女の子が列車にはねられ死亡する事故が、群馬県で4月6日に発生。現場は、遮断機も警報機もない踏切だった。こうした踏切は、全国にも、関西にもある。

【動画】小学生が死亡する事故 遮断機も警報機もない「踏切」2歳で事故に遭った女性は今も人工呼吸器をつけて介護が必要な状況

4月6日の午前、群馬県高崎市の上信電鉄の踏切で、近くに住む9歳の小学生の女の子が、列車にはねられ死亡した。踏切の周囲には田んぼが広がり、見通しは決して悪くないが…

記者リポート:こちらの踏切には、遮断機や警報機は設置されていません。

現場は遮断機や警報機がない「第4種踏切」と呼ばれるもの。国などによると、全国に第4種踏切は約2400ある。

■第4種踏切の事故発生率は第1種踏切の3倍近い

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JR西日本によると、2018年度から2022年度にかけて、管内で起きた踏切の事故件数は、遮断機と警報機がある「第1種踏切」の方が、第4種踏切よりも多い。

しかし100カ所あたりの事故発生率でみると、第1種踏切の年間の平均が0.26件なのに対し、第4種踏切が0.68件と、3倍近く高い状況となっている。数は少ないものの、事故の発生率は高く、危険性が高いことがうかがえる「第4種踏切」。

大阪府・堺市西区にある阪堺電車の踏切も「第4種踏切」だ。住宅街の中に、遮断機も警報機もない踏切があり、駅や目的地に向かう“近道”として、近くに住む人などが渡っている。

踏切を利用する女性:昔からずっと使ってますね。確認するのと、音が聞こえるの大丈夫。

阪堺電車によると、少なくとも数十年前から設置されていたという。

■遮断機も警報機もない踏切 大阪府でも25年前 2歳の女の子が電車にはねられる

この踏切で以前には…

菜穂さんの母親:電車に当たって、もうあの時、80メートルぐらい飛んで、心肺停止だったみたいで…

1998年11月、近くに住んでいた、当時2歳の菜穂さんが電車にはねられた。その後、菜穂さんは一命を取り留めたものの、人工呼吸器をつけて介護が必要な状況となった。

菜穂さんの母親:(事故から)25年たっても何一つ変わっていない。遮断機なり、警報機なり何かをつけてもらって。この間(群馬で)9歳の子が亡くなった話も聞いたので、ここの事を思い出して、あの時のことがよみがえって、何とかここに(設置を)という気持ちでいっぱいです。

一方、阪堺電車によると、遮断機や警報機の設置には、法律などに基づく、線路や道路の改修が必要で、コストがかかるほか、廃止も住民の理解が得られないため、現在の状況が続いているということです。 遮断機と警報機がない踏切の安全を、どのように確保していけばいいのでしょうか。

■「第4種踏切」は全国で2408カ所、踏切全体の7.4%(2020年度)

遮断機も警報器もない踏切を「第4種踏切」と言い、2020年度で全国で2408カ所、踏切全体の7.4パーセントを占めている。

京都産業大学法学部 山田啓二教授:今はこれだけセンサーとか技術が発達してきていますから、大がかりな警報器と遮断機だけではなく、簡易方式のものができないんでしょうかね。注意喚起を促すようなことでもいいかもしれません。何かがあることで、貴重な命が助かるかもしれませんから。京都も丹後鉄道を中心に、第四種踏切はたくさんありますので、他人事ではないです。

■JR西日本は簡易型の「踏切ゲート-Lite」導入で対策

JR西日本が、導入を始めたのが、簡易型の踏切「踏切ゲート-Lite」。遮断機のバーは自動ではなく、歩行者が自分で持ち上げて線路に入り、出るときは押して出るという仕組みで、低コストで設置できるということで、安全面への大きな効果が期待されています。

実際に「踏切ゲート-Lite」の設置により、通行者の一旦停止率が95%に向上したというデータがある。さらに設置にかかる費用は、第一種に改修する場合の10分の1以下で済み、施工時間は約2時間だという。

関西テレビ 神崎博報道デスク:警報器がある訳ではないので、立ち止まって、左右を確認してもらう必要はあります。あと『踏切ゲート-Lite』は、車が通れるような所への設置は難しいでしょうし、バーより背が低い小さなお子さんは通り抜けられるので、そのあたりが課題だと思います。

これ以上痛ましい事故が起きないように、早急な対策が求められる。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年4月9日放送)

関西テレビ
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