毎年、現役プロ野球選手100人に独自取材を行い、打撃や投球など各分野のNo.1を決定するフジテレビ「すぽると!」の人気企画「プロ野球100人分の1位」。
16年目を迎えた2024年は、「変化球」「打撃」「守備」「直球」「走塁」の5部門で調査。果たして現役選手が選んだ各分野の最高選手とは!
第2弾は「打撃部門」。2023年シーズンまでは「バットコントロール」と「パワーヒッター」の2部門に分けて調査していたが、今シーズンは「打撃部門」に統合。すると、技と力の戦いが勃発! 卓越した技術を持つバッターか、それともパワーで圧倒するバッターか、技と力のぶつかり合いが興味深いランキングとなった。
第5位の選手から順に紹介していく。
第5位:3票/フランミル・レイエス(日本ハム)
この記事の画像(14枚)「当たったら飛んでいくし、本当に怖いバッターだなと思います」西武・武内夏暉投手(23)
「当たった瞬間の速さがもう桁違いですね」楽天・小郷裕哉外野手(28)
今シーズン、日本ハムの快進撃を支えた頼れる主砲・レイエス選手が5位にランクイン。リーグ2位となる25本のアーチを放った、そのパワーを間近で見てきたチームメイトの清宮幸太郎選手も「ハンパない」と脱帽する。
「でかいし。軽打でも打球速度が余裕で170キロを超える。なんだよ、それ、俺らが頑張って打って170キロを超えてんのに、2ストライク追い込まれてから、ちょこっと当てたら170キロみたいな」清宮幸太郎内野手(25)
9月26日の楽天戦で放ったホームランの打球速度はなんと175キロ。弾丸ライナーで左翼ブルペンの壁に直撃した当たりは、着弾までわずか3秒半という驚愕の一発だった。
第4位:4票/宮﨑敏郎(DeNA)
「バットコントロールもそうですし、パワーもそうですし、本当に全てがすごいなと思います」阪神・大山悠輔内野手(29)
「どこに投げても当てられる。パワーもある中であのバットコントロール」DeNA・東克樹投手(29)
4位は、2023年までバットコントロール部門で常連だったDeNAの宮﨑敏郎選手。
キレのあるストレートを差し込まれても、手元で鋭く変化する球に泳がされても、ベテランらしい対応力でヒットを量産。そんな宮崎選手の技術は、ライバル球団の主砲が教科書にするほどだ。
「YouTubeでも見られるので、常にバッティングを見て勉強させてもらってます。9月30日の試合でもファウルになって次のボールを打ち直してホームランになったり…。僕がファーストでセカンドが中野なんですけど、目が合いましたもんね。『すごくね?』みたいな」阪神・大山悠輔内野手(29)
第3位:5票/ドミンゴ・サンタナ(ヤクルト)
第3位にランクインしたのは、今シーズン、最高出塁率のタイトルを獲得したヤクルトのドミンゴ・サンタナ選手。
「逆方向に力強い打球が飛びますし、確実性というのもある」ヤクルト・山田哲人内野手(32)
「一生打っているイメージですかね。どこに投げても、変化球もまっすぐも」巨人・吉川尚輝内野手(29)
実は、サンタナ選手、2022~2023年はコース別打率に偏りがあった。しかし、今シーズンは、2割を切るコースが存在しないのだ。
サンタナのアウトローの打率
2022年 .102
2023年 .176
2024年 .208
(提供:データスタジアム)
どんなコースでも打ち返す高い技術を身につけ、来年は首位打者獲得を狙えるかもしれない。
第2位:19票/タイラー・オースティン(DeNA)
ここまで、5位は力のレイエス選手、4位と3位は、技の宮崎選手、サンタナ選手と、やや技巧派バッターが際立つなか、2位に入ったのは力と技を兼ね備えたDeNAのタイラー・オースティン選手。
「メジャーリーガーがプロ野球でやっているという感覚です」阪神・森下翔太外野手(24)
「対応力もすばらしいですし、全部兼ね備えていますよね、パワーも。羨ましいです」DeNA・宮﨑敏郎内野手(35)
「見ていて憧れるような選手だと思います」中日・細川成也外野手(26)
来日5年目で初の規定打席に到達。定評のあるパワーに加え、今シーズンは22試合連続ヒットを記録するなど際立った技術も見せ、セ・リーグ首位打者に輝き、チームを日本一に導いた。
セ・リーグ、ナンバーワンのバッティング技術をパ・リーグ首位打者の近藤はこう語る。
「ただただ外国人のフィジカルだけじゃなくて技術も高いなってすごく思いました。オールスターで一緒になって、バッティングもいろいろ聞きましたし、打球が上がらなくてもヒットゾーンに飛ぶ技術の高さがあるかなと思います」ソフトバンク・近藤健介外野手(31)
第1位:54票/近藤健介(ソフトバンク)
そして、栄えある第1位を獲得したのは、パ・リーグMVPに輝いたソフトバンクの近藤健介選手。
「本当にちょっと次元が違うなと思いながら見てます」日本ハム・万波中正外野手(24)
「全部兼ね備えてるんで、対戦しててめちゃくちゃ嫌ですね」オリックス・森友哉捕手(29)
「すごくバランスがよくて、全てが高いレベルにあるような気がする」ヤクルト・青木宣親外野手(42)
「何かが抜けているというよりかは、全てが抜けているっていうイメージがある」広島・大瀬良大地投手(33)
「すごい。すごいっす」西武・源田壮亮内野手(31)
驚くべきは、その得票数。54票となんと半分以上の選手が近藤選手の名前を挙げたのだ。票を入れた選手たちが賞賛したのは、そのバットコントロール技術の高さ。
「やっぱりバットコントロールもそうですし、守っていても怖いなと思いますし」ロッテ・岡大海外野手(33)
「甘く入ったボールは絶対に初球で仕留める。バットコントロールとかすごいなと思います」阪神・才木浩人投手(26)
「バットコントロールというか、追い込まれる前の甘いボールを一球で仕留めるっていう技術もすごい」ヤクルト・石川雅規投手(44)
近藤選手のバットコントロール技術の高さはデータを見ても一目瞭然。ヒットを広角に打ち分けていることがわかる。
2024年・近藤健介の安打打球方向
左・26% 中・38% 右・36%
(提供:データスタジアム)
そして、今回から「バットコントロール部門」と「パワーヒッター部門」を統合して「打撃部門」になったからこそ、選手からはこんな声が。
「確率も下げないでしっかり長打も増えてましたし、ホームランも打てるようになった。総合的には今、ナンバーワンかなと思いますね」巨人・坂本勇人内野手(35)
「打率、ホームラン、打点、バッターが一番理想とするバッターなのかと思います」DeNA・牧秀悟内野手(26)。
「ホームランを逆方向にも入れられる。パワーだけで言ったら外国人選手だったりとか、同じチームの山川選手だったりとか、たくさんすごいバッターがいると思うんですけど、自分の力をテクニックで余すことなくボールに伝えてる感じがすごくします」巨人・丸佳浩外野手(35)
並居る強打者の言葉通り、ここ5年のホームラン数をみると、2023年シーズンから、その数は明らかに上昇している。
近藤健介の年度別本塁打数
2020年 5本
2021年 11本
2022年 8本
2023年 26本
2024年 19本
しかも、ヒットだけではなく、ホームランでさえも広角に打てているのだ。
2024年・近藤健介の本塁打打球方向
左・21% 中・32% 右・47%
(提供:データスタジアム)
今シーズン、近藤選手が攻略したピッチャーは86人。投手は皆、近藤選手対策に手を焼いているようだ。
「エスコンフィールドで、レフトフライに打ち取ったかなって思ったら入ってしまったホームランがあったので、ちょっとメンタルがマウンド上で崩れかけましたね。年々投げづらさをすごく感じてますね」日本ハム・山﨑福也投手(32)
「ランナーがいる状態で打席に立ってほしくない。単打だったら僕の勝ちと思ってやるぐらい。すごくいい選手なので、そう思って対戦はしてます」オリックス・宮城大弥投手(23)
「最初から最後までやられっぱなし、どうやって押さえたらいいか分からないない打者です。ボール一つ分見逃されますし、低めのボール球は絶対振ってくれませんし。同じパ・リーグなんで、来季は抑えられるようにって感じです」楽天・藤井聖投手(28)
「打率3割と出塁率4割は必ずやらなければ」
「すぽると!」のスタジオに生出演した近藤選手は、「評価が“総合的”に変わって、それで取れたっていうのは、ものすごく嬉しいです。現役選手から評価をしていただいた。『全てを兼ね備えている』と言っていただいたのはやはり嬉しい」と喜びの言葉を口にした。
最強バッターに選ばれた近藤選手が、今シーズン「最高の打席」と振り返るのは、5月17日の西武戦、ボー・タカハシ投手が投じたインコースのストレートをライトスタンドに運んだ第5号ホームランだ。
「今までにない感覚で打てた。今までは打てていないコースだったが、体の反応で、勝手にバットが抜けてくれて当たる。手に力が入ってないっていうか」
そんな近藤選手が選ぶ最強投手はロッテの佐々木朗希投手だという。近藤選手は佐々木投手に通算で27打数3安打、打率.111と抑え込まれている。
「今シーズンは少しヒットを打ちましたが、それまではやられっぱなし。前に飛んだのも今年が初めてというくらい、ほとんど三振の感覚。フォークがスライドしてインコースに落ちてくる、真っすぐはシュート回転で伸びてくる。真っすぐを当てようというバットの軌道だとフォークは一生当たらない。フォークを打つ力だと真っすぐは前に飛ばない。
佐々木投手のストレートはシンプルに速い。あれより速い球は見たことがない」
これまで数々のタイトルを獲得してきた近藤選手に今後の目標について聞くと…。
「打率3割と出塁率4割は、僕の中で必ずやらなければいけないことだと思うんで、そこは常にという思いでいる」
来シーズンも近藤選手のバッティングから目が離せなさそうだ。
(「すぽると!」12月1日放送より)
『すぽると!』
12月7日(土)24時35分
12月8日(日)23時15分
フジテレビ系列で放送中
※12月8日(日)に「プロ野球100人分の1位“守備部門”」を放送予定