2024年12月に韓国で起きた航空事故。原因の1つにあげられているのが飛行機に鳥が衝突するバードストライク。渡り鳥の飛来が多い佐賀空港の発生件数は全国で10番目に多く、地道な対策が安全を支えている。

渡り鳥が多い干潟そばの空港

有明海の干潟には多くの渡り鳥が飛来する。佐賀空港はその干潟のそばにあるため、バードストライクの発生は多い。

干潟そばにある佐賀空港には多くの渡り鳥が飛来する
干潟そばにある佐賀空港には多くの渡り鳥が飛来する
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佐賀空港では2023年に32件のバードストライクが確認され、全国で10番目に多い発生件数だった。

このため佐賀空港ではバードストライク防止のため日々、対策がとられている。

猟銃を発砲「音で鳥は逃げる」

佐賀県から対策を委託されているのは「佐賀県猟友会」。
この日(2025年1月12日)佐賀県猟友会佐賀南支部のメンバーは、空港の滑走路周辺に鳥がいないか確認に向かった。この時期のパトロールは1日6回ほど。鳥の状況に応じて回数は増える。

パトロール開始から数分後。猟友会の1人が猟銃を手に車から降り、空に向けて発砲した。

銃を扱い始めて35年になるという猟友会の会員は、発砲による対策の効果を次のように説明する。

佐賀県猟友会佐賀南支部の会員:
鳥そのものには撃たないが、弾のヒューンという音で鳥は逃げるんですよね。いま多い鳥はタゲリですね。なかなか(空港の外に)出ていかない

「電子爆音機」を空港内に設置

バードストライクの対策は猟銃の発砲だけではない。
空港内の道路を車で走っていると、キーンという甲高い音が聞こえてきた。

高い電子音を発するのは「電子爆音機」という装置だ。鳥よけに効果があるといわれている。空港内にはこの装置が9カ所設置されている。鳥が慣れないよう設置場所は定期的に変えられる。

空港内に設置された「電子爆音機」
空港内に設置された「電子爆音機」

猟友会のメンバーは、さらに鳥を追い払うための対策を講じた。

銃で逃げない鳥には「煙火」で

その対策とは上空に花火と同じように打ち上げる「煙火」。銃による発砲で逃げない鳥に効果があるという。

佐賀県猟友会佐賀南支部の会員:
小さい鳥のカラスとかは銃で逃げますが、トンビやタゲリはなかなか出ていかないので、煙火を使います

しかし、「煙火ばかり使うと音に慣れてしまい逃げなくなるため、猟銃と煙火の両方を使わないと効果がない」と猟友会の会員は言う。状況の見極めが必要で、対策の効果を上げるのは簡単ではないようだ。

この日のパトロールは1時間ほどかけて終了。飛行機の離着陸の妨げにならないよう短時間での作業が求められる。

地道な対策が支える空港の安全

このようなパトロールは全国で約20の空港で導入されている。
国土交通省の調査によると、離着陸1万回あたりのバードストライクの発生件数は、パトロールを導入していない空港より導入している空港の方が4件から5件ほど少ないとの結果が出ている。

佐賀空港では1998年の開港以来、バードストライクによる遅延などはあるものの、大きな事故は発生していない。

猟友会の会員は「地道な作業ですが、パトロールしないと飛行機が安全に飛べないので頑張ってやるしかない」と語る。

安全に飛行機を利用できる空港の環境は、日々の地道な活動によって支えられているのだ。

(サガテレビ)

サガテレビ
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