明治安田生命の調査によると、2024年のゴールデンウィークの予算が前年比で約1万円減少し、理由に「物価高」を挙げた人が6割以上となった。
専門家は、物価高を超える賃上げや、中小企業の成功事例を共有・実践することの重要性を指摘する。

GWは「自宅で」 物価高が家計を圧迫

物価高が2024年のゴールデンウィークにも、影響していることがわかった。

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明治安田生命によると、ゴールデンウィークの予算は、2023年から9617円減って、2万9677円となり、3年ぶりに減少した。

予算を減らした理由として、「物価高の影響」を挙げる人が65.8%となったほか、過ごし方についても、「自宅で過ごす」と答えた人が46.8%と、2023年より5ポイント以上増加した。

また、物価高の影響はお小遣いにも出ていて、夫が2023年より2513円少ない3万3039円で3年ぶりの減少となった一方、妻も1235円少ない2万2298円で5年ぶりに減少となった。

「実質賃金」23ヵ月連続マイナスに

「Live News α」では、市場の分析や企業経営にくわしい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
── この物価高、どうご覧になりますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
今、物価上昇込みで見る賃金、すなわち「実質賃金」も23カ月連続マイナスです。

2024年6月に始まる、1人あたり4万円の所得減税によって、実質賃金がプラスに浮上する可能性がありますが、それは一時的なものであり、本格的な賃金上昇につながるわけではありません。

堤キャスター:
── 物価高に負けない賃上げを実現するカギは?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
問題は、日本で99.7%を占める中小企業です。実質賃金の上昇率が、全国で福井県に続いてワースト2位の鳥取県に2日間伺い、中小企業の経営者とヒアリングを重ねました。

その鳥取県で、中小企業ができる賃上げの成功例として、注目されている不動産の企業があります。

これからの日本に必要な視点は、中小企業でも賃上げができる成功事例を皆で共有して、その実践によって給料のアップを広げていくことです。

賃上げ成功事例の共有・実践がカギ

堤キャスター:
── その不動産企業は、どんなことを行ったのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
これはチームで50万円の利益を出すプロジェクトを20個達成できれば、賃上げを従業員に約束する「1000万円プロジェクト」です。

例えば、不動産からの退去の際に出た家財をうまく販売したりするなど、「今の事業にプラスして、50万円の利益が出るものが20個ないか」、そんな視点で、皆で力を合わせる訳です。

そうして出た利益を内部留保に回すのではなく、2年連続で賃上げを実現することができたんです。

堤キャスター:
賃上げにつながる目標を設けたわけですね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
Pontaリサーチの調査では、賃上げへの期待は14.2%と低くなっていますが、これを希望が持てるものに変えていく必要があります。賃上げが重要である「総論」は議論されてきました。足りないことは、「各論」です。

日本が本格的にデフレから脱却し、その恩恵が国民全体に行きわたるカギは、「成功事例の共有」になると思います。

皆が、「マネできそうだ」、「うちでもやってみよう」と思える事例の共有と、その実践が国民生活を豊かにするはずです。

堤キャスター:
この物価高の中で、賃上げに向けて何ができるのかを探る。そうした姿勢から何かが変わっていくかもしれませんね。
(「Live News α」4月24日放送分より)

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