あの衆議院選挙から半月、当選した議員の喜びの陰で、多くの候補が涙をのんだ。
落選した候補たちは今、何をしているのか。

比例復活も果たせず…選挙戦では妨害行為受ける騒動

「おはようございます」と地下鉄の駅から出てきたのは、日本維新の会の音喜多駿・前政調会長だ。

11日朝、東京・新宿区で有権者に落選報告をする音喜多駿氏
11日朝、東京・新宿区で有権者に落選報告をする音喜多駿氏
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日本維新の会 音喜多駿・前政調会長:
先月の選挙戦、大変お騒がせをいたしました。結果は落選となりましたが、ご指導・ご鞭撻(べんたつ)をよろしくお願いします。

朝から、有権者への落選報告を行っていた。

「1時間が10時間に感じる」と音喜多氏
「1時間が10時間に感じる」と音喜多氏

日本維新の会 音喜多駿・前政調会長:
(選挙の)当時は5時間でも6時間でも、12時間とか立ってましたけど、今この落選報告っていうのは、1時間が本当に10時間くらいに感じるなと思いながら毎日立ってます。

音喜多氏は、維新の公約を作り上げる立場の幹部だった。

自身と党のさらなる躍進を狙って参院から転じ、衆院選に東京1区から出馬したが、選挙戦終盤には、批判のために集まった群衆に取り囲まれ、転倒させられるなどの妨害行為を受ける騒動もあった。

結局、選挙は3位と惨敗。
比例復活も果たせなかった。

自称「素浪人」約400カ所のポスター自ら剥がす

今は自称「素浪人」で、選挙区内、約400カ所に貼った政治活動用のポスターも1軒ずつ訪ねては剥がしていく。

日本維新の会 音喜多駿・前政調会長:
自分の顔を剥がさなきゃいけないっていうのは、あまりポジティブな気持ちにはなれないですよね。できるだけ本人が行って、ごあいさつして剥がすのが筋だと思うので、できるかぎり回ろうと思ってます。

大通りに面した一等地にある事務所も2024年のうちに引き払うという
大通りに面した一等地にある事務所も2024年のうちに引き払うという

大通りに面した一等地にある事務所も、2024年のうちに引き払うという。

この日は、国会で首相指名選挙が行われていた。

「(維新議員が)少なくなったな…申し訳ない気持ちと寂しい気持ちといろいろありますね」と音喜多氏
「(維新議員が)少なくなったな…申し訳ない気持ちと寂しい気持ちといろいろありますね」と音喜多氏

日本維新の会 音喜多駿・前政調会長:
(維新議員が)「少なくなったな」という印象がありますね。本当は70~80人受かって、その場に自分もいるはずだったと思うと、申し訳ない気持ちと寂しい気持ちといろいろありますね。選挙やってる夢を見て起きることもありますし、やっぱり選挙ずっとやってるんですよね、夢の中でも。落選して起きるんですけども、そういうときにぐったり疲れて起きる。当選する夢は見ない。それはそれでむなしいですけどね。当選する夢を見ても「夢だったのか」って起きてがっかりするぐらいなら、落選して起きた方がいいかもしれない。

選挙戦での妨害行為については「しっかり刑罰に処してもらえるよう今、働きかけをしている」と説明
選挙戦での妨害行為については「しっかり刑罰に処してもらえるよう今、働きかけをしている」と説明

あの妨害行為については、「刑事・民事両面から司法に訴えて、しっかり白黒をつけると申しますか、しっかり刑罰に処してもらえるよう今、働きかけをしている」と説明した。

「政治の道を諦めたわけではありません」

音喜多氏には、公設と私設合わせて6人の秘書がいた。
その就職先を探し、自らの収入も確保しなければならない。

日本維新の会 音喜多駿・前政調会長:
政治の道を諦めたわけではありませんので、政治活動の時間も確保したいということになると、いわゆるフルタイムの正社員という形になるのかどうかとか、そのへんも考えながら、就職先、仕事を探さなきゃいけないなと。

その後、音喜多氏はコンサルタント会社の非常勤役員の職を得た。
しかし、政治活動は続けるということで、13日、その姿は衆議院の議員会館にあった。

13日、その姿は衆議院の議員会館に
13日、その姿は衆議院の議員会館に

維新では落選すると、いったん選挙区支部長を自動的に解任されるシステムになっている。

これからも維新での活動を続けたいのか、党の選挙対策本部が面談で確認している。

日本維新の会 浦野選対本部長代理:
まず最初に、今回の選挙戦を終えた自分なりの総括をしてもらえたらと思います。

「野党にもかかわらず、“与党枠”に入れられてしまったのでは」と選挙戦を総括する音喜多氏
「野党にもかかわらず、“与党枠”に入れられてしまったのでは」と選挙戦を総括する音喜多氏

日本維新の会 音喜多駿・前政調会長:
今回貴重な機会をいただいたのにもかかわらず、力が及ばず落選となりましたこと、おわびを申し上げたいと思います。「維新は自民党と一緒になってたよね?」というところで、野党にもかかわらず、ちょっと“与党枠”に入れられてしまっているんじゃないか。

そして今後、衆議院に再びチャレンジしたいのか、2025年の参議院選挙を目指すのかも問われた。

日本維新の会 音喜多駿・前政調会長:
率直に、まだ迷っている気持ちであるとか、今後、逆にどうすればいいと思うかとか、そういったことは話し合いさせていただいた。

2025年の東京都議選に向けては、あの石丸伸二氏が新党を立ち上げる意向を示したが、音喜多氏は「石丸新党に行くことはありませんね。選挙でも政策でも切磋琢磨(せっさたくま)して争えばいいんだと思います」と話した。

これからも維新で活動していくという音喜多氏が、永田町に戻る日は来るのだろうか。
(「イット!」11月15日放送より)

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