三つどもえの争い

自民党総裁選で党員投票が見送りになる中、石破茂氏と岸田文雄氏が立候補を表明した。

岸田政調会長:
国民のため、国家のために、私の全て、全力をかけて取り組む所存であります。どうぞよろしくお願いいたします。

1日午後、自民党総裁選への出馬を正式に表明した岸田政調会長。
自らの派閥の会合で、「国民の協力を引き出すリーダーを目指したい」などとその意気込みを語った。

そしてそのおよそ2時間後・・・

石破元幹事長:
国民を信じない政治が国民から信頼されるはずはありません。誠実に、謙虚に、真っ正面から逃げることなく諸課題を訴え、国民の納得と共感のもとに政策を実行する。

石破元幹事長はこう述べ、4度目の出馬となる総裁選へ支持を訴えた。

河野防衛相が、1日夕方に出馬を見送る考えを表明し、茂木外相も見送る見通しであることから、岸田氏、石破氏、そして2日に出馬を表明することにしている菅官房長官の三つどもえの争いとなる今回の総裁選。

党員投票は行わず535票の争いに

その選出方法について、1日の自民党の総務会は、今回は、緊急事態にあたるとして、国会議員と都道府県連の代表による投票で選ぶことを決定。党員投票は行わないとした。

これにより、国会議員票394票と47の都道府県連に3票ずつ割り当てられた141票の、あわせて535票で争われることになった。

二階派と麻生派、さらには安倍首相の出身派閥で党内最大の細田派に加え、石原派も支持する方針を固めるなど、次期総裁の大本命となっている菅氏。

菅氏が圧倒的有利な状況の中、それでも岸田氏と石破氏が総裁選に打って出るわけとは。

岸田政調会長:
戦いは厳しいのではないか、そういった指摘がありました。これについてはおっしゃる通りだと思います。1人ひとりの心に届くように丁寧に訴え続けることによって、活路を見いだすべく努力を続けていく。これにつきると思っている。

石破元幹事長:
自分に不利だからやめておこう。私はそういうような判断をいたしません。党員の皆さま方、広く国民の皆さま方、きちんと思いを申し述べて、そのことが強い政権につながる。

そして、それぞれの派閥議員からは・・・

岸田派若手議員:
岸田さんに選択肢はない。そんな不出馬なんてしたら、政治家・岸田文雄は死んでしまう

石破派議員:
石破さんは、今日の自分があるのは世論のおかげだと思っている。その世論で推されているのに出馬しないという選択肢はなかったんだよ

番狂わせの可能性は?

では、総裁選での番狂わせの可能性はあるのか?

フジテレビ政治部・高田圭太デスク:
番狂わせのポイントとしては、今後地方で行われる予備投票が仮に1票でも上回れば、その地方の3票が全てその候補に入るという総取り方式になるなどして、地滑り的に石破さんが勝った場合などには、国会議員票も大きく動いて、菅さんの今の優位が揺らぐという番狂わせが起こる可能性は出てきます。

安倍首相の後任を決める自民党総裁選は、8日告示、14日に投開票が行われる見通しだ。

注目は経済政策と外交安全保障政策

三田友梨佳キャスター:
今夜は哲学者で津田塾大学教授の萱野稔人さんに伺います。自民党の新総裁は両院議員総会での投票によって選ばれることになりましたが、どうご覧になりますか?

津田塾大学・萱野稔人教授:
全ての党員が投票できる形式が見送られたことに対して、オープンではないとの批判が出ています。
ただ、問題はそれほど単純ではないんです。日本は議院内閣制をとっているからです。
これは国民から選挙で選ばれた国会議員が総理大臣を選ぶという制度です。
その観点からいえば、なぜ選挙で選ばれているわけでも無い自民党の党員が事実上の総理大臣を選ぶ総裁選に参加できるのか。
むしろ国会議員だけで決めるべきなんじゃないかという指摘も成り立ちうるんですよね。

三田友梨佳キャスター:
国民が選んだ国会議員こそが民意を反映する立場にあるということですよね?

津田塾大学・萱野稔人教授:
はい。この場合問題をややこしくしているのは、自民党の総裁選が事実上の総理を選ぶ選挙でもあるということ。総裁選と総理を選ぶという2つが重なっているところです。

自民党の総裁を選ぶという点では、党の代表を選ぶということですからできるだけ広く党員の声を聞くという議論にはなると思います。

これは自民党に問題があるというよりは、議院内閣制そのものが持つジレンマだと思います。

三田友梨佳キャスター:
選挙に向けて党内の票集めだけではなくて、自分が一国のトップに着いたらどんな政治を行うのか、しっかり国民に示してもらいたいですよね。

津田塾大学・萱野稔人教授:
今回の総裁選はあくまでも任期の途中で辞任した安倍総理の後継者選びで、その点でいえば、各候補は安倍政権の政策をどこまで引き継ぐのか、あるいは引き継がないのかを明確にしてもらいたい。

三田友梨佳キャスター:
安倍政権の継承総裁にポイントとなるのはどんなところですか?

津田塾大学・萱野稔人教授:
大きく言うと経済政策と外交安全保障政策です。
経済政策に関してはアベノミクスの代表である金融政策と財政出動を重視するのか、あるいは財政再建を重視する方向をとるのか

外交安全保障政策に関しては、アメリカと中国の間の覇権争いがどんどん強まる中、日本はどういった方向の舵取りをするのか、アメリカとの同盟をより深めていくのか、中国にもう少しバランスをとって近付いていくのか、その辺りも自民党内でさまざまな議論があるので各候補がどういう姿勢をとるのか、示してほしいです。

派閥の数あわせで総裁が決まると思われないためにも、積極的な政策論議をしてもらいたいと思います。

三田友梨佳キャスター:
選挙では派閥や戦略ではなくて、政策の中身で国民にこういう理由で選んだと説明できることが重要に思います。

(「Live News α」9月1日放送分)