週末長崎市では夏の風物詩・ながさきみなとまつりが行われ、あわせて1万発の花火が夜空を彩り、多くの観客でにぎわった。一方でバス会社はこの春のダイヤ改正でバスの便数が大幅に減ったことから、花火終了後の混乱を避けるために事前に混雑緩和への協力を呼び掛けた。働き方改革と利便性の確保で対応に追われた。

20便以上の減便影響を事前に周知

長崎バスは、みなとまつりの1週間以上前から各バス停などに「帰りの便は満員で乗車できない可能性もある」と周知し、混雑緩和への協力を呼び掛けた。

バス停に混雑緩和への協力を事前に周知
バス停に混雑緩和への協力を事前に周知
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この春から始まった運転士の働き方改革と慢性的な運転士不足でバスの便数が大幅に減ったためだ。

臨時便で対応したが、前年より20便以上の減便
臨時便で対応したが、前年より20便以上の減便

この春のダイヤ改正で、花火終了後の午後9時以降のバスの便数が土曜は約20便、日曜は約15便の減便となった。花火の終了にあわせて例年同様に臨時便を出して対応したが、前年に比べると土曜で7便、日曜で5便少ない便数で、全体として各日20便以上減便となった。「これが精いっぱいの対応だった」と関係者は話す。

夜空を彩る1万発の花火

ながさきみなとまつりは長崎の夏の一大イベントだ。

2日間で1万発の花火が打ちあがった
2日間で1万発の花火が打ちあがった

2024年は午後8時半から土日あわせて1万発の花火が打ちあがり、土曜日は12万人、日曜日は14万人が足を運んだ。前年に比べると土曜日は3万人、日曜日は4万人増加。新型コロナが5類に移行され、順調に客足が戻っていると実行委員会は話す。

長崎バスは、まつり当日には主要バス停に誘導係を10人配置して対応にあたった。特に大きな混乱はなかったということで、事前の周知が一定の効果につながったとみている。ただ最終便に間に合わずにバスを諦めてバス停を後にする人の姿は、例年よりも多かったと話す。「一人でも多くの方がバスを利用できるように対応したいが、どうしようもなかった」とこぼした。

路面電車も臨時便で対応
路面電車も臨時便で対応

バスと同じく市民の足である路面電車も、例年通り臨時便で対応。バスに乗れない人が電車に流れて大混乱…とはならず、例年と変わらない利用だったと関係者は話す。

働き方改革と利便性の両立

バス減便の背景にあるのが4月1日から始まった労働時間の規制強化だ。退社から翌日の出社までの休息時間は9時間以上と、これまでより1時間長くなった。

労働環境を守りつつ市民の利便性をどう両立させるか
労働環境を守りつつ市民の利便性をどう両立させるか

イベントで臨時便を出す場合、この「1時間」が大きなネックになると長崎バスの関係者は話す。特に日曜日に臨時便を出す場合、翌日の平日朝の始発に大きく影響する。「慢性的な運転士不足もあり、日曜日に臨時便で遅くまで働くと9時間のインターバルを確保できず、平日の始発に人が出せなくなる。平日の朝の通勤通学の影響を考えると、臨時便を最低限にせざるを得ないのが現状」と話す。

長崎バスでは例年、みなとまつり以外にも夏のライブイベントも臨時便で対応しているほか、この秋控えているスタジアムシティ長崎の開業でも臨時便を検討しているという。運転士の労働環境を守りつつ、交通渋滞を引き起こさず利用客の利便性向上を実現させる工夫に、関係者は頭を悩ませている。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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