西日本・東日本では各地で、スギ花粉のピークとなっているが、東京地方ではまだ予想の15%程度しか飛んでいない。今年は例年にない花粉の動きなのか…いつまで警戒する必要があるのかを解説します。
今年の花粉 例年にない動き
今シーズン、東京都内の花粉飛散開始は1月8日と、40年前に統計を取り始めて以来、最も早く、去年に比べて1か月余り早かった。例年よりかなり早い花粉シーズンの突入となり、先が思いやられる・・・と思われたが、1平方センチ当たり10個(「やや多い」ランク)に達するまで飛散開始から40日間(例年1週間以内)もかかり、これは2001年の観測以来最も長くなった。
なぜなのか?今冬は立春寒波など、たびたび強烈寒波が襲来。強い寒波が長く居座り、気温が低く経過したのが、要因のひとつだと考えられる。

2月下旬になると、気温上昇とともに、花粉も急増。2月25日には千代田区で1平方センチ当たり124個となり、都内では今シーズン初の「極めて多い」ランク(100個以上)となった。「極めて多い」に達するまで飛散開始から48日間かかり、こちらも2001年の観測以来最も長くなった。
さらに、青梅では3月6日に1473個、3月13日1679個となり、最高ランク「極めて多い」(100個以上)をはるかに上回る、桁違いの花粉を観測した。花粉症の方は万全な対策が必要だ。
まだ予想の15%前後しか飛んでいない
3月10日までの東京23区での今年の累計花粉飛散数は約6130個だったが、3月上旬のわずか10日間で約4400個も飛散した。
2月末までの約2か月間で約1700個だったのに対してわずか10日間でその3.5倍が飛散していてピークが来ていることが分かる。これは直近5年間の中で、2番目に多い増加率だ(2024年:約1.9倍、2023年:約3.2倍、2022年:約16倍、2021年:約2.1倍)。

しかし、これだけ飛んでいるが、東京23区では3月10日現在、千代田区で16%など、まだ今シーズンは予想飛散量の15%前後しか飛んでいない。
多摩地区では、23区よりは飛散しているが、それでも青梅で27%など30%前後しか飛んでいない。

シーズン東京地方の花粉は、飛散開始が早かったが、その後は寒波の影響などで低温傾向となり、本格飛散までに時間がかかったのも影響しているようだ。
近年見られない花粉の動き 今後どうなる?
予想に対する花粉の飛散割合(東京23区:2021年~2024年)を年ごとに比較すると、100%に達するまで、2021年は立ち上がりが早くて、早く終わった。一方、2022年は今年と同じで、本格飛散が遅くて、終了も4月中旬と遅かった。

スギ花粉は「梅から桜まで」と言われるが、今年はこの後、急激に増加し、終了が少し遅くなる可能性がある。
日本気象協会の予想では、東京の桜は開花が3月22日、満開が3月28日予想。今月下旬は、西日本・東日本では続々と開花ラッシュとなりそうだが、今年は桜が終わってもスギ花粉が飛ぶことが懸念される。
さらに3月下旬~4月上旬にかけてはヒノキ花粉も飛び始めるため、花粉症の方は入学シーズンにかけて万全な対策が必要だ。
あす15日以降の花粉の飛散予測は?
花粉対策のポイントは、花粉は家に持ち込まない事。

【花粉を自宅に持ち込まないポイント】
・家の中に入る前に、服を叩く
・洗濯物を取り込む前に、洗濯物をシャッフルして花粉を落とす
・帰宅したら、早く入浴する
それでも、花粉が部屋に入ったら、掃除、換気、空気清浄を徹底して行う。

目先、明日15日(土)は西から雨が降り出し、16日(日)は各地で本降りとなり冬の寒さに逆戻りとなるため、花粉の飛ぶ量は「少ない」予想。このため掃除や換気には良さそうだ。
ただ、花粉が落ちつくのは一時的。17日(月)は太平洋側では、「雨上がりの晴れ・気温アップ・風強い」と、花粉大量飛散の条件が揃い、東京は「極めて多い」予想だ。その後、20日(木・春分の日)にかけても大量飛散が続く。
花粉症の方は、4月上旬にかけて万全な対策が必要となりそうだ。