およそ30年間の膠着状態が動くのか。 「選択的夫婦別姓」について党内で意見が分かれている自民党が議論を再開。 少数与党となった今、どのような方向に、進んでいくのか。

■【動画で見る】「ペーパー離婚で事実婚を選んだ夫婦」もいる 『選択的夫婦別姓』の議論本格化

■婚活パーティーには「名字変わりたい派」や「どちらでもいい派」も

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「阪神ファンなんです」「同じです!最近チケット取れなくないですか、優勝しちゃったから」「ふふふ」

おととい開かれた30代向けの婚活パーティー。初対面ながら盛り上がっている!

成就して結婚となると、今の日本の制度ではどちらかの名字を選ばなければならない。およそ95%が夫の名字を選択している中、婚活中の皆さんはどうされるか?

参加者(女性):私は名字変わりたい派。結婚した実感わくと思う。

参加者(男性):特に気にしない、どっちでもいいかなと。話し合って決めたいな。

■「名字を変えたくない」という女性からの相談も

現状は認められていない「夫婦別姓」についてこんな意見も。

参加者(男性):(Q相手が違う名字にしたいと言ったら?)受け入れると思います。重要ではないかな、気持ちの問題ですかね。

 皆さんの価値観は様々だった。これまで多くのカップルを結婚に導いてきた主催者側にも、女性から「名字を変えたくない」という相談がくるそうだ。

関西ブライダル神戸明石店ベルノース 久美子さん:できれば結婚後名前を変えたくないとか、自分の名字を名乗ってほしいとか結婚相手に求める条件として伝える人はいる。

■マッチングアプリでは”結婚後の姓”について記入できる欄

そしてこちらは、令和の恋愛には欠かせないと言っても過言ではないマッチングアプリ。

記者リポート:こちらのマッチングアプリでは、プロフィールの欄に”結婚後の姓”についてどうしたいかなどを記入できる欄があるんです。

プロフィール欄には「結婚後の名字」だけでなく「事実婚」についての項目も。なぜこのような機能を作ったのか。

マッチングアプリ「ダイン」上條景介代表:夫婦別姓や事実婚は、結婚するまでに必ず議論にあがること。その価値観は人生何を考えてきたかを表すものだと思うのでプロフィールにおいて重要な要素ではないかと。

■「なんで早く別姓を選べないのかなと」「柔軟に対応できたら良いのでは」街では様々な声

では、夫婦が別々の名字を名乗ることを選択することができる「選択的夫婦別姓」の導入について、街の人たちはどう考えているのか。

29歳:暗黙の了解で、男性は変わらない風潮が強くあると思っていて私は(将来的には)苗字は変わりたくなくて。でも相手に変えてほしいわけでもない。なんで早く別姓を選べないのかなと思っている。

76歳:反対です。子供のことを考えたら、(名字を)どちらにしようかと親が決めるじゃないですか。大きくなったときにどう考えるかなと。子供がね。

51歳:子供のこともあるので子供の中で姓が違うとウチ的にも色々と問題があるので、でも家庭によって事情が違うと思うので臨機応変に、柔軟に対応できたら良いのでは。

■先週、選択的夫婦別姓についての党内での議論が再開

衆院選を経て「少数与党」となった自民党。選択的夫婦別姓についての法案が審議入りする可能性が高まったことをうけて、先週、党内での議論が再開された。参加した議員からは、様々な意見が。

推進派・松島みどり衆院議員:(同一の姓を)社会的にも強制されることによって、つらさ・不便を感じている人のことを考えた結論にしてほしい。

一方で、自民党内の慎重派は、結婚前の旧姓を“通称”として使うことができれば解決する、としている。

慎重派・高市早苗衆院議員:(旧姓の)“通称使用”の機会を拡大する、併記を拡大する旨を約束してきている。国民の皆さまへの約束をまず守るべきだという発言をした。(すでに)住民票は併記、マイナンバーカードも併記。パスポートも戸籍氏と旧氏の併記が可能。

■旧姓の通称使用では解決できない問題も

しかし中には、旧姓の通称使用では解決できない問題に直面している人もいる。

吉井美奈子さん:旧姓使用を完全に否定するつもりは元々あまりなくて。 それで何とかなるんだったら全然構わないと思うんですけど、実は何とかならない人も結構いて…。

武庫川女子大学の准教授、吉井美奈子さん。 2002年に結婚し、戸籍名は夫の名字の「谷」となりましたが旧姓の「吉井」を通称として、論文発表を続けてきた。

吉井美奈子さん:(論文は)誰が書いたかってすごく大事で、研究者もやっぱり名前で仕事をしてるたり、業績を積み重ねてることがあるんで、この辺りは私だけじゃなくて他の研究者も同じように名前を変えることのリスクっていうのはすごく感じておられると思います。

■「海外で仕事」はトラブルだらけ 行く先々で何時間も説明に費やすことも

この時点では、旧姓を使うことに問題がないようにみえるが、ひとたび「海外で仕事」となるとトラブルだらけだそうだ。

吉井美奈子さん:(海外で)研究者として発表するときは『吉井』なんですけど、パスポートは『谷』になので、同一人物じゃないよね、みたいなことでトラブルになる。発表は本当に厳しいので、本人が発表しないといけないのに、行った人が『谷さん』だったら、『お前じゃないだろ』と。厳しいところが全然使えない。なんで2つの名字を使うの?という話です。外国からするとそういう国は珍しいので、トラブルが非常に多い。

行く先々で何時間も説明に費やすことも。国際的な場に登壇できないリスクを常に抱え、現在は、ペーパー離婚をして事実婚という形をとっている。

こういったトラブルは、海外でのビジネスシーンでも頻発していて、経団連は「企業にとってリスクとなり得る」として、去年6月、政府に対し、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を出した。

国会での議論が始まり、前に進むのか、それとも…与党、野党ともに動向に注目が集まっている。

(関西テレビ「newsランナー」2025年2月17日放送)

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