中国系の動画投稿アプリ「TikTok」は、アメリカで一時サービスが停止されましたが、1日たたずに再開されました。

TikTokは、アメリカでの利用禁止につながる新法が19日に発効することから、運営会社は18日夜にサービスを停止しました。

しかし、トランプ次期大統領がSNSで「20日に大統領令を出し、法律の効力が発生する時期を延期する」と投稿し、1日たたずに再開されました。

トランプ次期大統領:
TikTokがかえってきた!

ユーザーからは「すごく混乱する。目が覚めたら戻ってたからうれしいけど、また何か起きないか気にしている」といった声が聞かれました。

TikTokを巡ってトランプ氏は、「合弁事業としてアメリカが50%の所有権を保有することを希望する」と主張しています。
“TikTok禁止”大統領令署名の過去も
青井実キャスター:
1日経たずに再開ということで、これは息子のバロン氏の一声が関係しているということですけれど、そもそもトランプ氏はTikTokが嫌いだったわけですよね。

宮司愛海キャスター:
実はそういう過去もあったんですね。TikTokというのは中国系の動画アプリで、2020年、トランプ氏が大統領だった時代に、TikTokが集めた情報が中国共産党などに流出して、安全保障上のリスクがあるとして、“TikTokを禁止”する大統領令に署名したということがありました。
さらには、マイクロソフトなどアメリカ企業に対しても、TikTokのアメリカ国内事業売却を求めていた過去があります。
青井実キャスター:
ただそれが今回がらっと変わって、今回バロン氏の一声なのか、変化があったわけですよね。

宮司愛海キャスター:
そうなんです。息子のバロン氏が、トランプ氏に対して「若い有権者の票を獲得するためTikTokを活用することを勧めた」とニューヨークタイムズが報じていて、これを政権の内情に詳しい関係者の話として紹介しているんですね。

青井実キャスター:
実際にトランプ氏は今回の大統領選挙で、TikTokでこのような動画を定期的にあげていたんです。
フォロワー“1490万人超”のトランプ氏
青井実キャスター:
これバロン氏が「お父さん、やったほうが良いよ」と言ったような話なんですかね。

立石修 解説委員室長:
バロンさん18歳なんですけれど、そのアドバイスは今回、トランプ氏にとって極めて役に立ったと考えます。
アメリカでは、TikTokユーザーの7割が18歳~34歳までの若年層で、つまり若者のSNSなんですよね。
そこでトランプ氏は、1490万人を超えるフォロワーを獲得したと。
これはテイラー・スウィフトや、ジャスティン・ビーバーに比べると劣るんですが、政治家としては異例の数なんです。
結果的にトランプ氏は大統領選で、前回よりも多く若者票を獲得している。トランプ氏自身も、「若者にアプローチするのにTikTokは非常に重要なツールだった」と選挙戦を振り返っています。
TikTokを「ビジネス利用」の動きか
青井実キャスター:
アメリカのメディアは、中国政府がイーロン・マスク氏に売却を検討しているとも報じているわけですが、今後TikTokはどのようになっていくと考えられるでしょうか。

立石修 解説委員室長:
去年の暮れにはトランプ氏が、フロリダの別邸であるマールアラーゴにTikTokの経営幹部を招待していると。この協議の内容は明らかにはなっていないんですが、イーロン・マスク氏もこのマールアラーゴを頻繁に訪れていて、TikTok側と何らかの接触があったと考えられます。
そもそもトランプ氏は、安全保障上の理由でTikTokを排除しようとしてきたんですけれど、選挙ではこれを利用して、今度はマスク氏と、ビジネスとしての価値を見いだそうとしているという印象も受けます。
青井実キャスター:
そう考えると柳澤さん、何でもビジネスビジネスという“トランプ流”といいますか…
そういったところも見えてくるんですが、日本も他人事じゃないですよね。
柳澤秀夫SPキャスター:
日本製鉄のUSスチール買収の話がありますよね。いま(トランプ氏は)反対していますけれど、これ本当に得になるという判断があればね、手のひら返しもあるのかなと、気になるところですね。
青井実キャスター:
そういう意味では、世界中が注目するトランプ氏の就任式が21日未明に行われます。
(「イット!」1月20日放送より)