2025年の関西経済は、どうなるのか? 6日、関西経済界のトップが顔をそろえる新年互礼会が開かれ、「newsランナー」の吉原功兼キャスターが経営者のみなさんに、ことしにかける思いを聞いてきた。 4月の万博開幕に向け、期待の声が多く上がっていた。
■関西の経済をひっぱる大企業のトップが一堂に 毎年恒例の新年互礼会

吉原キャスター:こちらは新年互礼会の会場です。関西の経済をひっぱる大企業のトップが、一堂に会しています。すごい熱気です。
大阪府の吉村知事をはじめ、関西の政界のトップや経済界のトップたちが、一堂に集まった毎年恒例の新年互礼会。
大阪府 吉村洋文知事:へび年ですから脱皮して、そして生まれ変わって、再生して挑戦してチャレンジする。これこそが大阪の魅力だと思っています。ことし2025年、皆さんと共に成長する大阪。そして万博を成功させて、皆さんと共に未来社会を作っていきたい。

景気も幸先の良いスタートを切りたいところだが…。 物価高に中小企業で伸び悩む賃上げなど、まだまだ私たちの家計は厳しい状況も…。 帝国データバンクによると、ことし4月までに値上げされる予定の食品は6121品目。 このままのペースなら、ことし1年間に値上げされる品目は、去年を上回る可能性も。
■「進化する」経営者の責任としてお約束すると大阪ガス・藤原社長

はたして2025年、関西の経済はどうなるのか? 各企業のトップに意気込みを聞いた。 大阪ガスの藤原社長は…。
大阪ガス 藤原正隆社長:2025年、大阪ガスは『進化する!』と。 (Q.物価高、光熱費も高い…どう関西の経済を良くする?) 光熱費は痛い所を突かれましたけど、お客さまが少しでも、エネルギーコストを下げられるような試みを頑張ってやっていきたい。 (Q.進化すると書きましたが?)コミットメント(約束)しないと、『したい』じゃ、できなかってもいいわけです。『進化する』と言ったら経営者の責任になるので、お約束として『進化する』と。
■大阪・関西万博への期待の声 “ホテルの需要”がカギとなると専門家

そして、なんといっても2025年は“万博イヤー”。 開幕までおよそ3カ月となる中、大半を占めたのが、大阪・関西万博への期待の声だった。
JR西日本 長谷川一明社長:万博にお越しになるお客さまに素晴らしい旅を提供する!より強い思いを込めて、(したい…から『する』へ)訂正させていただきました。 (Q.安心安全を軸に?) 鉄道事業者としての安全安心はベースでなので、そこをしっかりと築き上げた上で、お客さまの素晴らしい旅というものが堪能いただけるよう取り組んでいく。

大阪市高速電気軌道(大阪メトロ) 河井英明社長:万博を機会に、私どもグループの真価を示したい。自動運転やEVバスであったりとか、万博をテコにさらに加速させていって、万博後に万博レガシーとして一つずつ示していきたい。
大阪外食産業協会(千房) 中井貫二会長:宴を盛り上げる!大屋根リングは世界の輪。お好み焼きも丸い…なので、世界の輪をしっかりとお好み焼きとともに広げていきたい。(Q.「焼きそば」も?)焼きそばは、太く長く…味濃いめで…

ロイヤルホテル 蔭山秀一会長:ことしは万博で稼ぐぞ!しっかりと大阪関西を世界にアピールしていって、稼がせていただこうと思っています。問題は人手不足が言われてますが、そこをどう克服するかということ。
大阪・関西万博には、国内外から2820万人が来場すると想定。 りそな総合研究所によると来場者の消費額は、およそ1兆円にのぼると試算していて、万博会場以外で使う消費が関西経済の成長に直結するという。
りそな総合研究所 荒木秀之 主席研究員:万博の経済効果のカギを握るのは、“ホテルの需要”。現状ホテルの空き状況が、かなり厳しい状況。泊まれずに、他の地域に行く可能性もあるので、そうなれば万博を見終わった後の周遊観光に期待しても、それが難しい。
■中小企業の賃上げは…「価格調整していきたい」

人手不足が深刻な中、私たちの生活に直結する賃上げについて、トップの皆さんはどう考えているのか。
大和ハウス工業 芳井敬一社長:社員の人が稼いでくれた、儲けてくれた利益は、社員に還元する。過去ずっと上げてきてるので、いまさら詰まることない。 (Q.大阪ガスさんとしては賃上げする?)
大阪ガス 藤原正隆社長:もちろん、何にも決まったことありませんが、前向きに検討したいと思っています。(Q.去年あげました?)もちろん。

前向きな言葉が出る一方で…。
(Q.大企業は賃上げできそうですが、中小企業の賃上げは?) サントリーホールディングス 鳥井信吾副会長:価格転嫁しかないですよね。価格転嫁をひろめていく。どっかしわ寄せきますから、みんなが痛みわけして賃上げ実現しないと、とまりますよね。みんなの力が結集できないと、トップだけ騒いだって誰も動きませんよ。(Q.みんなで手をとりあって?)「そうそう」(Q.万博の大屋根リングのように?)そうそう。
大阪外食産業協会(千房) 中井貫二会長:賃上げはどの業態もやっていかないといけない。われわれは価格転嫁しにくい業界ではありますけど、お客さまに納得いただける価格調整をしていきたい。豚玉の値段2000円したら、みんな怒りはるでしょ。そこはしっかり自助努力で抑えていきますけど、限界もありますので、そのあたりはお客さまへのサービス力を落とさない形で、価格調整していきたい。
2025年、へび年の関西経済。 賃上げについても「脱皮」のできる1年となるのか。
■「三方よしの大阪ならではの経済を」

景気の好循環といわれる「賃上げ」は大切な要素だが、価格転嫁を簡単にしづらいホテルや外食産業などの企業では、頭を抱える方もいた。
共同通信社 編集委員 太田昌克さん:なんとか三方よしの大阪ならではの経済を盛り上げて欲しいです。そこに政府がしっかりと給付も含めて目配りしながら、脆弱な部分にはきちんと財政投資をしていくことが必要だと思います。 今年はなんといっても世界を見回すと、トランプ大統領が帰ってくる。不透明性と不確実性の高い年なんですよね。その不確実性、不透明性をどう減らしていけるのか、日本の外交力も問われる年になります。
■万博のチケットの購入数は目標の半分程度

そんな中で起爆剤にしたいのが大阪・関西万博だが、現状を見ていくと、パビリオンは遅れが懸念されていたが、すべて着工済みになったということだ。
続いて前売りチケットの販売目標は1400万枚としていたが、先月18日時点でおよそ74万枚、目標の半分ぐらいで、個人購入はおよそ47万枚にとどまっているという状況。 関経連の松本会長は「一般の市民の方が買ってくれないから達成できない」とおっしゃっていたそうだ。松本会長以外にも関西のトップのなかには「関西以外でチケットを買っていただくように声をかけていきましょう」と声をかけている方もいらっしゃった。
■「内容、楽しみ方が伝わっていない」購買につながらない万博の課題

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:博覧会協会が、万博は知っていても購買に繋がっていない理由についてあげています。『開催地が遠い』、『費用の問題』などありますが、一番に書いてあるのは『内容、楽しみ方が伝わっていない』、ここが大きいと思いますね。 実際にチケットを買うと、メールアドレスがリンクされているので、メールマガジンが届くんですよ。でも開いてみても、何が魅力的でどんなイベントをやるのかよく分からない。もう少し具体的に伝わると、購買につながるかもしれません。博覧会協会はまだ今は本格的な購入時期でないと思っているようなので、開幕直前にダダダっと増えると期待しているかもしれないです。
チケットを買う側の気持ち、目玉は何なのかという機運醸成の部分もこれからの課題となる。
(関西テレビ「newsランナー」2025年1月6日放送)