ふるさと納税返礼品ランキングで、日用品が初めてトップ10入りした。物価高やコメ不足の影響がある中、石川県への支援を目的とした寄付も大幅に増加した。専門家は、利用者拡大に伴い制度が社会問題への関心を高める役割も果たしていると指摘している。

コメ不足・物価高で多様化する返礼品需要

人気のふるさと納税トップテンに、初めて日用品が入った。

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7日、ふるさと納税サイト「さとふる」が2024年の返礼品人気ランキングを発表した。

栄えある第1位は大定番である北海道・紋別市のオホーツク海産の「ホタテ」が、6年連続で選ばれた。

その後も定番の「厚切り牛タン」や、2房で約1キロの「シャインマスカット」、割安の「“訳アリ”シリーズ」が続いた。

そして、第5位には「トイレットペーパー」、第6位には「ボックスティッシュ」がランクインし、物価高が返礼品選びにも影響を与え、日用品が初めてトップ10入りした。

岩田真由子記者:
2023年はランク外だった日用品のほか、令和のコメ騒動を受け米もランクインしました。

全国的に品薄となったコメ
全国的に品薄となったコメ

2024年の夏、全国的に米が品薄となり、8月には「さとふる」でも、前年に比べて4倍から5倍の申し込みが殺到した。8月の検索ワード1位から3位には、米関係のワードが占めたという。

被災した地域の返礼品
被災した地域の返礼品

そして2024年は被災した地域の返礼品も注目された。地震が発生した石川県への2024年1月の寄付金額は、2023年の同じ月に比べると46倍を超えた。1月から10月で比べても4.7倍増加している。

さとふる・青木大介副社長:
やはり被災地域にふるさと納税をして、返礼品をいただくっていうことも含めて、応援したいという方が非常に多くなっている。

ぜひ地域のことを知るきっかけにしていただきたいと思っていて、物を貰うきっかけで興味を持つことと、地域に(足を)運ぶというところも、楽しみの一つとして活用していただきたいと思います。

物価高の中で生活支援の役割も拡大

「Live News α」では、大阪公立大学 客員准教授の馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
馬渕さんはこのニュース、どのようにご覧になっていますか。

大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
毎年、年末が近づくと、「ふるさと納税の駆け込み」が増えます。ふるさと納税は、寄付金額に応じて所得税・住民税の控除を受けることができます。

2025年に税制の控除を受けたい場合は、2024年の12月末までにふるさと納税を済ませる必要があります。こうした制度上の事情から、年末に駆け込みで「ふるさと納税」をしようという人が増えるんですよね。

堤キャスター:
返礼品も様々なものがありますし、利用者も相当増えていますよね。

大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
「ふるさと納税」の市場は、1兆円規模に拡大しました。利用者数は去年だけでも1000万人を超えます。ふるさと納税で人気になったものは、ある意味、時代の世相を表しているかもしれません。

例えば、米が足りなかった8月は米が人気でした。また、少しでも復興支援になればと石川に関連するものは、2023年に比べて46倍に増えています。

ふるさと納税を巡っては、故郷や応援したい自治体に寄付をするという、本来の制度の趣旨と異なるとの意見もありますが、所得が上がらない物価高の中で切実な思いで、ふるさと納税によって多くの方が恩恵を受けているのも事実だと思います。

外国資本参入も 仲介企業の在り方問われる

堤キャスター:
ふるさと納税の「あり方」、今後どのようなことが求められていくと思われますか。

大阪公立大学客員准教授・馬渕磨理子さん:
アマゾンが、ふるさと納税に参入するという報道があります。多様な事業者が参画することは利用者や自治体にとって選択肢が広がり、市場全体に有利に働くという意見もありますが、税金に関わる話ですから、この分野は外国資本ではなく、日本企業が担うべきではないでしょうか。

ふるさと納税は自治体が、仲介サイトに手数料を払うという連携によって市場の認知拡大が進みました。倉庫や配送網を独自に抱えていて、経営体力のあるアマゾンは、手数料を低く抑えることができますので、自治体としても、選択肢としてアマゾンと組まざるを得ない局面が出てきます。

年末の楽しいふるさと納税を選ぶ時期ですが、改めてプラットフォーム、仲介企業の在り方も、みんなで考える必要があるかもしれません。

堤キャスター:
生活に欠かせない日用品からちょっとした贅沢まで、こういった制度を上手く活用することで、自分にとっても、ふるさとにとっても、喜びが増えるといいなと思います。
(「Live News α」11月7日放送分より)