新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、人々の生活はどう変わり、これからのwithコロナの時代をどう生きていくのか。
フジテレビではオンラインイベント「seek∞INFINITY」を開催し、フランス在住で作家の辻仁成さんとメンタルコーチの中島輝さんらに話を聞いた。

「自己肯定感」が低い日本の若者

中島輝さんは、「自己肯定感」の教科書とノートが累計で14万部売れている心理カウンセラー。

中島輝さん
この記事の画像(12枚)

オンラインイベントの司会を務めたのは元フジテレビアナウンサーの木佐彩子さん。
まずは「自己肯定感」とは何かを聞いた。

「自己肯定感」って何?

メンタルコーチ・中島輝さん:
誰かに決定づけられたものではなくて、自分自身がたどり着いた真実だったり、その心理に基づいて行動できる自立したポジティブな人間のことを「自己肯定感がある人」と定義付けています。

ここに興味深い調査結果がある。

日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの7カ国の若者に内閣府が「あなたは自分に満足していますか?」というアンケートをした結果、日本の若者が一番低く、45%しか満足していなかった

中島さんはこの結果を知り、「自己肯定感」をもっと高めていく必要性があると感じて本を出したという。

中島輝さん:
また、最近若い方の悲しい事件がたくさんありますが、15~24歳の自殺件数は日本が一番多いという調査結果も出ています。

欧米諸国の若者の自殺率は減少傾向にあるのに対して、日本は90年代以降上がり続け、この20年間でトップにのし上がっている。

さらに、大人の社会人をみると、鬱病の同僚がいても「僕は何もしない」という人が40%と日本が圧倒的に高い結果に。
「自分に何か役に立てることはないかと尋ねた人」は16%しかいなかった。
大人も子供も全員が自己肯定感が低い証」と、中島さんは指摘する。

そんな中、フランスは「自分に満足していますか?」という問いに80%の若者が「満足しています」と回答。フランス在住の辻仁成さんに現状を聞いた。

フランス人は全員が「自信の塊」

中島輝さん:
今はコロナ禍にあるので事情は少し違うと思いますが、この調査結果はいかがですか?

辻仁成さん

辻仁成さん:
自分の息子やその友達を見ていて思うのは、非常に自己満足感というかいろんな意味で自信がある子が多いですね。
フランス人は全員が「自信の塊」ですから、僕みたいな自信の塊みたいな男がフランスにやってきて僕が一番自信がないくらいな感じです。笑

木佐彩子さん:
辻さんはご自身で分析してみて、自己肯定感はどんな感じですか?

辻仁成さん:
僕は高いと思います。ナルシストだしね、自分の好きなことしかやってこなかったし。
1つみなさんに中島さんの話を参考にして言いたいのは、自己否定しちゃう人の話。

僕はいつもツイッターでも言っているんですけど、自分を肯定できない人達はそれは素晴らしいことなんだよとまず言います。
なぜかというと、自分を否定できる人は、自分を冷静に分析できているわけだからそれほど悩む必要はない。自己肯定だけが全てでは無い。自己肯定というのは自己満足に繋がるので、自己肯定している人間の失敗はたくさんあるんです。
昔の僕なんかまさにそれで、全部肯定になったおかげでこんな大変な人生を生きている。

だからもっとゆったり生きれば良かったと思うこともある。
自己否定している子達から「自分はダメで」と言われると、「いや、ダメじゃない。君は自分をわかっているから自分を否定しているんだよ」と。そうすると子供達は「そうなんですね」と生きる希望を持つ。こっちの方が自己肯定感で満足してしまうより大事だと思います。

中島輝さん:
まさに辻さんと同意でして、自己否定を否定するよりは、否定の中に必ず肯定がある。ポジティブな側面をどれだけ見て行かれるかがすごく大切なことだと思います

高校時代にオールナイトニッポンを聞いて、辻仁成さんの大ファンだという中島さん。
カセットテープに録音して、通学の往復1時間の間に聞いて苦痛を紛らわしていたという。

25~35歳まで外に出られなくなった10年間

辻仁成さん:
中島さんのようにメンタル面の自己啓発をされている方は、もともとご自身が自己否定したり鬱になったり大変なことがあったということですか?

中島輝さん:
そうなんです。いろいろな病名がついて、25~35歳まで10年間は外に出られなくなって。
家が見えなくなると泡を吹いて倒れる症状が続き、人体実験をしてどうやったらポジティブな側面が見られるか、自立できるのかを考えたときに一番大切だったのが「自己肯定感」にたどり着きました。

自己を肯定することは、自立だったりポジティブな側面を見ることなんだという活動を行っています。

木佐彩子さん:
視聴者からの質問ですが、自己肯定感を高めるために日常生活でできることはありますか?

中島輝さん:
まずはノートに自分の感情をいっぱい書き出すことはとても大事。
近くの人だれでも良いので話を聞いてもらう。話すこと、書くことはとても大切で、現在地を知って未来を見る。すべては通過点。コロナ禍も人生の通過点と思って過ごしていただけたらと思います。

木佐彩子さん:
これからの未来を背負う子供達に対して、自分たちの価値観で教育をしない方がいいのではないかと思っている人達も多いようですが、コロナを通して子供達にどう接するのが良いのでしょうか?

「聞いて、認めて、一緒に決めていく」

中島輝さん:
子供がメンタルダウンをしています、というメッセージがたくさん来ます。
そういう方には「まずは子供の話をきちんと聞きましょう」と言っています。聞くと同時に認めてあげてください。その上で、それを解決するためには具体的にどういうことをしたら良いかを一緒に決めていく。
「聞いて、認めて、一緒に決めていく」というプロセスを行うように言っています

木佐彩子さん:
辻さんは息子さんといろいろと話し合われていますよね。

辻仁成さん:
どうですかね。一日中一緒にいるので、話さないことが会話みたいな、長い間一緒にいる夫婦みたいな感じです。お小遣いも握ってますし。

中島輝さん:
コロナ禍の子育て、特に小学生の親御さんに対してのアドバイスはありますか?

7年間作り続けた「言葉以上の愛情弁当」

辻仁成さん:
僕は離婚したときに子供がちょうど10歳でした。僕と二人きりで生きなくてはいけない環境に突然なった。僕は仕事一辺倒だった中に子供を託され、どうやってこの子を安定させて成長させていかれるかをまず考えました。

そして、トランプ大統領じゃないけど、「子供ファースト」でいこうと思った。

子供に対して「自分はすごく愛している」と言葉で言っても通じないと思って、態度で示していこうと思って考えた。
人間は喰うために生きる、恋愛するために生きる、この2つしかない。
食べることを粗末にすると子供が可哀想だから、「お弁当習慣」を考えた
時短料理が今流行っているけど、「僕は絶対に時短はしない」と決めて米を研ぐところからはじめる。

辻仁成さん:
子供にこういう人生を与えてしまったのは自分の責任だという反省もあるから、せめて修行じゃないけど、お弁当を与えて、遠くで聞いているとお弁当箱を開けた瞬間に「わ~!」という声が聞こえてくるんです。
それが1年、2年、3年・・・と7年経ちましたけど、「もう作らなくていいよ。パパの気持ちは十分にわかった」と言われて。
その時に「言葉以上の愛情弁当」、言葉以上の愛情をそこに注ぎ込んでいれば、言葉、会話なんて要らないんですよお母さん、と僕は言いたいんです


本当に愛しているなら何も必要ないんです。だから見守ってあげることで、お互いに生きているんだから抱えなくていい、怠けていいと思う。普段頑張っていれば、その時こそ時短の料理をすればいいと思う。

人は「無理するな」と言うけど、僕は「たまには無理しなさい。たまには逃げるな」と言います。

木佐彩子さん:
日本のお母さんは頑張り過ぎちゃうからシンプルにきちんと愛する、ということですね。

中島輝さん:
シンプルですね。価値観が変わっても食べることを大切にすることですね。

「ガンガン炒めてジャンジャン喰え、腹が立ったら寝なさい」

辻仁成さん:
お袋が今、84歳なんです。僕が若いころむちゃくちゃいろいろなことをして落ち込んでいると、「仁成、ガンガン炒めてジャンジャン喰ってこれから生きていきなさい」と言うんです。
「人間は苦しい時に美味しいものを食べれば元気になる」。

それから「腹が立ったら寝なさい、寝たら腹は立たない」って言うんです。
すごくシンプルでそういう言葉にいちいち感動して、言葉の力ってあるんだなと。

「ガンガン炒めてジャンジャン喰え、腹が立ったら寝なさい」というのは自分の子供にも伝えたい。言霊ってあるからね。そういうことを大事にしていきたい。

木佐彩子さん:
コロナ禍で改めてベイシック、シンプルに考えよう。今みたいに「食べて寝る」は大事ですね。辻さん、中島さん、本日はありがとうございました。

オンラインイベント「seek∞ INFINITY」は次回10月に開催される予定だ。