インターネット通販の利用の増加とともに、商品を各家庭へ届ける宅配の事業も拡大している。しかし一方で、宅配業者は客側のモラルに悩まされているという。大分県内の現状を取材した。

「消費者の数が増えるほどクレームも増える」

全国での宅配便の取り扱いの数を示したグラフでは、コロナ禍の2020年度に大幅に増え、その後も増加傾向が続いている。

宅配便の取り扱い数の推移
宅配便の取り扱い数の推移
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「当然我々の業界は荷物が増えれば比例して、ドライバーも増やさなければいけない。イコール利益が増えるビジネス構図があるので。業績でいうと売り上げはどんどん上がっている」こう話すのは宅配事業を行う大分市の「AEトランスポート」の野田慎太郎社長。取り扱いが増え業績が上がっている一方で、困った問題もあるという。

野田社長は 「消費者の数が増えれば増えるほど比例してクレームも増える。そして、再配達・不在の問題は社会問題にもなっている」と話す。

炎天下の中、長時間立たされ理不尽なクレームを言われ続けたことも

配送の様子
配送の様子

問題の1つが【客からのクレーム】である。中には社会問題にもなっている「カスタマーハラスメント」とも受け取れるようなことも…

例えば、配達が【時間帯】の指定であるにも関わらず、「14時半に荷物を持ってこい」などと特定の時間を強く要求してくるケースが実際にあったという。また、炎天下の中、配達員が1時間以上立たされ、理不尽なクレームを言われ続けたことも。

対策として、AEトランスポートではクレームの情報を配達員の間で共有してトラブル回避に繋げているほか、度が過ぎる場合には警察に相談することも検討しているという。

「不在が続くと心が折れそうになる」

TOSの取材に応じる野田慎太郎社長
TOSの取材に応じる野田慎太郎社長

もう一つの問題、【再配達】について野田社長は「出来高でやっているドライバーも多いので、そのドライバーからすると、不在だと結局何もお金が発生しない。手間がかかる、ガソリン代も払わなくてはいけない」と話す。

不在が続くこともあるそうで、配達員からは「(不在が続くと)心が折れそうになる」「イメージしていたルートで配って回っているが、ずれが生じてしまうので、どうしても帰りが遅くなってしまう」などといった切実な声が聞かれた。

再配達を減らすために、「置き配」サービスも積極的に利用してほしいという。便利さの裏で苦労も増えた宅配業界。
インターネット通販などのサービスを手軽に使う一方で、客側のモラルも問われている。

(テレビ大分)

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