大相撲の元横綱で名解説者としても知られている北の富士勝昭さん(82)の突然の訃報に、悲しみが広がっている。「イット!」では北の富士さんをよく知る3人を取材し、その秘話に迫った。

長身に甘いマスク…レコードデビューも

元横綱・北の富士さん(1998年):
まだ終わってないけど、いい人生だなと思って感謝している。あれもこれも全部相撲やったおかげだなと思ってる。

おしゃれでダンディー、そして軽妙な語り口の解説で相撲ファンを魅了した元横綱・北の富士さんは、体調を崩し療養していたが、11月12日に亡くなっていたことが分かった。82歳だった。

北海道出身の北の富士さんは、1970年の初場所後に第52代横綱に昇進し、幕内での優勝回数は10回を数える。

大関時代の1967年にはレコードデビュー
大関時代の1967年にはレコードデビュー
この記事の画像(6枚)

185cmの長身と甘いマスクで人気を集め、大関時代の1967年には「ネオン無情」でレコードデビューを果たした。

貴ノ花と“伝説の一番”花田虎上さん「憧れの先輩だった」

そんな北の富士さんが憧れの存在だったと話すのは、元横綱・若乃花の花田虎上(まさる)さん。

父・貴ノ花と北の富士さんが戦った伝説の一番について語る花田虎上さん
父・貴ノ花と北の富士さんが戦った伝説の一番について語る花田虎上さん

中でも印象深いのが、父・貴ノ花さんと北の富士さんが対戦し、どちらが勝ったかで大論争となった“伝説の一番”だという。

元横綱・若乃花 花田虎上さん:
私の父との取組の中で「つき手・かばい手論争」がありまして、そこで素晴らしい相撲をとった大横綱というイメージがありまして、一力士として憧れの先輩だった。

親方として千代の富士、北勝海の2横綱育てる

引退後は親方として千代の富士と北勝海の2人の横綱を育て、千代の富士関のニックネーム“ウルフ”の名付け親としても知られている。

相撲協会を退職後は、角界のご意見番として歯に衣着せぬ解説が人気を集めた。

元横綱・北の富士さん:
(Q.横綱・朝青龍(当時)について)本場所行くと横綱(朝青龍)強い。秘密の稽古してるのかもしれない。

元NHKアナ藤井康生さん「こんな人1人しかいない」

大相撲中継での解説と実況の名コンビを組んだ元NHKアナウンサーの藤井康生さんは、次のように語る。

北の富士さんとの思い出を語る元NHKアナウンサーの藤井康生さん
北の富士さんとの思い出を語る元NHKアナウンサーの藤井康生さん

元NHKアナウンサー 大阪学院大学特任教授・藤井康生さん:
四半世紀もご一緒しましたので、訃報を聞いてしばらくたちましたが全く信じられない状況。もうつらくてしょうがない。

解説でのユーモアを交えた北の富士さんの語り口は、他に代わりがいないという。

元NHKアナウンサー 大阪学院大学特任教授・藤井康生さん:
話の上手さだけではなくて、聞いている人に見事に情景を浮かばせることができるという。こんな人は70年近く生きてきて初めてです。1人しかいないですね。かなうものならば、もう一度放送席でご一緒したかった。

休場した場所後にハワイでサーフィン…厳重注意もユーモア交え

現役時代、休場した場所後にハワイでサーフィンをして厳重注意を受けた経験がある北の富士さん。

2007年に、けがを理由に夏巡業の休場届を出した横綱・朝青龍がモンゴルでサッカーをしていた問題を巡っては、ユーモアを交え、「俺はね、もっと素直に謝ったから、だから早かった、立ち直りが。悪いと思ったら謝る。これにこしたことはない」と話していた。

横野レイコさん「最高に話が面白い」

北の富士さんの人柄について、相撲ジャーナリストの横野レイコさんは「女性だけにモテたのではなく、男の人からも人気がある。最高に話が面白いし、頭の回転がとにかく速い」と話した。

「最高に話が面白い」と北の富士さんを評する相撲ジャーナリストの横野レイコさん
「最高に話が面白い」と北の富士さんを評する相撲ジャーナリストの横野レイコさん

葬儀は既に近親者で執り行われたとのことで、12月、都内でお別れの会が予定されている。
(「イット!」 11月21日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(6枚)