京都府城陽市の「寺田西校区社会福祉協議会」で、補助金など約360万円の不適切な処理が発覚し、市でも問題が追及されている。不適切な経理に関与したとされる市議会議員を取材し、問題の実態に迫った。
【動画】「会長が私物化した…」領収書ない支出や私的な飲食代 補助金など約360万円不適切処理
この記事の画像(7枚)16日朝開かれた城陽市の福祉常任委員会。そこで話し合われていたのは…
城陽市職員:228万1230円の使途が不明とのことです。
問題になっているのは、「寺田西校区社会福祉協議会」に交付されていた、市の補助金などの経費処理について。
この協議会は、25年前から城陽市の本城隆志市議(69)が会長を務めていて、調査できた2019年度から4年間だけでも、市からの補助金など約360万円が不適切に処理されていたことが発覚した。
委員会に出席した本城市議は…
城陽市 福祉常任委員会 委員長:本城委員、発言の意思はありますか?
寺田西校区社会福祉協議会会長 本城隆志城陽市議:ありません。
■「使途不明金230万」と「手書き領収書や私的な食事代130万」
市民のために使われるはずの補助金を巡って一体何があったのか?寺田西校区社協の補助金などを管理している城陽市社協を取材すると、2つの問題が見えてきた。
「使途不明金 約230万」
城陽市社会福祉協議会 山下浩二事務局長:領収書もなければ、手書きの領収書もない。 何に使われたのか一切分からないのが228万円の使途不明の分。
4年間で寺田西校区社協に支出された補助金などのうち、約230万円については領収書が残っておらず、使途不明となっていた。
「手書き領収書や私的な食事代 約130万」
城陽市社会福祉協議会 山下浩二事務局長:見るからにお一人分のものが頻繁に購入されていて、それを校区の会計の中から支出するような伝票に張り付けをされている。
約5万円分を本城市議が牛丼店やラーメン店での私的な食事代として83回支出。本城市議が手書きで作成した領収書約75万円分など、不適切とされる支出が合わせて約130万円あった。
さらに、決算報告書が4年間出されておらず、城陽市社協も使途を把握できていなかった。
■「本城会長が私物化した寺田西校区の社協になっていた」
こうした問題について市民は…
城陽市民:家庭もそれぞれ苦しいと思うので、その中でそんなことやっているのは信頼なくなってしまう。
城陽市民:ちゃんとしてほしい。白か黒か。
なぜこのようなずさんな管理がされていたのか、寺田西校区社協の内情を知る会員は…
寺田西校区社会福祉協議会の会員:(本城会長は)お金がほしいときには、会計の方に、『いくらおろしてきてくれ』と。何に使うか、あとの領収書が一切ないと。だから会計の方が困っていたと聞いています。会長がずっと君臨しているからです。会長がずっといるから新しく入った会計の人も何も言えない。本城会長が私物化した寺田西校区の社協になっていたというのが一番の問題やったと思います。
■社協会長を務める市議を直撃すると…
一連の問題について本城市議を直撃すると…
-Q.使途不明金が200万円以上あると思うが?
寺田西校区社会福祉協議会会長 本城隆志城陽市議:何が使途不明なのか分からない。領収書いらないとずっと聞いているから、領収書もらわない場合もあったんですよ。ぴしっとしているつもりですから。『つもり』やから完全にできているかは、チェックするたびに数字の違いは出てくるかもしれないですけどね。
使途不明金については事務所の費用だったと説明。また自身で帳簿をつけており、多くの事業で領収書をもらっていないことを明かした。
飲食代の支出については…
寺田西校区社会福祉協議会会長 本城隆志城陽市議:うちの校区の社協の事務局の前のメンバーが、『そこまでやっているなら食事代は出していいよ』ととらえてやってくれていたんですよ。
寺田西校区社協のルールでは「支出してもよい」ことになっていたと釈明した。
しかし、市の社会福祉協議会は私的な飲食代を含む約360万円について、不適切な経理処理と認め、5月末までの返還を求めていて、本城市議は応じる意向を示している。
■法律的な問題 チェック体制の問題
市議は返金の意思はあるということですが、法律上問題はないのだろうか?
菊地幸夫弁護士:(領収書の映像を見て)例えば牛乳とかですね。飲食と言っても会合というのなら理由がつくのかもしれませんけど、個人的に使うための買い物の代金にしか見えないです。役員が協議会の不適切な会計に関わってるということになると、例えば特別背任あるいは業務上横領とか、刑事事件にもなり得るものです。おまけに市議という立場で、税金がここに投入されてることは百も承知の立場ですから、はっきりしていただきたいです。
関西テレビ 神崎報道デスク:コロナがあったとは言え、このような不正な支出が4年間も発覚しなかったチェック体制にも問題があるんじゃないかと。これは公のお金なわけですから、それが4年間を見過ごされてきたところもおかしいと思います。不正な支出があったらすぐにチェックできるような体制を、これを機に整えるべきかと思います。
市民の税金が使われているのであるから、社会福祉協議会のお金の流れの透明性が確保できるよう求めていかなくてはいけない。そして市議にはしっかりと説明責任を果たしてほしい。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月16日放送)