5月下旬になると、気温が上がり、空気も湿気を帯びてくる。毎日、何を着ればいいのか悩むという方も多いであろう。天気図上でも梅雨前線が現れるなどの変化が見られ、それに合わせて衣服も入れ替える「衣替え」の時期が近づいてくる。

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衣替えとは、地域などで少し時期に違いはあるものの、多くの学校や企業などでは6月に冬服から夏服へ、10月に夏服から冬服へというように、夏服と冬服を入れ替える習慣である。

衣替えは元々中国の風習であり、日本に伝来したのは平安時代と言われている。宮中行事として始まり、当時は旧暦の4月1日と10月1日に行われた。衣替えは「更衣」と呼ばれ、宮中の重要な儀式の1つであった。

平安時代に中国から伝来した「衣替え」
平安時代に中国から伝来した「衣替え」

現代においても、衣替えは季節の変わり目を感じる大切な行事として続いている。衣替えを行うことによって、季節の変化を実感し、気候に適した服装を整えることができる。

また、衣替えは衣類や靴の整理整頓の機会だ。不要な衣類や靴を処分したり、次のシーズンに向けて新しいものを購入したりするきっかけにもなる。

衣替えに適した天気は?

衣替えは、季節の変わり目に行うことが一般的だが、そのタイミングは天気や気温の変化に大きく影響される。

春から夏にかけては気温が上昇し、湿度も高くなるため、軽くて通気性の良い衣類や靴が必要だ。一方で、秋から冬にかけては気温が下がり、寒さ対策が重要となる。衣替えの時期には拘らず、実際の天気を考慮して柔軟に対応することが大切である。

衣替えをするタイミングとしては、なるべく「晴れて空気が乾いている日」を選び、掃除をする際には部屋の換気をしながら行うのが理想的だ。

湿気やカビから衣類を守る

衣替えにあたって、まずは仕舞うための収納スペースを確保する。スペースの有効活用のために、衣類をコンパクトに畳む方法を事前に調べたり考えたりしておくと良いかもしれない。収納ボックスやハンガーを活用することも効果的だ。また、服を収納する前には必ず洗濯やクリーニングを行い、清潔な状態で保管することが望ましい。

更に、クローゼットにはカビや虫食いから守るために防虫剤や除湿剤を置いておくことも必要である。梅雨の時期の湿気対策にもなり、衣類をカビから守ることができる。除湿剤は定期的に確認し、必要に応じて取り換えることを忘れてはいけない。

天気に応じた衣服の選び方

衣替えの際には天気に応じた衣類を選びたい。梅雨の時期から夏にかけては、通気性の良い素材や衣類を選ぶと、より快適に過ごせる。

特におすすめの素材は、綿や麻などの天然繊維だ。水分を吸収・発散し、通気性が優れている。一方で、ポリエステルなどの素材は天然繊維に比べて吸水性は劣るが、薄手のものもあり、メリットとして速乾性があるので、試着をしてみて快適であれば着用するのも良さそうだ。また、UVカット機能のある衣類を選ぶことで、紫外線対策も行える。

靴の衣替え

暑くなるにつれて、サンダルやつま先の開いたパンプスなどの出番となってくる。靴の衣替えも行おう。最高気温が20度以上になってくると、日中はサンダルを履くと快適に過ごせるようだ。季節に応じた靴を選ぶことで、足元の快適さを保つことができる。

梅雨の時期は防水機能のある靴やレインブーツを用意しておくと便利である。また、梅雨の晴れ間や夏の時期は気温と湿度が高いため、通気性の良いサンダルやメッシュ素材のスニーカーがおすすめだ。これらの靴は足元を涼しく保ち、汗をかいても蒸れにくい特徴がある。

足の裏は一般的に汗をかきやすく、個人差や靴の中の環境にもよるが、多い日には両足でコップ1杯分くらいもの汗をかくそうだ。

両足でコップ1杯分の汗をかくことも
両足でコップ1杯分の汗をかくことも

特に汗が多い夏は、通気性の良い靴であっても休ませることが大切だ。同じ靴を連日履かないようにし、1日履いたら1日休ませることで、靴の中の湿気を逃がすことができる。また、吸湿性の高いインソールを使用し、定期的に交換するという対策もある。

吸湿剤を使用するのも効果的である。靴の中にシリカゲルや竹炭を入れておくと、湿気を吸収してくれる。他には、新聞紙を靴の中に詰めることによって湿気を吸収し、形を保つことができる。

靴の保管方法

靴の衣替えにあたって、靴を片付ける前にしておきたいのが必ず汚れを取ることだ。泥や汚れが付着している場合は、専用のブラシやクリーナーを使用して丁寧に取り除き、手入れを行うと良い。

きれいにした後は、靴をしっかりと乾燥させることが重要だ。湿気が残っているとカビの原因となるため、風通しの良い場所で自然乾燥させる必要がある。直射日光や高温の場所で乾燥させると、靴の素材が劣化する可能性があるため、1日を通して陽が当たらない場所で陰干しをしておきたい。室内でも風通しが良ければそこでも十分だ。

靴を保管する場所は、通気性が良く、湿気がこもらない場所を選ぶのがおすすめだ。シューズラックや棚を使用することによっても通気性を確保できる。また、少なくとも月に1度は靴を取り出し、風を通してあげることによって靴を長持ちさせることができる。

衣替えは、天気予報を確認しながらタイミングを選んで行うのがおすすめである。靴も忘れずに衣替えすることによって、おしゃれを楽しむだけではなく、足元の快適さにも繋がる。また、次の季節に向けて気持ちも衣替えできるかもしれない。

【執筆:日本気象協会】

日本気象協会
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