3日、厚生労働省が加給年金の支給額引き上げ案を提示した。晩婚化により、定年後も子育てを続ける親が増加していることなどが理由だ。

また経済同友会は、年収の壁の制約を受けずに働ける環境を整備し、持続可能な年金制度につなげる狙いから、第3号被保険者制度の段階的廃止を提言している。

定年後の子育て支援「加給年金支給額」引き上げ検討

年末が近づき、税に関する協議が本格化する中、3日も大きな動きがあった。

厚生年金に加入する人が65歳になったとき、年下の配偶者や高校生までの子どもがいると年金が上乗せされる「加給年金」について、厚生労働省が、子どもがいるときの支給額の引き上げ案を第22回社会保障審議会年金部会で示した。

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3日のテーマは、「晩婚化で子育て支援が手厚く?ソレってどうなの?」だ。

青井実キャスター:
ーー加給年金について説明します。厚生年金に原則20年以上加入する人が65歳になったとき、生計維持関係の年下の配偶者や高校生以下の子どもがいる場合、老齢厚生年金に上乗せして給付される制度です。現在は、1人目と2人目の子どもが18歳になる年度末まで、年に23万4800円、3人目以降は年7万8300円が支給されます。一方、3日に厚労省が示した新たな案では、加給年金の支給額の引き上げ、および子どもが何人目でも同額支給するとされています。

青井キャスター:
ーー理由の1つは晩婚化です。厚労省によると、1995年の平均初婚年齢は男性が28.5歳、女性が26.3歳、2023年の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性が29.7歳と約30年前に比べ、男性の平均初婚年齢は2.6歳。女性は3歳以上も上がっています。その結果、今後子育て中に定年になる親が増えるとみられるためです。

知り合いが定年後も子育て真っ最中だという方に聞きました。

60代:
(該当する知人が)働かなくちゃいけないと言ってました。心配してますけど、やっぱり年金だけじゃ足りないと言ってます。

50代:
将来的に65歳以上なったときに、(子どもは)まだ18歳未満…70歳ぐらいまで働かないといけないという人はいるので、そういう人のためにはいいんじゃないですかね。

青井キャスター:
ーー65歳までに子どもが成人する場合は、今回の案の対象にはなりませんが、どうですか?

20代:
“少子高齢化”と言われているので、そこにお金をかけるのはいいと思います。自分に返ってこないっていうのは正直…それなら若い世代にも子育て支援できるようなことも考えてほしいですね。

30代:
子育ては、みんなでしていくものと思うのでいいと思う。財源はこういう年金に限らず、「どうなってるの?」と思います。

持続可能な年金制度へ…第3号被保険者廃止を提言

青井キャスター:
ーー厚労省はほかにも、老齢基礎年金や障害厚生年金、遺族厚生年金も新たに支給対象に加えることも検討しています。理由はやはり晩婚化です。

スペシャルキャスター・岩田明子さん:
少子高齢化対策の一環として有意義だと思いますが、こういった制度設計については、できるだけ不公平感をなくしていくということ、それから社会の実態に合うようにしていくってことが大事だと思いますので、総合的な議論が必要だなというふうに思います。

青井キャスター:
ーー一方で「加給年金」で65歳未満の配偶者がいる場合に上乗せされる給付は、新たに受給する人の支給額を見直することが検討されています。理由は、共働き世帯の増加です。現在受給している人への支給額は維持するとしています。

こうした流れに呼応するように、経済同友会が段階的な廃止を求めているのが、主婦やパート従業員などが年金を受給できる「第3号被保険者制度」です。
“3号”とは、約760万人いる会社員などの配偶者で年収130万円未満に分類される人たちです。
経済同友会の狙いは3号の廃止で、年収の壁の制約を受けずに働ける環境を整備し、持続可能な年金制度につなげることです。

経済同友会・深沢祐二氏:
3号を段階的に廃止し、現在の制度で第2号被保険者(会社員など)が負担している第3号の基礎年金の半分、あるいは第1号(自営業など)の財政調整、こういうものをなくしていくということです。

青井キャスター:
私たちの生活に直結する年金制度はどうなるのか。今後も、しっかりと見ていきたいと思います。
(「イット!」12月3日放送より)

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