食材の値段も、電気・ガスなどの光熱費も値上げが止まらない。

物価高が家計を直撃している中、お財布に優しいワンコインの丼やランチを提供するお店を発見した。

大通食堂の朝どんぶり

午前7時、札幌市中央区の「大通食堂」、開店の時間である。

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開業17年目を迎えた大通食堂が、朝の営業時間にどんぶりを加えたのはちょうど1年前だ。

「朝どんぶり」500円である。

「夜勤明けで来る客が多いので、おなかをすかせている人がいる。『小さい丼とラーメンってできないの?』と言われたのがきっかけで、丼も出すようになった」(大通食堂 三浦学さん)

朝どんぶりは、3種類だ。

豚のバラ肉を甘辛い独自のタレで焼いた「豚丼」。

大きめの鶏肉をトロトロのタマゴでとじた「親子丼」。

ピリッとした味が食欲をそそる「しょうが焼き丼」である。

値段を500円に抑えるため、店主の三浦学さんは買い出しから調理、掃除まですべて一人でこなし人件費を節約している。

「仕入れは安いところに買い物に行ったり、工夫をしている」と三浦さんは言う。

昼には“ワンコイン”の日替わりランチ

午前11時から午後2時までの昼の営業時間では、日替わりのワンコインランチを数量限定で用意した。

この日はロールキャベツ定食だ。

大きなロールキャベツと、ブロッコリーやニンジンなど5種類の野菜にトマトスープを合わせたヘルシーな一品である。

これに3種類の小鉢がついて500円だ。

「週に1、2回の割合で来ています。外食で500円で食べられるところはないので大変助かっています」(ワンコインランチを食べた客)

「おいしかったですよ。ワンコインの割にはしっかりとおなかいっぱいになりました」(ワンコインランチを食べた客)

「夜来ていた客がランチに来て『夜来れなくてごめんね』と。夜、外に出るきっかけをなくしてしまったという話はよく聞く」(三浦さん)

新型コロナの影響が長引き、夜の営業時間に客足が戻ってこなかったため、ワンコインのメニューに活路を求めた。

夜の営業の落ち込みを朝どんぶりとランチが十分補っているという。

「やっぱりおいしかったという言葉を聞くとうれしいので、この値段でやっている。あとは男気」と三浦さんは微笑んだ。

「武ちゃん」の定食はワンコインでお釣りが

ワンコインでお釣りがくる定食もあった。

札幌市中央区の「武ちゃん」である。

先代の武内剣一さんが50年にわたって店を切り盛りしていたが、5年前病気のため亡くなり、息子の範晃さんが跡を継いだ。

午前7時から提供する朝定食がこちら。

納豆に厚焼き玉子、豆腐などがついた「納豆定食」が350円。

サケに厚焼き玉子、豆腐などがついた「焼魚定食」は450円。

ワンコインでお釣りがくるメニューが4種類そろう。

「まめに仕入れに行く。大量に買うとロスも大きくなる」(武ちゃん 武内範晃さん)

食材のロスをなくすこと、店が持ち家なので家賃がかからないこと、そして一人で営業することで経費を抑えている。

午前11時からのランチタイムにもワンコインでお釣りがくるセットを考えた。

おかかのおにぎり150円に、サケのおにぎり180円。

プラス150円で小鉢とみそ汁がセットになり、しめて480円だ。

「私、サケのおにぎりを海苔や漬け物はいらないと言ったせいか、サケをいっぱい入れてくれているような気がするくらい具もいっぱい入っていて、良心的でおいしい店だと思う」(おにぎりをテイクアウトした客)

「父の時から客にサービスしたり、値段的にも頑張っていたので、引き継いだからには父の精神はそのままで、できる限りのサービスはしていこうかと頑張っていいます」(武内さん)

仕入れ値を抑え、店を一人で切り盛り。

それぞれの店主の努力がお財布にやさしいワンコイン定食を可能にしているのだ。

北海道文化放送
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