広島市西区で起きた道路の陥没事故から2月26日で5カ月。地域を元気づけようと25日、地元の子どもたちに冬ならではのプレゼントが贈られた。事故の影響を受けた周辺の保育園に園児らの明るい歓声が響いた。 

運ばれてきた20トンの雪に大興奮

トラックの荷台に盛られた大量の雪がドサーッと流れ落ち、保育園の園庭に小さな雪山が現れた。

大量の雪が運ばれた「ふくしま保育園」
大量の雪が運ばれた「ふくしま保育園」
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「きゃー!きゃー!」
待ちわびた子どもたちの歓喜の声が園内に響いている。

広島市西区の「ふくしま保育園」に届けられた雪。 廿日市市吉和から運ばれてきた20トンの真っ白な新雪に、約160人の子どもたちは大興奮だ。 

大きな雪のかたまりを手にした園児は「むにゅむにゅして楽しい」と雪の感触を楽しんだ。 雪に絵の具をかけ、1日だけの「かき氷屋さん」も登場。子どもならではの発想で遊んでいた。

陥没事故から5カ月、周辺の規制続く

この“雪のプレゼント”には理由がある。 

2024年9月、広島市西区福島町で起こった陥没事故
2024年9月、広島市西区福島町で起こった陥没事故

保育園がある福島町内で2024年9月、地下で行われていた雨水管の整備工事中に大規模な道路の陥没事故が発生。 5カ月となる2025年2月時点でも周囲に規制が続いている。 

被害を受けた4階建ての建物の解体作業
被害を受けた4階建ての建物の解体作業

陥没事故が発生した現場では、大きな被害を受けた4階建ての建物の解体工事が進む。周辺住民の中には家が傾いたため避難や住み替える人もいた。 広島市によると、現場を埋め戻す作業を行ったがその後も地盤沈下は続いていて、2月20日時点で最大約19センチの沈下が確認されているということだ。

現場から約800メートル離れた「ふくしま保育園」でも、陥没事故の当日は水道水が使えなくなる影響が出た。給食の調理に急きょペットボトルの水を用意し、食器も使い捨てのものに変更した。 

岡村順子園長は「陥没事故の時は保育園でも1日だけ水が濁る影響がありましたが、子どもたちの元気は地域の人に支えられています。今日は子どもたちの目がキラキラしていて、わくわくする体験をさせてもらっています」と話す。

「まずは今を元気に過ごせるように」

雪山を登ったり、そりですべったり、寒さも忘れて笑顔を見せる子どもたち。

保育園で雪遊びをする園児たち
保育園で雪遊びをする園児たち

その様子を特別な思いで見ていたのは“雪のプレゼント”を企画した同じ町内会の宮内秀実さん。

宮内さんは「子どもの通学路が変わったり、いろいろな面で生活への支障が出ています。町が元通りになるのがいいのですが、まずは今を元気に過ごせるようにやっております」と明るく話す。

子どもたちの笑顔が地域全体を元気づける。事故の影響が続く中、地域は一丸となって前を向き始めた。 

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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