兵庫県の斎藤知事のパワハラ疑惑などを告発した元幹部職員が「死をもって抗議する」というメッセージとともに、出席できない百条委員会に向け、陳述書や疑惑にまつわる音声データを残していたことが分かった。

【動画】「死をもって抗議する」死亡した兵庫県元幹部 音声と詳細な陳述書残す 知事が公務中“酒”ねだった録音も

■知事の「パワハラ疑惑」告発の元県民局長 「嘘八百」と知事  『事実無根』として懲戒処分に

死亡した元県民局長が配布した告発文
死亡した元県民局長が配布した告発文
この記事の画像(8枚)

ことし3月、元西播磨県民局長(60)は、斎藤知事のパワハラ行為などを告発する文書を一部の報道機関などに配布した。

しかし、斎藤知事は当初「業務時間中に『嘘八百』含めて、文書を作って流す行為は公務員失格です」と語り、県は内部調査の結果、告発文は『事実無根』だとして、元県民局長を停職3カ月の懲戒処分とした。

■「嘘八百」ではなかった告発文

知事が20m歩かされ職員を叱責したとされる現場
知事が20m歩かされ職員を叱責したとされる現場

その後、告発文に書かれていたコーヒーメーカーの贈答について幹部(55)が企業から受け取っていたことが判明。

さらに、知事も公務中に20メートル歩かされて職員を厳しく叱責したことなどを会見で認めるなど、告発文の内容が知事の言う「嘘八百」でないことが明らかになり、議会で内容の真偽を確かめるための強い調査権を持つ『百条委員会』が設置された。

■「百条委」への出頭に前向きだった元県民局長が死亡 自殺とみられる

死亡した元県民局長が配布した告発文
死亡した元県民局長が配布した告発文

7月19日の委員会に証人として出頭する予定だった元県民局長は、関西テレビが3日に取材した際、「質問されるのが嫌だ、つらい」という状態ではなく「覚悟している」と話していて、出頭後には報道陣の取材を受けることも検討すると証言に前向きな姿勢を見せていた。

そんな中、7日に元県民局長が姫路市内で死亡しているのが見つかった。 自殺とみられている。

■死亡前に「百条委」での想定問答と『証拠』とみられる音声データを用意

兵庫県庁
兵庫県庁

関係者によると、元県民局長は「死をもって抗議する」という趣旨のメッセージとともに、百条委員会に出頭できない代わりに、疑惑の根拠となる情報源や、具体的な日時や場所などを記した陳述書を残していたということだ。

さらに、知事が公務中、県内の自治体のトップに対し、「私も飲みたいです」などと酒をねだったとみられる場面を録音した音声データも残していたことが分かった。陳述書と音声データを託された遺族は「真実を解明してほしい」として、12日、百条委員会に提出したということだ。

■辞職『固辞』する知事 死亡した元県民局長が遺したもの 『真実の解明』につながるか

兵庫県 斎藤元彦知事
兵庫県 斎藤元彦知事

斎藤知事は、県職員およそ4000人が加入する労働組合から辞職を要求されたが、会見で「知事選で県民から負託を頂いた」「県職員らと信頼関係を再構築し県政を立て直す」と語り『知事を続ける』と表明している。

兵庫県 片山安孝副知事
兵庫県 片山安孝副知事

さらに、「県政に混乱を招いた」として辞職を表明した片山安孝副知事から、5度にわたり「辞職」を促されたが、知事は「固辞」した。

兵庫県 斎藤元彦知事
兵庫県 斎藤元彦知事

会見で斎藤知事は「これから百条委員会などを通じて今回の文書問題に対する対応をしっかりしていく」と明言している。

告発者がこの世を去った後も継続される「百条委員会」。 元県民局長が「死をもって抗議する」というメッセージとともに遺族に託した陳述書や音声データに、知事が正面から向きあうことで「真実」は解明されるのだろううか。

また、自身のパワハラ疑惑を告発した職員が亡くなり、側近の副知事が辞職を表明する中、会見で繰り返し発言した「県職員との信頼関係の再構築」と「県政の立て直し」を知事は実現できるのだろうか。

【関西テレビ 告発文調査チーム 2024年7月15日】

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。