先日、県内の高校生によるダンス発表会があり、熊本北高校が『熊本地震からの復興』を表現しました。熊本地震から間もなく9年。復興の歩みをダンスで表現する高校生たちの思いに密着しました。

1月、県立劇場で行われた熊本県高校ダンス発表会。

昨年度からコンテスト方式ではなくなりましたが、県内の10校が出場しました。それぞれに高校生らしい躍動感を表現していました。

その中で、ダイナミックな演技で7年連続全国の舞台に立っているのが熊本北高校ダンス部です。

部員は1、2年生合わせて44人の大所帯です。

普段は文化祭をはじめ地域のイベントなどにも出演し、様々なジャンルのダンスを披露しています。

今回、熊本北高校が挑戦するテーマは「故郷~熊本地震から前へ歩み続けるために」。

間もなく発生から9年がたとうとしている熊本地震から立ち上がる姿を表現します。

【部長 古閑 千晶さん】
「私自身、熊本地震を経験した一人なので、自分の踊りを通して誰かが元気になって、見ている人が元気になってもらえるように気持ちから踊りが伝わるようにしました」

しかし、今の高校1、2年生は熊本地震の時は小学校低学年。当時の記憶があいまいな部員も多いため、この日、発表会に出演する部員である番組を視聴しました。

TKUで4年前に放送された特別番組『ふるさとは負けない~熊本地震から5年私たちは今』です。

番組では、建物などの復旧・復興だけでなく、被災者の心の復興の難しさについても描かれています。

【しあわせ運べるように】

【外部コーチ 古閑 恵美さん】
「改めてみんなまだ小さかったから記憶もない人もいるだろうし、今まで自分たちが知らなかった痛み、苦しみ、悲しさとかいっぱいあるなってすごく感じたと思うんだよね」

【生徒】
「しおりが住んでいるところは(震度)5ぐらいだったから」
「もっとひどい人たちとかもいっぱいいて、いろんな人が頑張って今みんな暮らしてるんだと思った」

【外部コーチ 古閑 恵美さん】
「最後にも流れた届けたい私たちの歌、しあわせ運べるように」
「今度はみんなのこの踊りで何か届けたい」
「改めてこの熊本地震があったふるさと熊本を表現していくために必要なもの、思いをそれぞれ感じてもらえたらいいなと思って今回の時間をとったので」

【戸澤 更さん】
「自分もまだ小さかったので、記憶もちょっと薄れてきてたんですが、(映像を)見て、自分の所の地域じゃないところはもっとひどくて」
「今感じた気持ちを持って、絶望の気持ちだったり、感じた方々の気持ちを入れてそこで生かしていけたらと思います」

発表会に出演するのは2年生全員を含む31人。

演技は熊本地震の発生から始まり、そこから熊本が復興していく姿を表現します。

【外部コーチ 古閑 恵美さん】
「とにかく今回この表現を創作するに当たって31人で取り組むということで、みんなの気持ちを一つにする、そしてその思いを前に出す、これがすごく難しいところ。踊るときにとにかく周りを感じよう、そしてみんな気持ちを一つにやっていこう、今回は『想いを一つに』っていうのを毎回毎回言いながら、ここまでやってきました」

【坂本 夢来さん】
「熊本地震が起こって、たくさんの被害を受けて心に傷を負った人もいる中で、北高ダンス部では熊本の復興を前向きに考えるような」

「様子をダンスで表現したので、そこを見てほしいなと思います」

【城咲和奈さん】
「(一番見てほしいのは)熊本地震からの復興を現したユニゾン(皆で一緒の動き)です」「今までやってきたことを全部全力で出し切れるように頑張ります」

ダンス発表会当日。

白い布で作る塔は熊本の象徴、熊本城を表現。

その熊本城を熊本地震が襲います。

何げない日常が一瞬にして奪われたあの日。

被災した街の混乱人々の苦しみ、絶望を表現します。

インフルエンザの流行もあり、31人全員が揃って踊るのは実はこの日が初めてです。

ここで衣装が暗闇を表現した黒から赤へ…。

一筋の光が生まれます。

衣装の赤は火の国・熊本の赤、そして熱く燃えるエネルギーを表現。

復興への一歩を踏み出します。

【部長 古閑 千晶さん】
「一人一人、一生懸命踊るのはもちろんですけど、その分その一人一人の思いが違うので、そこを最終的に一つの場所に向かって連れていく、自分が引っ張っていくのが大変でした」

【外部コーチ 古閑 恵美さん】
「とにかくこのダンスでみんなが何を表現しているのか見ている人たちに何を伝えるのか、メッセージとして送るのかしっかりと明確にしてステージに立つように伝えました」

最後は、全員で一つの動きをするユニゾン。復興へ向かって、これからの熊本を担う姿を表現します。

【荒瀬 大希さん】
「自分も楽しみつつ、見ている人たちにその思いを届けられたかなと思います」
「ギクシャクしたりとかありましたが」
「最高でした、楽しかったです」

【部長 古閑 千晶さん】
「これまでの練習の中で踊りの技術だけじゃなく、私たちの復興に対する思いとかエネルギーを感情や気持ちで表現する練習をしてきたので、それが少しでも見ている方に伝わっていたらなと思います」
「(今回の)経験を通してみんなが一つになれた、みんなが成長できたと思うのでいい経験ができたと思います」

熊本地震から間もなく9年。

熊本地震の記憶と教訓を忘れない取り組みには、これからの熊本を担う高校生のエネルギーがあふれていました。

テレビ熊本
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