24日夜、東京・墨田区と港区の一部で水道水の異臭騒ぎが発生。水が飲めないという事態となり、街角では水を求める行列もできた。
「水がシンナーのようなにおい」
事の発端は、住民からの通報だった。
24日午前9時ごろ、墨田区墨田5丁目の住民から「水がシンナーのような臭いがする」と通報があり、都の水質センター職員が調べたところ異臭を確認。影響がある地域は推定300件にも上り、住民に対して水道水を飲まないよう呼び掛けた。

「この地域において水質異常が発生いたしました。ご迷惑をおかけしております」
墨田区では、広報車が水道水を飲まないように注意を呼び掛けた。
「朝シャワー浴びた時にちょっと油臭いなと思ったんですよね」
「朝、顔洗った時になんかシンナーみたいな臭いがして、つんとくる感じ」
「油とか入ってたら怖いですよね」
「(水道水で)もう食べちゃったんですけど、実は、さっき知って。どう影響するのか分からないのでちょっと怖いです」
住民からは、異変を感じた、怖いといった不安の声が聞かれた。
「知っている人と知らない人がいる」情報伝達に課題
この事態を受けて、墨田区では飲料水の配布が行われた。
担当者:
足りなかったらまた取りに来てください。
住民:
これはそのまま飲めるんですね?
担当者:
はい、これは飲料水です。
一方で混乱も広がった。

住民A:
私はお友達からいま電話がかかってきた。だけど実家も知らない。知っている人と知らない人がいるのが問題じゃないですか?
住民B:
車が回っているんだけど、何言っているのかわからない。
水道局の職員:
(水道局の)ツイッター(X)とかHPでは今…
住民B:
飲んだらやばいんだったら、もっとでかい声で(広報)やらなかったら、これだけ世帯あるのにこれだけしか水を取りに来ていないのは知らないってことじゃん!
「スマホ等に届く形」でないと情報を知りえないという声が多かったことについて、水道局の職員に尋ねると…。
水道局の職員:
当然十分ではないというところは私どもも認識してございます。現状どういった違う策があるのかということについては模索中です。申し訳ございません。
港区でも“異臭”
さらに異臭騒ぎは他の地域でも起きてしまった。

墨田区墨田5丁目から約13キロ離れた港区海岸3丁目でも、異臭の通報を受けて推定120件の住民に水道水を飲まないよう呼びかけていた。
港区在住の会社員の2人が話を聞かせてくれた。
――水道水の異変感じましたか?
港区在住・菊地さん:
朝(水を)飲もうとしたら、嗅ぐだけでちょっと異臭がして。ドブのような感じの臭い。
自宅を訪問し、水道の水を確認してみると…。
港区在住・菊地さん:
ああ、結構臭いますね。アンモニアぽいです。今日はお風呂には入れないですね。
夕飯は米を炊いて自炊するつもりだったそうだが…。
港区在住・菊地さん:
お米も結構何回も洗うから、それにも結構水使うって考えると、今日は無理かも。
港区在住・伊勢本さん:
この事実を知らないと、そのまま水道水でお皿を洗ったり、飲んじゃってたかもしれないので、スマホか何かで通知して欲しいなと思いました。
2人は、夕飯は温めるだけで食べられるコンビニご飯に切り替えた。
原因は「水道管内に停滞した水」
水道局の夜通しの排水作業で、25日未明には臭いは解消され、午前3時頃、墨田区・港区ともに「飲んでも問題ない」と発表した。

都の水道局は臭いの原因について、水道管内に停滞していた水だったと発表した。水道水は給水所から送り出されて、排水管を通って各地区へ届くが、墨田区は水が停滞しやすい末端に位置する。また、港区も同じく末端にあり、偶然にも2つの区で同時にたまった水が異臭をもたらしたという。

こうした異臭問題は、今後も起こりうるのか。水質に詳しい、中央大学の山村寛教授に聞いた。
中央大学 山村寛教授:
端に水がたまって水質が悪くなるのは、一般的に水道ではよくあることです。水の使用量が少ないときに水は使わなくなって末端にたまってしまうので、いつもより少し多めに排水して問題に対応したのかなと思いました。
(「イット!」9月25日放送より)