輸入オレンジ果汁の価格の高騰が深刻化している。大手メーカーでは、オレンジジュースの販売休止も相次ぐ中、今「国産果汁」に新たな価値を見出す動きも進んでいる。
【動画】オレンジ価格高騰 買い負ける日本「バヤリース」も「サンキスト100%オレンジ」も販売休止
■メニューの値上げを迫られ悩む果物店

大阪市内の果物店。色とりどりの季節の果物が並んでいるが、今、ある悩みのタネが…
山口果物 山口直克店長:ここ1年くらいの間でなんですけど、もともと100円前後ぐらいで販売してたものが1.5倍ぐらいに値段が上がっている。

1つ100円前後だったオレンジが、150円に。さらに、オレンジジュースも…
山口果物 山口直克店長:これ私の店で出してるメニューなんですけど、うちは生搾りなので、本当にこれを搾って出してるんですけど、200円上がって1.5倍ですね。
こちらの店では、世界的なオレンジ価格の高騰で、メニューの値上げを迫られていた。また、カットオレンジを使ったスイーツなども提供していて、その原価も上がってしまっているという。
山口果物 山口直克店長:ここ2~3年、ずっと円安とか、例えばゼリーだったら凝固剤が値上げとか、お砂糖の値上げとか、いろんな理由で上げてきているので、上げづらい。価格転嫁しづらいのが現状ですね。

世界的な価格の高騰と共に今、オレンジ果汁は深刻な品薄状態となっている。
オレンジ果汁の輸入価格は、2020年は1リットル当たり259円だったのが、2023年は491円に。3年でおよそ2倍になっている。※通関統計をもとに日本果汁協会が算出
この状況を受けて、アサヒ飲料の「バヤリースオレンジ」や、森永乳業の「サンキスト100%オレンジ」など、大手飲料メーカーは、相次いでオレンジジュースの販売を休止している。
■柑橘の病気と天候不順などが不作の要因

日本果汁協会の川村さんは、こうした動きの背景にあるのは、原産国で続いた不作だと話す。
日本果汁協会 川村和彦専務理事:ブラジルのカンキツグリーニング病という柑橘の病気と天候不順などによりオレンジ果汁の生産が不足している。
日本はオレンジ果汁の5~6割をブラジルからの輸入に依存しているが、そのブラジルが深刻な不作に。 さらに、歴史的な円安に見舞われている日本は、他国に買い負けてしまっているということだ。川村さんは、この状況はしばらく続くのでは、と話す。
日本果汁協会 川村和彦専務理事:(ブラジルは)最近の情報ですと今年も不作かなということなので、少なくとも今年はだめです。円安については、オレンジに限らず、何だってそうだと思うので、なかなか厳しいと思います。

そんな中で、今注目されているのが“国産みかん”のジュースだ。セブンイレブンでは、オレンジに代わり、国産みかんを使用した新商品を発売した(一部店舗で取り扱いのない場合あり)。
記者リポート:すごくみかんの味を感じます。まるでみかんを食べているようでとてもおいしいです。
■国産みかんが活路となるか

また、京都には国産みかんの需要の高まりを受けて、動き出した企業もある。
日本果汁 生産部 山本和雅センター長:大体1時間に1000本ぐらい作れる処理能力の機械になっています。みんなで機械を使うのにひーひー言いながらやっております。
国産フルーツジュースの製造などを行う「日本果汁」は、2023年8月、新たに工場を増設した。 これまで、安い輸入果汁と比べると国産果汁は“高級品”だったが、現在の高騰を受けて、国産果汁への問い合わせは2倍以上に。国産果汁を使ったみかんジュースは欠品になりそうな勢いとなっている。工場を増設することで生産力を高め、対応していく狙いだということだ。

日本果汁 河野聡社長:日本の農家さんに少しでも元気になってほしいというのが会社としてありますので。すごくおいしいので、できるだけ認知が広がるようにしたいなと思っています。
多くの人が愛するオレンジジュースの危機に、国産みかん果汁は救いの一手となるのか。「日本果汁」によると、みかん農家の高齢化や、昨今の異常気象などの影響で、国産みかんの生産量を増やす難しさがあるとのこと。 新たな活路を探っていく必要がありそうだ。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年6月4日放送)