4月1週目の週末、新宿・歌舞伎町のいわゆる“トー横”周辺で、警視庁による一斉補導が行われた。FNNが現地を連日取材すると、一斉補導が行われても集まってくる若者の姿が。トー横が抱える問題が浮かび上がってきた。

ストロング系酎ハイ片手に…

夜の新宿・歌舞伎町に響き渡った叫び声。

歌舞伎町に響き渡る10代とみられる少女による「離せよ」の叫び声
歌舞伎町に響き渡る10代とみられる少女による「離せよ」の叫び声
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叫ぶ若者:
離せよー!

捜査員:
じゃ、まっすぐ歩いて行こうね。

歌舞伎町に響き渡る10代とみられる少女の叫び声
歌舞伎町に響き渡る10代とみられる少女の叫び声

叫ぶ若者:
何をお前らにしたって言うんだよー!

声の主は、10代とみられる少女。

そして、捜査員を蹴るなどして抵抗する少女。「離して!」

週末に行われたトー横での一斉補導
週末に行われたトー横での一斉補導

この週末、いわゆるトー横で行われた一斉補導の様子。

少年・少女がトー横周辺に居続ける理由

FNNは、こうした取り締まりが行われてもなお、少年・少女がこの場所に居続ける理由を探った。

春休み最後の土曜日、警視庁の捜査員が若者たちに声をかけて回る
春休み最後の土曜日、警視庁の捜査員が若者たちに声をかけて回る

春休み最後の土曜日となった6日、トー横周辺では、警視庁の捜査員が若者たちに声をかけて回っていた。

捜査員:
おいくつですか?

目的は、未成年者を性犯罪や危険な薬物などから守るため。

店の前で、捜査員に声をかけられた少女。その手には、ストローを挿したストロング系酎ハイらしき缶飲料が握られており、「お姉ちゃんのを持ってきたんですよ」と言う。

捜査員が身分証を確認しようとすると、身分証の提示を拒むかのように背を向ける少女。

観念したかのように交番へと向う少女
観念したかのように交番へと向う少女

しかし、観念したかのように交番へと向かった。

サードプレイスとしてのトー横

一方、3人でいた別の少女たちは、補導から逃れるため必死の様子。

補導から逃れるため必死に抵抗する3人の少女
補導から逃れるため必死に抵抗する3人の少女

別の少女3人:
触ったらアカンて。触ったらアカンて。触ったらアカンて!触らんといて!!いやや、いやや!

捜査員の制止を振り切るように、飲食店内に入っていった。

また、女性の捜査員に両脇を抱えられた少女は、驚きの行動に出た。

「離して!!」と言い、捜査員の体を蹴り、その場に座り込んだ少女。

必死にわめき散らすも交番へと連れていかれた少女
必死にわめき散らすも交番へと連れていかれた少女

「離せよー!」とわめき散らす少女に対し、捜査員は「家に帰る手段を、私たちも一緒に…」と諭す。
しかし「何でお前らに言わないといけないんだ!」と少女はわめき散らしながら、交番へと連れていかれた。

この春休み、トー横周辺で一斉補導された未成年者は31人。中には、新たに小学6年となる女子児童(11)も含まれていた。

この一斉補導で、トー横キッズに変化は生じたのか。「イット!」のカメラは、7日に再びトー横周辺へ。

一斉補導があった翌日もトー横には多くの若者が集まっていた
一斉補導があった翌日もトー横には多くの若者が集まっていた

広瀬修一キャスター リポート:
一斉補導があってから、一夜明け、そして一日経っているが、多くの若者がきょうもいる。

7日、トー横にいた若者の多くは、前日に一斉補導があったことを知っていた。

15歳女子「親とけんかして、わたし邪魔って言われたの。じゃあ私死ねばいいんだって言って家出てきた。いつからとかはないけど、けんかしたとき大体いる。(居心地がいい?)はい。気持ちいい」

警視庁によると、トー横周辺での補導件数は2020年が年間約70件だった。その数は年々増加し、2022年は約580件、2023年は約950件にものぼった。

歌舞伎町の現状に詳しいライターの佐々木チワワさんは、“トー横初期”といわれた2018年頃に比べ、現在は10代前半の姿が圧倒的に多いと分析。

佐々木チワワさん:
結局、補導されても児相だったり、親元に帰されるというところで、自分が行きたくない場所に戻される感覚の子が多いと思う。(自宅や学校などではない)サードプレイスとしてのトー横があると思う。どちらにしろ、ただ補導して、街に来させないだけというのは根本的な解決にはならないだろうなと。
(「イット!」4月8日放送より)

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