観光客に人気の佐賀・嬉野温泉で源泉の水位が低下していることが判明。このため、くみ上げを抑制しお湯を節約するとともに、老朽化でお湯の漏れが生じている配管の修理など抜本的な対策に取り組むことになった。
新幹線開業で観光客増加の影響か
佐賀・嬉野市の「嬉野温泉」は温泉好きの観光客が続々と訪れる全国的にも人気のスポットだ。その嬉野温泉に異変が起きているという。

佐賀県によると、嬉野温泉の源泉の水位は、2021年には平均で約50mだったが、2024年は40.8mまで下がり過去最低となった。

西九州新幹線の開業やコロナ禍が明けたことで観光客が増え、源泉からお湯をくみ上げる量が増えたことなどが背景にあるという。
くみ上げ抑制を旅館などに呼びかけ
このため県は2024年、源泉を所有する旅館など14の業者に対し、くみ上げる温泉の量を抑えるよう文書で呼びかけた。

具体的には、「1日当たり2800t」を上限としていて、お湯を使う量が増える1月から3月にかけて2024年から1割減らすことを目指している。

これを受け、地元の旅館では温泉の夜間の使用制限や、日帰り入浴の休止などの対策を行っているという。
「すぐに枯渇するわけではない」
その上で県は、「源泉がすぐに枯渇するわけではない」として「維持していくために早めに手を打ちたい」と説明した。

一方、地元の嬉野市と旅館組合なども嬉野温泉の源泉の水位が下がっていることを受け会見を開いた(2024年1月24日)。

嬉野市によると、観光客の増加によって旅館などでお湯をくみ上げる量が増えたことや源泉から各施設にお湯を運ぶ配湯管の老朽化により漏れが発生していることが、水位が下がった原因だという。
「源泉は維持できている」
市はこれを受け風呂付の客室での深夜の利用を控えるよう呼びかけたほか、漏れた箇所の修理を依頼するなどしてお湯の節約に努めていて、「水位は下がっているものの源泉は維持できている」と強調した。

また、地元の旅館からは、宿泊客が朝に利用する大浴場をこれまでの2カ所から1カ所に減らすなどしてお湯の節約に取り組んでいることなどが報告された。
嬉野温泉旅館組合 山口剛理事長:
持続可能な限り温泉とともに共存共栄、発展していくために今後温泉の使用方法や仕組みづくりを明確にして将来に向けて取り組んでいく

また、嬉野市の村上市長は、「今後、春先にかけて多くの旅行客が訪れるが、引き続き節約を呼びかけつつ抜本的な対策につながるよう取り組みたい」としている。
(サガテレビ)