「もしかしてうちの子の頭、臭い?」
子供が学校から帰ってきて帽子を脱いだときや、お風呂あがりにドライヤーをかけている時などに、こんな不安がよぎる瞬間はないだろうか。

ある程度の年齢になるまでは、自分でにおいのケアをするのは難しいはず。できるようになる前の子供の頭皮のにおいの原因と、親ができる対策は何か。小児科医で「高座渋谷つばさクリニック」の武井智昭院長に聞いた。

汗は「かかない」こともにおいの原因に…

高座渋谷つばさクリニック・武井智昭院長
高座渋谷つばさクリニック・武井智昭院長
この記事の画像(4枚)

武井院長によると、子供のにおいの原因のひとつは、大人よりも大量にかく「汗」にあるという。

汗が出てくる「汗腺」は頭皮に多いため、頭は体の中でも汗をかきやすい場所だが、この汗腺の数は乳幼児期から大人まで数が変わらないそう。
皮膚の面積が大人よりも狭い子供は、汗腺も集まった状態になっている。そのため頭皮が湿った状態になりやすく、そのまま放っておくと汗と皮脂をもとに雑菌が繁殖してにおいの原因になるという。

武井院長によると、特に汗をかくこれからの季節、頭皮の「汗臭さ」を防止するために必要なのは、汗をかいた時にしっかりと拭き取ったり、着替えをするということ。ほかにも「入浴後にしっかりと頭皮を乾燥させること」が大切だと話す。

子供の頭皮は汗で湿った状態になりがち(画像はイメージ)
子供の頭皮は汗で湿った状態になりがち(画像はイメージ)

また、大量にかいた汗がにおいの原因になる一方で、「汗をかかない」ことで体がにおうこともあるという。
運動不足やエアコンのきいた部屋の中にずっといることで「汗をかく機会」が少なくなりすぎると、汗腺が開きにくい体ができてしまう。すると、においのもととなる成分を含んだ汗をかくようになるのだ。

「現代は、汗腺自体が『汗をかく』という機能を失いつつあります。汗腺のバランス、機能を保つためには、しっかり運動をして汗をかき、代謝をよくしてあげるということが大切です」

シャンプーの洗い残しは親がチェックを

他にも、においの原因のひとつとして挙げられるのが「シャンプーの洗い残し」。

赤ちゃんのようにひとりでお風呂に入れない年齢だと、親が丁寧に体のすみずみまで洗うことが多い。しかし、自分で頭を洗うように練習を始めてから5歳頃までの子供は、うまく頭を洗えなかったり、すすぎきれないなどの「洗い残し」が出てしまうという。

洗い残しは親がケアを(画像はイメージ)
洗い残しは親がケアを(画像はイメージ)

「においの原因になる洗い残しは、親御さんが頭を洗ってあげている赤ちゃんの時と比べて、もう少し大きくなったお子さんに多いと思います。2、3歳のお子さんはまだまだ自分のボディイメージ(自分の体の大きさや、どんな動きができるか把握すること)が完全にはついていない可能性があるので、洗い残しにまで注意を向けるのは難しいと思います」

ひとりでシャンプーを始めたばかりの子供には、親が頭のすみずみまでしっかりと洗えているか、シャンプーをすすげているかチェックするなどのサポートが必要だ。

偏った食生活やストレスもにおいの原因に

さらに、子供たちの「食生活」や「ストレス」も、頭皮のにおいに繋がる要素だと武井院長は語る。

「脂っこい食事やおやつの摂りすぎは、皮脂のバランスを崩してにおいの原因になります。
また、体にストレスがかかると、免疫機能が落ちて細菌が繁殖しやすくなるなどの変化が起きます。汗の状態は自律神経の乱れや体の状態に影響されますので、結果として、ストレスで体のにおいが強くなるということがあります」

汗をかいたらすぐに拭く、しっかりと頭皮を洗うなどの対策ができている場合、食生活や生活環境の見直しなどで、においが改善するかもしれない。

■特集記事の一覧はこちら
「臭い」もしや自分も?イヤ~な“におい”の撃退法

■ストレスで“おしっこのにおい”!?気になる体臭についてはこちら
しっかり洗っているのになぜ?全身から漂う“おしっこの臭い”は「疲労臭」かも…セルフチェック法と5つの発生要因

武井 智昭
小児科専門医・指導医、プライマリケア学会認定医。2002年に慶應義塾大学医学部を卒業後、総合病院やクリニック勤務を経て、現在は高座渋谷つばさクリニックの院長を務めている。0歳から100歳までの“1世紀を診療するプライマリケア医師”として、患者とその家族のトータルサポートを行っている。

プライムオンライン特集班
プライムオンライン特集班

FNNプライムオンラインのオリジナル特集班が、30~40代の仕事や子育てに忙しい女性に向け、毎月身近なテーマについて役立つ情報を取材しています。