岸田前首相の演説会場に爆発物を投げ込み、殺人未遂などの罪に問われている男の裁判員裁判。
裁判所は「殺意があった」と認定し、男に懲役10年を言い渡した。
■【動画で見る】「あえて内閣総理大臣を狙い犯行」で『懲役10年』の判決
■岸田前首相襲撃の罪に問われた木村隆二被告に懲役10年

和歌山地方裁判所・福島恵子裁判長:主文 被告人を懲役10年に処する。あえて内閣総理大臣を狙い、計画的に犯行に及んだ。その意思決定は極めて短絡的で強い責任非難に値する。
まっすぐ裁判長の方を見つめ、冷静に判決の言い渡しを聞いていた木村隆二被告(25)。
■被告は殺意を否定するも、専門家による再現実験で殺傷能力あり
事件が起きたのは2023年。木村被告は、岸田前首相が衆議院の補欠選挙の応援で訪れていた会場に、自作の爆発物を投げ込み、岸田前首相らに対する殺人未遂など5つの罪に問われている。

初公判で木村被告は殺意を否認。
木村隆二被告:人を害する目的ではないです。殺意はありません。
裁判の中では、爆発物の威力について実験を行った専門家が、検察側の証人として出廷。
再現実験で、爆発した破片が、厚さ9ミリのベニヤ板を貫通したと説明し、「木村被告が自作した爆発物には殺傷能力があると思います」と証言した。
■動機は「関心を集めるため。選挙制度に不満」

また、木村被告は逮捕された後、一貫して黙秘を続けていたため、その動機が注目されていたが…。
木村隆二被告:関心を集めるには、こういうことをしないとどうしようもないと思った。
木村被告は、年齢の要件や供託金の問題で立候補できず、選挙制度に不満を持っていて、世間の注目を集めたかったからだ」と説明した。
検察側は「人が死傷する可能性が高い非常に危険な犯行。民主主義の根幹である選挙制度を揺るがす行為」として、懲役15年を求刑。
■被告には「未必的な殺意」があった

19日、和歌山地方裁判所は…
福島恵子裁判長:爆発物の製造、使用及び所持は、いずれも身体加害目的を伴うものであり、被告人に未必的な殺意があった。
人が死んでもかまわないという「未必的な殺意があった」と指摘。
裁判所は、木村被告の自作した爆発物に「殺傷能力」があるとして、「飛散の仕方によっては人を死亡させる可能性が高い。被告人も当然認識していたはずである」と、懲役10年の判決を言い渡した。
弁護側は「控訴するかどうかは、判決書きを精査して被告人とも相談して決めたいと思います」とコメントしている。
(関西テレビ「newsランナー」2025年2月19日放送)