「至らない私を支えて頂いた」

「最高権力者の健康は国家機密」ということなので、安倍首相がただ疲れてるだけなのか、あるいは退陣を考えるほど深刻な状態なのか、本当のところはわからない。

8月26日午前、報道陣に手をあげて挨拶し官邸に入る安倍首相
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だから月曜に2度目の通院の後、官邸で記者の問いかけに対し、やや疲れている様子ながら「大変厳しい時にあっても、至らない私を支えて頂いた皆さんに感謝を申し上げたい」と穏やかな表情で答えたのを聞き「いい言葉だな」と思うと同時に「とりあえずこの人はまだ大丈夫だ」ということがわかりホッとした。

政府与党内からは「しばらく治療に専念して、臨時代理に職務を代行してもらってはどうか」という声が上がったし、持病の潰瘍性大腸炎が再発したという情報もある。

ただ専門家によると潰瘍性大腸炎の治療法は劇的に進歩しており、入院しなくても通院で透析のような血液の入れ替えや、薬剤の点滴によって2カ月程度で「寛解」=いったん治る、ことも多いらしい。

 安倍さんの復活は不可能ではない 

私見だが、たまたまコロナで外交がストップし、国会も閉会中だ。臨時国会は10月下旬召集で大丈夫らしい。であればこれからあと2カ月の間、治療あるいは休息に軸足を置き、菅官房長官らの協力を仰ぎながらの政権運営は決して不可能ではないと思う。

そして10月下旬の臨時国会化召集の時点で首相としての職務が遂行できるのかもう一度考えて決めればいいのではないか。

「体調管理を自己責任できちっとやられたのだ」と語る麻生財務相

なぜこんなことを書くのかというと、安倍さんが入院して麻生さんが首相臨時代理になるとか、あるいは安倍さんが退陣して石破さんや岸田さんたちの中から後継を決めるとか言われても正直まだピンとこないのだ。つまり我々には「ポスト安倍」への心構えがまだできていない。

ピンとこない・・・「ポスト安倍」候補

安倍さんの健康不安で日本の政治は先行き不透明になった。いつまで首相を続けられるのか、後継は誰なのか、その人は新型コロナ対策や経済をうまくやれるのか、不安だらけだ。

 ポスト安倍はどんな時代か

ただ一つ言えることは来年9月の自民党総裁任期まであと1年しかない。7年8カ月続いた安倍さんの時代は終わりつつあるということなのだ。思い起こせば2012年9月、当時野党だった自民党の総裁選で安倍さんが金融緩和を打ち出し、日本経済は底なし沼から脱出した。あの政治判断は歴史に残ると思う。為替は1ドル80円から110円に、株は8000円から2万3000円に、それぞれ戻ったのだが、ポスト安倍の時代に経済はどうなっていくのだろうか。

ポスト安倍の時代はどうなっていくのか

遅くとも1年後には違う人が首相になりポスト安倍の時代が始まる。選挙で野党が政権を奪うのは難しいかもしれないが、衆参両院で与党が過半数をいつまでも維持できるとは限らない。維新や玉木新党の連立入りなどがあれば政治は不安定になり、以前のように短命政権が繰り返されるということにもなりかねない。

「ポストコロナ」、いや「ウィズコロナ」の時代において、ポスト安倍の日本はどういう形になるのか。これから1年の間に政治家も有権者も腹を据えて考えないといけない。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】