アサリの漁獲量で全国一を誇る愛知県で、漁獲高の減少が続いています。生き残りのため、新たな養殖方法でブランド化する取り組みが田原市で進められています。

春が旬の「アサリ」は、これからが1年で一番おいしい時期を迎えます。愛知は全国一の漁獲量を誇りますが、獲れる量は年々減少していてピンチが続いています。

一大産地でもある愛知県田原市の「渥美漁協」では、アサリのブランド化の取り組みを始めています。

沖合およそ1キロの福江湾(ふくえわん)で2月25日、漁師がプラスチック製のかごを引きあげると、大粒で丸々と肥えたあさりが出てきました。

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渥美漁協の小田島保夫さん:
厳選した大きいアサリを、このカゴに入れてぶら下げることによって身を大きくする。この辺りはプランクトンが豊富なのか、身入りの良さがずば抜けて違って、身入りがすぐのった。

渥美漁協ではアサリ漁を次の世代に引き継ごうと、新たなブランド「渥美垂下(あつみすいか)あさり」を考案していて、2024年から「かごいり娘」と名付けて売り出しています。

愛知のアサリは、豊川上流からのミネラルたっぷりの水と砂が流れ込んだ、内湾の砂や泥の中で豊かな漁場が育まれてきました。

しかし、1989年に2万3118トンだった漁獲量は減少傾向で、2022年には3001トンとおよそ8分の1になっていて、危機を迎えています。

渥美漁協の小田島保夫さん:
(昔は)僕もここによく来て、よく採れました。(今は)全然いなくなってしまって。

そこで生み出されたのが「渥美垂下あさり」です。従来と異なるのは、幅16ミリ以上の厳選したあさりをかごに入れて、水深1.5メートルほどに吊り下げて海中で育てるところです。こうすることで、クロダイやエイからの食害の心配なく生育できます。

加えて、海水につかる時間が多く、プランクトンを多く得られて身が大きく太り、味も良くなります。

渥美漁協の小田島保夫さん:
炭で焼いた焼きアサリが一番のおすすめです。焼いても身が縮まないんですよ。

2025年の垂下あさりの出来について、漁師たちは「身の入り方がすごく良い」「甘い」「100点満点」などと、評価していました。

渥美漁協の小田島保夫さん:
天然アサリが採れないというのは死活問題だと思うんですけど。ブランド化がやっとできて、これが発信力になって全国に知れ渡るようになってもらいたいですね。みんなの口に届けたいです。

渥美垂下あさり「かごいり娘」は2月18日から出荷され、1キロ4320円で販売されます。苦境が続くアサリ漁の起死回生の切り札となるのでしょうか。

(東海テレビ)

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