全日本吹奏楽コンクールで、16回の金賞、全日本マーチングコンテストで25回の金賞を獲得するなど、全国的にも高い実力で知られる福岡市の精華女子高校吹奏楽部。2024年には、博多座25周年の記念公演として、座長の博多華丸さんと共に「新生!熱血ブラバン少女」の舞台にも出演した高3女子。最後のステージに密着した。

3年生にとって高校生活最後の舞台

数々の輝かしい実績を誇る精華女子吹奏楽部。1週間後に迫る定期演奏会に向けて本番さながらの練習を行っていた。吹奏楽部が1年間の成果を披露する場が「定期演奏会」。

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2日間、全4公演の日程で観客を入れて開催するこの一大イベントでは、楽器を演奏するだけでなく、演奏しながら行進するマーチングも披露される。3年生にとっては、この演奏会が高校生活最後の舞台となるのだ。

100人を超える部員たちをまとめるのは、3年生で部長の山内日菜子さん。山内さんの担当は、木管楽器のフルート。

精華女子高校吹奏楽部 運営部長 山内日菜子さん
精華女子高校吹奏楽部 運営部長 山内日菜子さん

マーチングでは、フラッグを使ってパフォーマンスをする「カラーガード」を担当している。カラーガードは、高校に入って始めたという。きっかけは以前、定期演奏会の「カラーガードショー」を見て、自分もやりたいと引き込まれたという。

中学生の頃に見た憧れの舞台に立つため、精華女子の吹奏楽部に入部した山内さんだが、最初は、先輩や同級生のレベルの高さに驚いたと話す。「本気でやりたい子たちが集まってくるので、まずはついていくのに必死だった」と入学当時を振り返る。

カラーガードとフルート。全国有数の高いレベルの部員が集まる精華女子では、片方だけでも大変だ。更に限られた練習時間内での両立は、想像を遥かに超える。

「定期的にキャパオーバーしていたんですけど、下校中、泣いたりしていました」と話す山内さん。乗り越えられたのは、自身の「負けず嫌いな性格」だという。学校から帰った後も自宅でひたすらに練習を重ねる日々。その努力が遂に実を結んだのは、2024年10月。「びっくりしました。嬉しかったというか、驚きと安堵でした」。1、2年生の時には出場できなかったコンクールに、フルートの選抜メンバーとして初めて選ばれたのだ。

1年間に約50ものイベントに出演する精華女子の吹奏楽部。その中で最も大きなものが定期演奏会だ。高校3年間の最後なので、山内さんも気合いが入る。「お客さんに楽しんで、良かったなって思ってもらえる演奏会にしたい」。

いざ!「定期演奏会」開幕

2月8日。遂に迎えた定期演奏会。初回の公演には1000人を超える観客が会場を埋め尽くす。いよいよ本番。幕が開いた。

精華女子高校吹奏楽部「定期演奏会」
精華女子高校吹奏楽部「定期演奏会」

1曲目がスタート。ダイナミックなファンファーレから始まる「蘇る火の鳥」。力強く生き生きとした演奏で観客を引き込んだ。3時間近い公演を2回行い、無事に初日が終了。ずっと緊張していたという山内さん。ほっとした表情だ。

そして、2日目。最終公演前の客席には、山内さんの母親の姿があった。娘の高校最後の舞台に淋しさを感じながらも「最後まで頑張ってほしい」と開演を待つ。山内さん自身は、引退という実感はないが「部員たちと一緒に作る音楽を楽しめたら」と舞台に向かった。

最終公演も息の合った演奏とパフォーマンスで会場を盛り上げ、いよいよ最後の演目だ。ステージ袖に部員たちが集まる。「話し合いをすると、つい白熱して言い争いになることがたくさんあった。でも本当は、お互いのことが大好きで、皆と乗り越えることができました」。同じ3年生の言葉を聞いて山内さんも思いが溢れる。これから最後のパフォーマンスだというのに涙が止まらない。

そして、いよいよ最後のステージ。演奏に合わせ、山内さんは最高のパフォーマンスを披露した。会場は、客の大きな拍手に包まれた。

苦しみながらも頑張る娘を傍らで見守ってきた山内さんの母親も涙を浮かべる。「辛いこともあったけど、それ以上に価値あるものになった。私にとっての財産」と山内さんも満足げな表情だ。

数々の実績と思い出を胸に山内さんと元祖“ブラバン女子”たちは、これから新たな夢へと進んでいく。

(テレビ西日本)

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