パナソニック株式会社 デザイン本部は、循環経済・事業への変革に向け、パナソニックのデザイナーとサーキュラーエコノミーを考えるイベント「→使い続ける展 2024 / MUGE」を2024年9月28日(土)から10月6日(日)まで京都・両足院で開催しました。
パナソニックグループではサーキュラーエコノミーの実現に向け、新たなものづくりの設計や製品の届け方など、さまざまな観点から検討を進めています。今回の展示は、お客様と共に「モノを使い続ける」ことを考え、これを「文化」として育む機会と位置付けました。
展示サブテーマ「MUGE」は、禅の言葉である「融通無碍(ゆうずうむげ)」から引用。融通無碍には「全てのものが関わり合って調和する」という意味があり、無碍は「とらわれることがないこと」を表しています。
環境問題が深刻化する中で、これまでにない新しいしくみや従来の考え方を超えた取り組みが求められています。人と家電の関係をもっと柔軟でオープンなものとして捉え直すことで、新しい「使い続ける」カタチを提案しました。
(以下、動画の書き起こし)
昨年に引き続き2回目の開催となった今年。企画の立ち上げから携わっている伊東が意識した昨年との違いとは。
伊東(パナソニック株式会社 デザイン本部 インサイトリサーチャー):昨年は「どのような部品だったら使い続けられそうか」という提案をしたんですが、今年はもう少し「考え方」を皆さんにご提案して、共に作っていくための会話ができるような展示にしたいと思いました。
<今回展示された5つのコンセプト>
響 KYO :自分好みに組み立て、構造を理解できる空間オーディオ
木のパネルを振動させることで音を奏でる。建築の古材や欠損のある木材を使用。接着剤や釘を使っていないため自由に組み立てや分解ができ、修理やアップデートを気軽に行うことが可能
雲 UN :組み換え自由なモジュール式パントリー
野菜や果物、調味料など、それぞれに最適な温度でボックスごとに分けて保存することができ、必要に応じて増やしたり減らしたりすることが可能。サイズが小さいので修理やお手入れも簡単
泉 SEN :部屋の空気をファブリックに通し快適にする
緑茶カテキン繊維や光触媒繊維など、機能をもつファブリックで必要に応じてカスタマイズ可能。ファブリックは家庭の洗濯機で洗うことができ、お手入れも容易
寿 JU :常にモノの傍らにある循環式パッケージ
製品を届ける際には梱包材として、製品使用中は別の役割で活用され、製品が次の人の手に渡るときには再び梱包材として使われる、現代の「通い箱」。筒状や布状など、製品の形状やサイズに合わせて選ぶことができる。
露 RO :素材の再生と循環のインスタレーションアート
モノとして最大限に使用された後、解体され素材へと還る――本インスタレーションでは、素材が時と共に形を変え、次の命へとつながっていく様を、アンビエントな音楽と共に表現
Michael Shadovitz(マイケル・シャドヴィッツ、パナソニック株式会社 デザイン本部 リードデザイナー):響のスピーカーは構造として簡単に組み合わせることも、ばらすこともできます。組み立てると下の土台が発する振動が木材を伝って音色として広げ、その組み立て方の違いで音も変わる。新しい音の体験を創造しました。
パナソニック株式会社 デザイン本部 リードデザイナー Michael Shadovitz(マイケル・シャドヴィッツ)
昨年に続き展示全体のデザインを担当したシャドヴィッツ。昨年も会場となった両足院という場所は、今回の展示を具体化する上でも欠かせない存在だったという。
シャドヴィッツ:「サーキュラーデザインの考え方×日本の文化」がマッチするコンセプトが今回できました。この空間(両足院)がなかったら全然違うものができていました。
<会場となった両足院の思い>
そもそもなぜお寺で展示会を行うのか? 両足院・副住職の伊藤 東凌氏に伺った。
両足院 副住職 伊藤 東凌氏
伊藤:お寺も昔のものだけを感じられる場所ではなくて、今を問い直す場所だと思っております。「これさえあればいい」と思うのとは逆で、自分の頭の中で生まれてしまった固定観念やコンセプトを疑い直して、そこの提案としての展示をしてみることは意義があるんじゃないかと思っています。
<これからの「使い続ける」>
パナソニック株式会社 デザイン本部 デザイナー 劒持 和貴
サーキュラーエコノミーのテーマを担当するのは今回が初めての劒持。試行錯誤の日々を経て、モノづくりの未来を見つめ、気持ちを新たにしている。
劒持:考えたものを形に起こす作業にかなり苦戦したんですが、ここで終わるのではなくて、いずれはお客さまが手に取って頂ける形を実現していきたいと思っています。
パナソニック株式会社 デザイン本部 インサイトリサーチャー 伊東 梢
伊東:無理なく心地よく暮らしていたら、実は地球にとっても良いことだった、という状態が理想ですし、我々はそれをサポートするような活動をしていきたいと思っています。それが結果的に使い続ける文化をつくり出すことにつながっていったらいいなと考えています。
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