日曜日の夜、レストランで友人と食事を楽しんだ。飲酒はせず、料理とお茶だけだったが、久しぶりで会話が弾み、気付けば店内の人影はまばら。

食べ終わった食器はとっくに下げられているし、何度も水を注ぎに来る。閉店まで1時間以上あったが、なんとなくいづらくなって店を後にした。

飲食店では配膳の時、お決まりのように「ごゆっくりどうぞ」と言われるが、実際、どれだけ居てよいのだろうか。

食器を下げられたり、水を何度も注ぎに来るのは「帰って下さい」のサインなのか?

飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんに“飲食店のホンネ”を聞いた。

■飲食店に「帰れのサイン」はない 食器を下げる・お水を注ぐのは当然のサービス

飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん
飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん
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飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん:飲食店が「ごゆっくりどうぞ」と言うのも、「食べ終わった食器を下げる」「水を注ぐ」のも、すべてサービス、おもてなしです。

飲食店には、「帰れのサイン」などは全くありませんし、そういうことはしません。

もしあったら店の嫌がらせですし、そんな店にお客様は行きませんよね。

食器を早めに下げるのは、食べ終わった食器は汚れているので、片付けて目の前をキレイにし、お客様に心地よく過ごしてもらいましょうということです。

早く帰って欲しいわけでも、片付けたいからでもありません。水を注ぎに来るのも同じです。

飲食店のサービスは、注文された料理を提供して終わりではありません。

お客様が店に滞在している間、「何か用はないか」「店内の空調は大丈夫か」など常に気を配っています。

水をつぎたすのは、「何か要望はないか」と様子を伺いにいっているのです。

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飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん:混雑している時や、予約でいっぱいになっている店は、あらかじめ「〇時間でお声がけをさせていただきます」と、予約時や入店時にご案内します。それが基本です。

そうでなければ、店側から「帰って下さい」ということはありません。

「お皿を下げられたから、水を何回もつぎに来たから、帰れと言われているのかな」というのはお客様の思い込みです。心配はいりません。

気になるようでしたら、店の人にたずねればよいのです。

「お席を空けた方が良いですか?」「次の方がお待ちですか?」と聞いてみて下さい。

それで「大丈夫ですよ」と言われたら、気にせずおしゃべりを楽しんで下さい。

事前に店側から滞在時間の案内がなければ、「ごゆっくりどうぞ」は、言葉通りゆっくりしても大丈夫です。

■おしぼりでテーブルを拭くのは迷惑?

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飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん:飲食後、汚れたテーブルをおしぼりで拭いたことがある人は多いと思います。

再利用するタオルおしぼりに限った話ですが、実はこれ、店にとって困った行為なのです。

飲食後のテーブルは、料理の油などで汚れています。

タオルに落ちにくい汚れがついてしまうと、タオル業者にお願いしている店だと使えなくなったおしぼりの弁償コストが発生しますし、自分たちで用意している店だと、洗濯に手間がかかったり、買い替えるコストが必要になったりします。

もちろん、お客様に悪意がある訳ではなく、単純に「汚れたからキレイにしよう」ということだと思いますが、知らないうちに迷惑をかけているかもしれないのです。

テーブルの汚れが気になったら、店員に声をかけてテーブル拭き専用の布巾を借りるなどの配慮をしていただけるとうれしいですね。

■お客さまもお店も気持ちよく幸せな時間を過ごせますように

おいしいごちそうで幸せなひと時を
おいしいごちそうで幸せなひと時を

飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん:飲食店に入ったお客様が最初に使うのがおしぼりです。

ふわふわした気持ちの良いおしぼりが出てきたら、お客様の気分が上がって、気持ちよく食事ができるでしょう。

店はお客様のことを考え、巻き方を工夫したりして、最適なおしぼりを用意しているのです。

飲食店の始まりは、「旅人を癒すための一杯の思いやりのスープ」からだという説があります。

思いやりを持って、お互いに気持ちよく、おいしく幸せなひとときを過ごして下さい。

(飲食店専門経営コンサルタント 成田良爾さん)

関西テレビ
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