バチカン市国で7日夜、次期ローマ教皇を選ぶコンクラーベが始まる。枢機卿133人が3分の2以上の得票を目指し投票を繰り返す。映画「教皇選挙」も実際のコンクラーベと重なって異例のヒットを記録し、関心が高まっている。

電波遮断された礼拝堂で教皇を決める投票

次のローマ教皇を決める選挙「コンクラーベ」が日本時間の7日夜始まる。

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世界で13億人以上の信者を抱えるローマ・カトリック教会トップの後継者選びだ。

テーマは「映画顔負け?教皇選出にドロドロ戦術も、ソレってどうなの?」だ。

コンクラーベの由来はラテン語で「鍵がかかった」という意味。

集まった枢機卿たちが行う次の教皇を決める選挙は、外部と接触や通信ができない閉ざされた部屋で行われる。

会場は世界最小の独立国・バチカン市国にあるシスティーナ礼拝堂だ。公開された映像では、ミケランジェロの「最後の審判」が描かれた部屋にコンクラーベに参加する枢機卿の席が並べられている。

投票できるのは135人いる枢機卿だ。

今回投票するのは欠席者を除く133人、全員が80歳未満の男性で、一番多いのは53人いるヨーロッパ出身者だが、海外のメディアによると、ヨーロッパ出身者が全体の半数を下回るのは初めてのことだという。

リストには2人の日本人、前田枢機卿と菊地枢機卿の名前も確認できる。

実は、フランシスコ教皇が亡くなる前からコンクラーベは注目を集めていた。その理由は、現在公開中の映画「教皇選挙」。

コンクラーベを舞台に繰り広げられる策略や差別、スキャンダルなど、枢機卿たちの陰謀や駆け引きを描いた作品だ。

アカデミー賞で「脚色賞」を受賞し、さらにコンクラーベが実際に行われることになり、異例のヒットとなっている。「kino cinéma新宿」では上映回数を増やしたという。

映画を見た人たちに感想を聞いた。

「教皇選挙」を見た人:
気になって見に来た。新鮮だった。

「教皇選挙」を見た人:
実際の選挙のドロドロみたいなところもあり、面白かったです。「誰が選ばれるんだろう」と、どんどん引き込まれていく感じ。

ストーリーもさることながら、完全非公開の選挙はどういった流れで行われるのか。映画にはその様子が描かれている。

コンクラーベ中は、外部との連絡はできない。携帯電話などの使用は禁止で、電波も遮断される。

枢機卿たちが投票用紙に手書きで記入して、一人一人投票する。初日は1回だけの投票で、決まらなければ、その後は3日目まで1日最大4回行われる。

新教皇が選出されるには、出席枢機卿の3分の2以上の得票が必要で、決まるまで何度も繰り返される、まさに“根比べ”だ。

結果が出ると投票用紙に火をつけて燃やし、その煙の色で外部に結果を知らせる。色を付けるため、発煙装置にも着火する。

教皇が決まらず投票が続く場合は「黒い煙」、新しい教皇が決まれば「白い煙」が上がり、鐘が鳴らされることになっている。

過去にはハプニングもあった。2013年に行われた前回のコンクラーベでは、白黒見分けがつかない灰色の煙が上がった。しばらくすると白い煙になったが、混乱を招いた。

印象操作?フェイクニュースも拡散

イット!のスタジオでは…

青井キャスター:
パックン、コンクラーベどうですか?

SPキャスターパックン:
もちろん世界中が注目してるんですけど、面白さも間違いなくある。それだけではなく、フランシスコは史上初めて南米からの教皇でしたね。アフリカからの教皇も1500年ぶりに生まれるかもしれないし、北米も初めてかもしれません。みんな当事者気分で見てますね。

青井キャスター:
実際のコンクラーベでも、映画顔負けの印象操作のようなことも行われています。今回も最有力候補とみられていたイタリア人の枢機卿が病気だとするフェイクニュースが拡散し、教皇庁が否定する事態に。

またフィリピンの出身の候補が、ジョン・レノンの「イマジン」を熱唱する過去の動画などがSNS上で拡散。イタリアの地元紙は、歌詞にはカトリック信徒が信じる天国を否定するような内容などがあり、動画が次期教皇の座を危ういものにしていると指摘しています。

そうした中、次の教皇は誰に?国際政治と宗教の関係に詳しい松本教授に教えてもらいました。

日本大学国際関係学部・松本佐保教授:
世界全体が不安定な状態で、安定や理性の声を代表する存在がローマ教皇の在り方で、世界の安定を望むなら、保守派でも中道派でも改革派でも、そこまで違わないかなと思います。

青井キャスター:
前回はアルゼンチン出身のフランシスコ教皇が選出され、史上初の南米出身の教皇となり、まさにサプライズでした。では今回、アジアから初の教皇誕生の可能性はあるのでしょうか?

日本大学国際関係学部・松本佐保教授:
フィリピンのタグレ枢機卿は、非常に人気のある方で、フランシスコ教皇の路線を踏襲されている。彼は有力候補の一人。

青井キャスター:
さらに注目の発言も…

日本大学国際関係学部・松本佐保教授:
数カ月前に枢機卿になられた菊地枢機卿が非常に優秀な方で、今回は選ばれないにしても、次のコンクラーベで有力候補に上がってくるんじゃないかな。

改革を進めたフランシスコ教皇の路線が継承されるのか。日本時間の7日午後11時半から行われる。
(「イット!」5月7日放送より)

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