんが、アメリカとヨーロッパの関係は、より複雑な時代を迎えつつあることは確かです」などと話しました。
トランプ大統領は一期目にもEUに対してワインの関税を25%に引き上げた経緯があります。 フランスにとってアメリカはワインの最大の輸出先で、今回、200%の関税が発動されればフランスで920億ユーロ(約15兆円)の損失が出るとの試算もあり、業界は警戒します。
フランス独立ワイン農家協会 ジャン=マリー・ファーブル会長:
アメリカは依然として世界有数の消費国で、非常に重要な市場です。私たちの目標は新しい市場を獲得することです。そのためには、多大な人材と資金が必要で、私たちはEUの支援を求めています。EUの協力を得て、新しい市場を開拓し、新たな消費者を見つけ出していく必要があります。
EUは20日、アメリカに対するバーボンウイスキーなどに対する関税の発動を4月中旬まで先延ばしにすることを決めました。貿易を担当するシェフチョビッチ委員は「双方が解決策を見つけるための時間も得られる。」と述べていて、EUとアメリカは話し合いを通じて解決の道を探ります。