漁獲量の減少で、スーパーは売場の魚の種類の偏りに悩んでいるという。アプリで全国の魚市場をつなぎ、地元産以外の魚も仕入れることができるシステムがある。スーパーと水産流通アプリの連携を取材した。
地元産以外の新たな魚を探す
多くの水産関係者で賑(にぎ)わう早朝の広島中央卸売市場。地場の新鮮な魚が並ぶ。
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地元のスーパー「ユアーズ」の鮮魚バイヤー・大澤さんによると、市場で近年、ある”異変”が起きているという。
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ユアーズ 大澤隆寛・鮮魚バイヤー:
年々漁獲量は減ってきている。漁師さんも減っているけど、値段は上がっているので、売り上げは変わらない。ただ、スーパーの魚売り場の面積はだんだん減る。10あったものが、7しかないとか
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瀬戸内海でとれる魚が減っているため、店舗では扱う魚の種類が限られ、お客さんの期待に応えきれていないのが現状だという。
ユアーズ 大澤隆寛・鮮魚バイヤー:
売り物が減ったことに対しては、新たな魚種を見つけ出すというのが、僕らの使命だと思っている
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このスーパーでは、地元産以外の魚を探すために新たなシステムを使い始めた。
鈴木崇義記者:
午前5時半すぎです。スーパーの売り場に魚がたくさん届いています。広島県外から届いた魚もあるということなんですが、これは「コノシロ」ですね
![スーパーに届いた「コノシロ」](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/1/700mw/img_21f00af1bc8b46859b2d00e5810f0028436312.jpg)
実はこの日、仕入れた魚のうち7種類は、店舗に届く2日前に市場の仕入れとは違った方法で広島県外から仕入れた。
アプリで遠隔地の魚の仕入れも 都市と地方で供給のバランスをはかる
仕入れに使ったのは、広島の企業が開発した水産流通アプリ「ウーオ」。
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漁師や仲買などと小売店や飲食店をつなぎ、都市部での「供給過多」や地方での「供給不足」の解決を、全国レベルで供給の最適化を目指している。
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ウーオ・板倉一智社長:
各産地の皆さんは量がはけて値段が高い東京に売りたい。なので、どうしても東京に魚が集まり、それがロスになってしまうことが結構ある。水産業は需給が最適化されていない。いつどこで何がとれ、欲しい人がどこにいるかわからないのが、今の水産業の問題点だと思う。そこをウーオが解決していきたいと思っている
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スーパー「ユアーズ」では2月に、高品質食材専門の店で「ウーオ」を初めて導入。他の店舗での導入も検討しているという。
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買い物客:
毎日並ぶ魚が変わっているので、見ると新鮮ですね
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Q:バリエーションを増やすために県外から珍しい魚を入れているそうだが…
買い物客:
すごくいいと思う。こんなハツメなんて見たことない
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この日、売り場に並んだ島根県産の「ハツメ」。メバルの仲間の魚で、中国地方では日本海側にしかいない。
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Q:これまで売り場に並んだことは?
スーパー鮮魚店員:
ないですね、ハツメはきょうが初めて。瀬戸内にもコノシロはいるが、ここまで大きくて脂がのっているコノシロはなかなかいない
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限られた資源を無駄にせず、いかにして有効に流通させるか…。地域間の需給の不均衡の是正にDXが貢献している。
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コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん:
都市部に供給が集中して食品ロスが発生しているような偏りを、このアプリで解消できるのかなと思うし、人手不足の中で市場で働く人も減ってきている。アプリを通じて人手不足の解消にも、もしかしたらつながるのかなと思う
欲しい人と売りたい人のマッチングは、アプリなどデジタルが得意とするところだ。鮮度をいかに保つかという課題はあるが、アプリを使った取引が、隠れた地域の魚の発掘につながるかもしれない。
(テレビ新広島)