まちづくり事業などを手がける「プライムライフテクノロジーズ」は、住民の多様な価値観に応える「まちづくる」を掲げ、未来志向の街づくりを進めている。
専門家は、街の成長には、地域の人々が主体的に関わる仕組みや住民同士のつながりを促す役割が重要だと強調している。
「まちづくる」で地域の未来を創る挑戦
地域の課題解決をはかっていく未来の“まちづくり”とは。
この記事の画像(11枚)10月22日、東京・港区の一角にあるオフィスビルで行われていたのは――。
プライムライフテクノロジーズ・北野亮代表取締役社長:
事業の方向性を分かりやすく伝えるために、PLTグループ共通のグループブランドを策定した。まちづくりではなく、「まちづくる」という動詞で表現することで、より決意を込めた言葉としました。
まちづくり事業などを手がける「プライムライフテクノロジーズ」は2020年、パナソニックとトヨタ自動車から生まれた企業だ。
2社の技術や強みを生かして目指すのは、「未来志向のまちづくり」。
背景には、大都市への人口集中や地方の活力低下など、社会や地域課題の解決に向けたニーズの高まりがある。
事業の一例として、グループ会社のミサワホームは――。
ミサワホーム街づくり・医療介護コンサルタント課・若江暁久課長:
下が病院、上が分譲マンション、そして、防災機能を備えた“オーバルパーク”という広場を作り、複合の建物の提案をさせてもらった。
「老朽化した病院を再編・統合したい」という、医療法人の希望をもとに「ASMAC神戸新長田」が行ったプロジェクトでは、兵庫・神戸市の震災復興関連の事業用地を活用した。
医療を軸にしたコミュニティーの形成と、“まち”の付加価値創出につながったという。
ブランド発表会に続いて、会場では医療関係の有識者による座談会が行われた。
多様化する価値観に応えるためには、「開発して終わり」ではなく、「開発後のまちをどう育てるか」ということが求められていると、企業のトップは話す。
プライムライフテクノロジーズ・北野亮代表取締役社長:
ひとつに答えがないということに、どう対応していくかが、一番大きなポイント。(住まい手の)思考や価値観が多様化していることに対して、私どもは優先順位をつけながら、どうミートさせていくか、弾力性とスピード感がこれから必要になる。
計画段階から共感で始まるコミュニティー形成
「Live News α」では、コミュニティデザイナーで、studio-L代表の山崎亮さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
ーー新しい街をつくる試み、どうご覧になりますか?
コミュニティデザイナー・山崎亮さん:
地域の課題解決を進める際に、何か新しいものを作れば、状況が改善すると思われがちだが、大切なのは、新しいものを作るのではなく、これまでなかった「使われ方」を考えることです。
「まちづくり」で言えば、その地域にはなかった「暮らしを提案」することではないでしょうか。
堤キャスター:
ーー今回の取り組みを成功させるための鍵は何でしょう?
コミュニティデザイナー・山崎亮さん:
空き地を造成して建物を建てて、入居者を募る「まちづくり」。
コミュニティーの形成や運営、そこで暮らす人のライフステージに合わせて、住まいをリノベーションしたりする「まちづくる」。
この2つの関係は、「まちびらき」の前後で、ゆるやかな重なりが必要になるでしょう。ここでポイントになるのが、人がつながっていく仕組みを考えることです。
堤キャスター:
ーー具体的には、どのような取り組みになるのでしょうか?
コミュニティデザイナー・山崎亮さん:
「まちびらき」のあとにコミュニティー形成を始めるよりも、計画立案時期から、まちのコンセプトに共感する人たちに集まってもらうこと。
そして、つながりを作ったり、学びあったりすることが有効ではないでしょうか。そのためには「まちプロデューサー」の存在が鍵になります。
住民が主体的に楽しみ学び取り組むまちづくり
堤キャスター:
ーーその「まちプロデューサー」とは、どんな役割を担うのでしょうか?
コミュニティデザイナー・山崎亮さん:
「まちプロデューサー」は、住民の言うことを何でも聞けばいいわけでもなく、住民の主体性を引き出すようなコミュニケーションが必要になります。
一方で、住民はお客さんでもある、その場、バランスが難しいだろうと思います。もしかしたら、生徒の持っている力を引き出す塾の先生のような存在かもしれないです。
地域の課題を代わりに解決してしまうような「まちプロデューサー」ではダメでしょう。
住民が楽しみながら学び合い、地域の課題に取り組んでいく状況を生み出す。これが住民の主体性を損なわないように、「まちづくる」を続けていくための要点になるはずです。
堤キャスター:
街は、人によって作られていくものです。
自分がどんな街で生活したいのか、人々とどんな交流を図りたいのか、一人一人が考えてみるといいかもしれませんね。
(「Live News α」10月22日放送分より)