生産量全国一を誇る広島県産の「レモン」。なんとこのレモンが魚のエサにも使われている。輸入品のサーモンが多い中、国産にこだわって養殖された「広島レモンサーモン」だ。一般的なサーモンの味とどう違うのか?
「収支が合うまでに8年かかりました」
広島・大竹市阿多田島の海で養殖されているサーモン。実は、広島名産の「レモン」で育てられている。

生産者である「水信」北野達弘副社長は「広島レモンサーモン」と名付け、約10年前から養殖に取り組んできた。

「輸入のサーモンがほとんどなので、なんとか国内生産のサーモンを育てたいということで始めたのがきっかけです。収支が合うまでに8年かかりました」
「広島レモンサーモン」は広島県産のレモン果汁を入れたエサで育つフルーツ魚。例年、水温が12度前後になる3月中旬から5月上旬にかけて市場に多く出回るようになる。試行錯誤の末、2023年からようやく採算がとれるようになったが、流通量が少なく認知度アップが課題だった。
脂が乗っているのに“さっぱり味”
地元の料理人は広島レモンサーモンを「本当にさっぱりとした身質ですね。脂もしっかりと乗っていますのできれいな赤が出ている」と高く評価している。

2025年の出荷が本格化する前に、味の特色を引き出すメニューが開発された。まず地元の人に食材の魅力を知ってもらおうと、県が企画した「おいしい!広島」プロジェクトの一環だ。

大竹市にある日本料理店「魚池」の藤井宏規さんは「広島レモンサーモンを大竹市の人だけでなく広島県全体にどんどん広げたいという思いがある。すごく淡泊な魚ではあるのでいろんな味に変化できるのがポイントだと思います」と話す。
1つの海鮮丼で5つの調理法を楽しむ
目指したのは広島レモンサーモンを味わいつくす「海鮮丼」。

丼物とはいえ、部位ごとに切る厚みや調理方法を変え、漬け、焼き、揚げ、酢締め、和えを1つの丼で楽しむことができる。だし巻き卵にも削ったサーモンの身が入ったまさに“広島レモンサーモンづくし”。

これには生産者も舌を唸らせた。海鮮丼を試食した北野副社長は「酢締めもいい感じに締まっている。おいしい!」とご満悦。一般的なサーモンとの違いは、脂のおいしさがギュッと詰まっているのに不思議とさっぱりした味わいにある。料理人の多彩な仕事を楽しめる贅沢な丼だ。

この「広島レモンサーモン丼」は4月1日~30日まで期間限定で、大竹市の日本料理店「魚池」で提供される(平日ランチ限定で3,850円、要事前予約)。ほとんどを輸入に頼るサーモンを、広島ならではの特長で地元から売り込んでいく。
(テレビ新広島)